臨床工学技士はいらない?その背景や必要とされる理由・おすすめの就職先を解説

更新日 2026年01月13日 公開日 2026年01月13日

臨床工学技士はいらない?その背景や必要とされる理由・おすすめの就職先を解説

文:すな(臨床工学技士)

臨床工学技士として働いていたり、これから臨床工学技士になろうと考えていたりする読者のなかには、「臨床工学技士はいらない」という言葉を耳にして、不安を感じたことがある人もいるのではないでしょうか。
この記事では、「臨床工学技士はいらない」と言われる背景や実際に必要とされている理由、さらに専門性を活かせるおすすめの就職先について解説します。
最後までお読みいただければ、臨床工学技士という仕事への理解が深まり、自信を持ってキャリアを歩むヒントが見つかるはずです。

臨床工学技士はいらない?

臨床工学技士はいらない?

筆者は「臨床工学技士はいらない」と言われる理由には、次の4つがあると考えています。

  • ・独占できる業務がない
  • ・配置義務がない
  • ・保守業務は外部委託できる
  • ・単独では診療報酬が算定できない

それぞれについて詳しく解説します。

独占できる業務がない

臨床工学技士の業務は、臨床工学技士法 により「医師の指示の下に、生命維持管理装置の操作及び保守点検を行うこと」と定められています。

しかし、機器を操作できる知識と技術があれば、医師の指示の下で看護師や准看護師なども同様の業務を行うことが可能です 。

人員が限られる医療現場では、医師の指示が看護師にだけ出されることもあり、「機器の操作はほかのスタッフでも対応できる」と判断され、臨床工学技士は必須とされないケースもあります。

配置義務がない

臨床工学技士は、医療機関への配置が法律で厳密に義務付けられているわけではありません。

特に診療所やクリニックなどでは、コストや規模の問題から臨床工学技士を配置できないケースも多く見られます。

保守業務は外部委託できる

医療機器の安全性を維持するために不可欠な保守・点検業務は、病院の臨床工学技士が行うほか、医療機器メーカーに外部委託することも可能です。

病院の経営方針や規模によっては、メーカーに一任するほうが効率的と判断され、臨床工学技士の必要性が低いと見なされることもあります。

単独では診療報酬が算定できない

臨床工学技士が行う専門的な機器管理や安全指導は、医療の質を支える重要な業務ですが、臨床工学技士の配置によって算定できる加算や指導料は、限られています。

そのため、病院経営の視点からは直接的な収益につながりにくく、ほかの専門職と比較して、人員配置の優先度が下がりやすいのが現状です。

臨床工学技士が必要な理由と将来性

臨床工学技士が必要な理由と将来性

「いらない」と言われる一方で、臨床工学技士の重要性は年々高まっており、将来性が期待できる職種だといえます。

筆者は、臨床工学技士が医療現場に必要である理由と将来性について次のとおり分析しています。

  • ・医療機器の高度化・複雑化に対応できる唯一の専門職
  • ・業務範囲が拡大している
  • ・活躍の場が広がっている
  • ・専門職としての揺るぎない価値

それぞれ解説していきます。

医療機器の高度化・複雑化に対応できる唯一の専門職

AI搭載の診断装置や最新の手術支援ロボットなど、現代医療は日々進化する高度な機器によって支えられています。

これらの機器を安全かつ最大限に活用するためには、医学と工学の両方に精通した臨床工学技士の存在が欠かせません。医療機器のプロフェッショナルがいることで、医師は治療、看護師はケアに専念することができます。

業務範囲が拡大している

2021年の臨床工学技士法等の改正により、臨床工学技士の業務範囲が広がり、これまで医師や看護師が行っていた静脈路への穿刺ができるようになるなど、より主体的に治療に関われるようになりました。

この改正は、臨床工学技士の専門性が国からも高く評価されている証といえます。

活躍の場が広がっている

すでに日本は超高齢社会を迎え、医療の現場は病院にとどまらず在宅へと広がりを見せています。

住み慣れた自宅で安全に医療機器を使用できるよう支援する臨床工学技士の役割が注目されており、病院という垣根を超え、地域医療を支える専門家としての新たなキャリアパスも生まれています。

専門職としての揺るぎない価値

生命維持管理装置の操作や保守点検を行う臨床工学技士は、まさに「いのちのエンジニア」といえます。

どれだけAIや医療機器が進歩しても、最終的な安全を確保し、万が一の事態に対応する「人の判断と手技」の価値は決して失われません。

また、医療機器のロボット化、AIの導入が進んだとしても、人の心のケアができるのは人でなければできません。人と人とのコミュニケーションなくして医療は成り立ちません。

高度化する医療に適応した医療チームで患者さんやご家族対応するには、臨床工学技士の知識が必要です。直接、臨床工学技士が患者さんやご家族とコミュニケーションをとることで不安の解消や将来への希望に繋がることになります。

キャリアアップを目指す!臨床工学技士におすすめの就職先

専門性を高めてキャリアアップを目指すなら、次のような就職先がおすすめです。

  • ・急性期病院や大学病院
  • ・透析クリニック
  • ・医療機器メーカー

急性期病院や大学病院

急性期病院や大学病院では、手術室や集中治療室での業務が多く、高度で多様な医療機器に触れる機会が豊富にあります。

新しい知識や技術を学び続ける意欲のある人、さらに最先端医療の提供や幅広い症例を経験してスキルを磨きたい人におすすめの就職先です。

透析クリニック

透析クリニックでは、穿刺から透析装置の操作、患者さんの体調管理まで、一連の透析業務を主体的に担います。

患者さんと長期的に関わるため、深い信頼関係を築きながら、一人ひとりに寄り添った医療を提供できるのが大きな魅力です。

透析に関する専門性をじっくり深めたい人や、患者さんとのコミュニケーションを大切にしたい人におすすめの就職先です。

医療機器メーカー

医療機器メーカーの臨床工学技士は、自社で開発・販売する製品を医療機関に導入し、使用方法の指導や保守を行う「アプリケーションスペシャリスト」として活躍します。

現場のニーズを開発部門にフィードバックし、新しい製品開発に貢献することもできます。

夜間勤務という体制を持つことの少ない医療機器メーカーは、ワーク・ライフ・バランスを重視している人、新たな働き方を模索している人におすすめです。開発部門や営業職など、医療分野以外へのキャリアチェンジも可能です。

臨床工学技士は、今後も需要が高まる専門職

「臨床工学技士はいらない」と言われる理由は、独占できる業務や配置義務がない、保守点検を外部に任せられるなどさまざまです。

一方、医療機器が進化するなかで、専門知識と技術を持つ臨床工学技士は欠かせない存在になっています。法改正で業務範囲が広がり、在宅医療など新しい分野での活躍の場も増えているため、今後も需要が高まる職種といえるでしょう。

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参考

臨床工学技士法(昭和62年6月2日法律第60号)

【監修者コメント】
「臨床工学技士はいらない?」という驚くようなタイトルで読者の方には不安が起きるかもしれませんが、臨床工学技士がいなければ日本の医療は成り立たないということが理解できると思います。
臨床工学技士の仕事は看護師もしくは医師が行っても良い業務ではありますが、高度医療が進む現在、それぞれの専門家がいなければ高度医療は成り立ちません。
医師でも、内科・外科という大きな分野だけでなく、循環器科・脳外科・腎臓科・整形外科など多くの診療科で成り立っており、医師という免許があっても全ての診療を適切にできるわけではありません。
医師免許を取得したのち、専門分野を学び、経験を積んで極めていくのです。よって、例えば、人工呼吸器が動いていところは見たことがあるが触ったことがないというのが初期研修医で、臨床工学技士が指導する立場になる。これは看護師も同様です。今後、高度医療が進むにあたって、臨床工学技士は日本の医療に欠かせない医療職種です。

著者プロフィール

すな

臨床工学技士

血液浄化・呼吸管理・医療機器管理などの業務を中心に勤務。現在は特定医療法人で人工透析業務に従事している。現場での経験を活かし、医療職のリアルや臨床工学技士の魅力を発信中。

監修者プロフィール

松井 晃

臨床工学技士

小児専門病院で40年の経験を持つ臨床工学技士。
KIDS CE ADVISOR代表
医療の3つの”き”を「きほん」「きづく」「極める」こと伝え「新生児・小児の患者さんや家族とその医療の全てに関わる皆様をhappyになれる医療を目指す」ことを目的に事業を立ち上げました。
呼吸療法や在宅医療を中心とした講義や講演、セミナー、BLS(一時救命処置)やNCPR(新生児蘇生法)のインストラクター、医療機器製造企業のアドバイザー、書籍や専門誌の執筆などの仕事を幅広くしている。

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