臨床工学技士の給料は低い?平均年収や仕事の将来性も解説

更新日 2025年04月07日 公開日 2021年10月11日

#年収・給料 #情報収集 #転職検討/準備

臨床工学技士は医師、看護師などとチームを組んで、血液浄化装置、人工心肺装置、人工呼吸器といった医療機器を操作する専門職です。また、院内にある医療機器が安全に使えるように保守・点検を行うのも、臨床工学技士の重要な役目となります。

医療技術の進歩によって、医療機器はより高度で複雑になりました。それにともなって、医療機器に精通した臨床工学技士も、現代医療に必要不可欠な存在となっています。しかし、その一方で「臨床工学技士は他の医療系職種に比べて年収が低い」と言われることも珍しくありません。

そこで当記事では、臨床工学技士としての就職・転職を検討している方に向けて、臨床工学技士の実際の給料事情や将来性、収入アップの方法などについて徹底解説します。

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臨床工学技士の平均給料は?初任給や収入アップの方法・将来性も解説

臨床工学技士が受け取る年収の平均額は約460万円

同じ医療系の職種でも、保有資格や業務内容によって年収は異なります。まずは、厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」から、臨床工学技士と他の医療技術職の平均年収を見ていきましょう。

資格 平均年収
臨床工学技士 459.2万円
診療放射線技師 537万円
臨床検査技師 508.5万円

(出典:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」/https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2023/index.html/

※臨床工学技士のデータは柔道整復師、はり師、きゅう師などを含む「その他の保健医療従事者」に分類されたなかでの数値であるため、実際の臨床工学技士の給与水準とは差がある可能性があります。

臨床工学技士の年収は、診療放射線技師や臨床検査技師と比べて、やや低い傾向にあります。

これにはさまざまな理由が考えられますが、その一つとして、臨床工学技士の仕事内容が診療報酬(国が定める医療サービスの価格)に直結しづらいことが挙げられます。医療従事者の給与には診療報酬が関係していますが、臨床工学技士の場合、診療報酬を得られる業務が少なく、医療機関の収益につながりにくい傾向にあります。そのため、年収が上がりにくいと言われているのです。

また、現状の診療報酬制度では、施設における臨床工学技士の配置人数や医療機器の安全管理・点検が評価される一方で、操作スキルや経験が考慮されていないため、スキルを磨いても年収が上がりにくいとされています。

ただし、実際の給与額は、勤務先の規模や業務内容、勤務年数によっても異なります。上記の年収は目安の一つとしてお考えください。

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臨床工学技士の初任給は?

厚生労働省が公表している「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、臨床工学技士の初年度の平均年収は約274.1万円でした。そのうち、賞与や手当の合計額は約2.9万円で、賞与・手当を含めない月収は約22.6万円となりました。

年収 274.1万円
月収 22.6万円
賞与 2.9万円

(出典:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」/https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003426418

※経験経験0年の平均給与を初年度収入として記載しています。

※臨床工学技士のデータは柔道整復師、はり師、きゅう師などを含む「その他の保健医療従事者」に分類されたなかでの数値であるため、実際の臨床工学技士の初任給とは差がある可能性があります。

とはいえ、平均年収と同様、これらの金額はあくまでも目安であり、実際の収入は勤務エリアや職場、夜勤の有無などによって異なります。ることを覚えておきましょう。規模の大きい職場で働く場合や、夜勤回数が多い場合は、比較的高い収入を得られる可能性もあるでしょう。

アルバイト・パートとして働く臨床工学技士の収入

臨床工学技士の就業形態には、雇用期間を定めずに労働契約を結ぶ「正社員」のほか、「アルバイト・パート」があります。アルバイト・パートは有期雇用で、短時間勤務や日勤シフトが基本となる点が特徴です。

厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」をもとに、アルバイト・パートとして働く臨床工学技士の平均時給や、平均労働日数を見ていきましょう。

時給 1,645円
賞与 7.8万円
実労働日数 14.4日
1日の所定内実労働時間数 5.4時間

(出典:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」/https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0004008680

※臨床工学技士のデータは柔道整復師、はり師、きゅう師などを含む「その他の保健医療従事者」に分類されたなかでの数値であるため、実際の臨床工学技士の給与水準とは差がある可能性があります。

上記の条件で働いた場合、月収は約12万7,915円、年収(賞与を含む)は約161万2,982円となります。なお、即戦力として活躍できる経験者の場合は、平均以上の時給で働くことも可能でしょう。

【年齢別】臨床工学技士の年収

ここでは、厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」から、臨床工学技士の平均年収・月収・賞与を、年齢別に見ていきましょう。

年齢 年収 月収 賞与
20~24歳 295.5万円 21.7万円 35.1万円
25~29歳 359.4万円 24.4万円 66.6万円
30~34歳 398.3万円 27.7万円 65.9万円
35~39歳 437.2万円 29.8万円 79.6万円
40~44歳 464.9万円 31.1万円 91.7万円
45~49歳 497.7万円 33.4万円 96.9万円
50~54歳 524.2万円 35万円 104.2万円

(出典:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」/https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003426418

※臨床工学技士のデータは柔道整復師、はり師、きゅう師などを含む「その他の保健医療従事者」に分類されたなかでの数値であるため、実際の臨床工学技士の給与水準とは差がある可能性があります。

●【20代】臨床工学技士の年収
20代は、ボーナスを含めた平均年収が295~360万円程度となったいます。ただし、透析クリニックや夜勤のある病院に勤めると、手当がついて年収が上がる可能性があります。

●【30代】臨床工学技士の年収
10年ほどの経験を積むと、年収は400万円前後になります。30代で主任クラスになるなど、責任のある業務を任される人もいますが、そうしたキャリアアップによって、給与アップの可能性も高まるでしょう。

●【40代】臨床工学技士の年収
経験を重ねたベテランの場合、平均年収は500万円前後になります。役職(主任・技師長・部長など)がつけば、さらなる年収アップが見込めるでしょう。

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【地域別】臨床工学技士の年収

臨床工学技士の平均年収は、地域によっても差が生じます。

ここからは、「北海道・東北地方」「関東地方」「信越・北陸地方」「東海地方」「関西地方」「中国・四国地方」「九州・沖縄地方」の7エリアに分けて、厚生労働省の調査結果をもとに算出した臨床工学技士の平均年収を紹介します。

北海道・東北地方

都道府県 年収
北海道 424.3万円
青森県 369.3万円
岩手県 313.8万円
宮城県 386.8万円
秋田県 432万円
山形県 439.6万円
福島県 417.9万円

北海道・東北地方で臨床工学技士の年収が最も高かったのは、山形県の439.6万円でした。次いで秋田県、北海道の順となっており、300万円代後半から400万円代前半のエリアがほとんどです。

関東地方

都道府県 年収
茨城県 526.5万円
栃木県 370.8万円
群馬県 469.6万円
埼玉県 418万円
千葉県 511.6万円
東京都 543万円
神奈川県 505.9万円

臨床工学技士の平均年収が最も高かったのは、東京都の543万円でした。関東地方は地域によるばらつきが大きい傾向にあり、500万円を超えるエリアが多い一方で、栃木県(370.8万円)や埼玉県(418万円)は臨床工学技士全体の平均を下回っています。

信越・北陸地方

都道府県 年収
新潟県 378万円
富山県 459.5万円
石川県 411.4万円
福井県 386.2万円
山梨県 221.5万円
長野県 417.1万円

信越・北陸地方で臨床工学技士の平均年収が最も高かったのは、富山県の459.5万円。次いで、長野県、石川県の順でした。信越・北陸地方は、年収が高い県と低い県での差が最も大きいエリアとなっています。

東海地方

都道府県 年収
岐阜県 539.7万円
静岡県 484.3万円
愛知県 451万円
三重県 470.7万円

東海地方で臨床工学技士の平均年収が最も高かったのは、岐阜県の539.7万円で、次いで静岡県、三重県の順となりました。岐阜県は、全国的に見ても年収が高い水準にあります。

関西地方

都道府県 年収
滋賀県 441.5万円
京都府 391.8万円
大阪府 440.7万円
兵庫県 445.2万円
奈良県 383.4万円
和歌山県 399.3万円

関西地方で臨床工学技士の平均年収が最も高かったのは、兵庫県の445.2万円。それに続くのが、滋賀県となりました。関西地方で最も人口規模の大きい大阪府は、3番目の数値となっています。

中国・四国地方

都道府県 年収
鳥取県 405.8万円
島根県 493.7万円
岡山県 529.3万円
広島県 437.1万円
山口県 466.3万円
徳島県 408.6万円
香川県 517.8万円
愛媛県 384.1万円
高知県 415.6万円

中国・四国地方で臨床工学技士の平均年収が最も高かったのは、岡山県の529.3万円でした。次いで、香川県、島根県の順となっており、いずれも臨床工学技士全体の平均を上回っています。

九州・沖縄地方

都道府県 年収
福岡県 420.2万円
佐賀県 368.9万円
長崎県 471.8万円
熊本県 458.4万円
大分県 436.6万円
宮崎県 368.2万円
鹿児島県 419万円
沖縄県 398.1万円

九州・沖縄地方で臨床工学技士の平均年収が最も高かったのは、長崎県の471.8万円で、次いで熊本県、大分県の順となっています。なお長崎県は、臨床工学技士全体の平均を上回る水準です。

(出典:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」/https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2023/index.html

※臨床工学技士のデータは柔道整復師、はり師、きゅう師などを含む「その他の保健医療従事者」に分類されたなかでの数値であるため、実際の臨床工学技士の給与水準とは差がある可能性があります。

【関連リンク】臨床工学技士の魅力・仕事内容から必要となる資格の取得方法まで

臨床工学技士が受け取る年収の実態

同じ臨床工学技士でも、受け取る年収に差が出る場合があります。「臨床工学技士の平均的な額よりも年収が少ない」と感じている方は、収入差が生じる要因を知ることから始めてみましょう。

ここでは、臨床工学技士の年収額に差が生まれる要因について解説します。臨床工学技士として収入アップを目指したい方は、ぜひ参考にしてください。

手当の有無が病院によって異なる

臨床工学技士が受け取る年収額は、手当の有無によって大きく異なります。多くの病院で支給されている手当の種類は、以下の通りです。

  • ・資格手当
  • ・夜勤手当
  • ・待機手当
  • ・透析勤務手当

一般的には、上記に加えて通勤手当や住宅手当なども支給されます。「どの手当が、いくら加算されるのか」は勤務先によって異なるため、求人情報などでしっかりチェックしておきましょう。

また、病院によっては、学会に参加した際の出張費などが支給される場合もあります。そうした手当(日当)の有無についても、忘れずに確認しておきたいところです。

勤務する病院・企業によって大きな差がある

臨床工学技士の年収は、勤務する病院や企業によってさまざまです。以下では、「具体的にどのような違いがあるのか」について、例を挙げながら解説します。

(1)国公立病院
国公立病院で働く臨床工学技士は公務員の扱いとなるため、それに準じた年収・待遇が得られます。公務員は、一般的に勤続年数によって昇給することから、長期的に見て安定した収入の増加が見込めるでしょう。また、福利厚生も手厚いため、「基本給+手当」で高収入が期待できます。

(2)民間の総合病院
民間の総合病院は、規模が大きいほど臨床工学技士の需要が高く、求人も多くなる傾向にあります。年収の水準は国公立病院に比べてやや高めですが、病院の規模や手当の内容によっても異なるため、一概には言えません。高収入を目指すにあたっては、基本給に加えて、福利厚生・手当の充実度も大きなポイントとなるでしょう。

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(3)透析クリニック
人工透析装置の操作や保守点検、管理を担う臨床工学技士は、透析クリニックにとって必要不可欠な存在です。また、糖尿病などで透析患者数が増加傾向にある現代においては、今後さらに臨床工学技士の需要が増えていくことが予想されます。

透析クリニックでは、資格手当や透析業務における手当なども得やすい傾向にあり、それらが重なることで高収入につながる可能性が高いでしょう。

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(4)医療機器メーカー
医療機器の専門知識を持つ臨床工学技士は、医療機器の開発や営業販売などを行う医療機器メーカーでも活躍できます。医療機器メーカーでは営業職として働くことになり、医療機関に比べると年収は高めの傾向にあります。職場によっては、歩合制が採用されるケースもあるでしょう。

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臨床工学技士は将来性のある仕事

前述したように、医療技術の進歩にともなって医療機器も年々進化しています。そして、医療機器の急速な進化に医療現場が対応するためには、臨床工学技士の存在が必要不可欠です。

現状、医療機器の充実度は医療機関の規模や予算によってまちまちで、最新の医療機器を導入しているところもあれば、旧来的な医療機器を使い続けているところもあります。しかし、生活習慣病や感染症などへの対応は、社会全体にとっての大きな課題。時代の変化にあわせて、医療現場も変化していかなければなりません。そのため、中小の医療機関においても、最新の医療機器を導入するところが増えている傾向にあります。

そうした状況を踏まえるなら、臨床工学技士は今後さらに需要が高まる仕事だと言えるでしょう。あわせて、臨床工学技士の待遇面、収入面もよい方向に向かうことが期待できます。

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臨床工学技士の年収をアップさせる方法

臨床工学技士は、医師の指示にもとづいて業務を行う必要があり、独立開業ができない職種です。そのため、臨床工学技士として年収1,000万円を超える収入を得るのは、少し難しいかもしれません。しかし、給料水準の高い企業や病院に就職・転職することで、600万円を超える年収を得ることは十分可能です。

ここでは、臨床工学技士が年収アップを目指す2つの方法について紹介します。

医療機器メーカーに就職・転職する

医療機器メーカーで商品を開発したり、医療機関の営業販売を行ったりする際は、医療機器に関する高度な専門知識が必要です。また、医療機器は知識のない営業担当者が付け焼き刃で扱える製品ではないため、スペシャリストである臨床工学技士は非常に重宝されます。

臨床工学技士が医療機器メーカーに勤務する場合は、専門知識が必要な「セールスエンジニア」や、「フィールドサービスエンジニア」「カスタマーサポート」などの業務に携わるのが一般的です。これらの業務は、技術職としての要素が強い営業職であり、臨床工学技士としてのスキルやコミュニケーション能力、コンサルティング能力を存分に生せるでしょう。

医療機器メーカーに勤務する臨床工学技士の平均年収は、500万~600万円とされており、外資系企業のなかには600万円以上の求人も見られます。医療機関の平均よりも高い年収が期待できるため、年収アップを目指す方は医療機器メーカーへの就職・転職を検討するのも一案です。

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優秀な臨床工学技士が勤務する病院に就職・転職する

臨床工学技士としてキャリアを積んだ、ベテラン職員が在籍する病院への就職・転職では、以下のようなメリットが考えられます。

  • ・臨床工学技士としてのスキルを磨きやすい
  • ・臨床工学技士の地位が認められているため、待遇改善につながりやすい

優秀な臨床工学技士と一緒に働けば、実務を通じて知識や技術を吸収できます。臨床工学技士としてのスキルを高めることで、収入アップを目指すのも一つの方法でしょう。また、臨床工学技士が活躍できている病院では、臨床工学技士の地位が確立されており、待遇改善を求める声などが届きやすい傾向にあります。

就職・転職活動を始める場合は、専用サイトを使って求人を探すのが一般的です。しかし、すでに臨床工学技士として活動している場合、多忙な日々のなかで転職活動を行うのは、時間的な負担が大きくなります。「転職活動をスムーズに行いたい」という方は、転職エージェントやキャリアアドバイザーによるサポートを利用するのがよいでしょう。

【関連リンク】臨床工学技士が働く場所は?
代表的な就職先と選ぶポイント

まとめ

臨床工学技士は、他の医療系の技術職と比較して給料の水準が低いと言われており、将来性や収入面に不安を感じている方もいるかもしれません。

しかし、医療技術が急速に進化し、最新の医療機器が次々と登場する現代において、臨床工学技士は医療現場に欠かせない職種です。臨床工学技士の需要は今後ますます拡大し、年収を含めた待遇面もよい方向に向かうことが期待できるでしょう。

臨床工学技士として収入アップを目指している方は、これまでの実績や経験、スキルを生かして、転職してみるのもよい方法です。「はじめての転職なので不安がある」「転職活動はできるだけスムーズに進めたい」という場合は、ぜひマイナビコメディカルにご相談ください。マイナビコメディカルでは、求人のご紹介から履歴書・職務経歴書の添削や面接対策、入職後のアフターフォローまで、みなさまの活動をしっかりサポートいたします。

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監修者プロフィール

マイナビコメディカル編集部

 

リハ職・医療技術職・栄養士のみなさまの転職に役立つ情報を発信中!
履歴書や職務経歴書の書き方から、マイナビコメディカルサイト内での求人の探し方のコツや、転職時期ごとのアドバイス記事などを掲載。
転職前の情報収集から入職後のアフターフォローまで、転職活動の流れに添ってきめ細やかなフォローができる転職支援サービスを目指しています。

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