管理栄養士の給料が低い理由とは?年収アップにつながるキャリア戦略

更新日 2026年01月20日 公開日 2026年01月20日

管理栄養士の給料が低い理由とは?年収アップにつながるキャリア戦略

文:下田由美(管理栄養士)

「資格を活かして働いているのに、給与はほとんど上がらない……」そんな状況にモヤモヤしていませんか?SNSの情報や周りの転職話を聞くほど、このままでよいのだろうかと将来に不安を感じることもあるでしょう。
実は、管理栄養士の給料が伸びにくいのには明確な理由があります。
今回は、管理栄養士の給料が低くなりがちな理由と、年収アップにつながる具体的なキャリア戦略を紹介していきます。

管理栄養士と他の職業の給料を比較

管理栄養士と他の職業の給料を比較
管理栄養士の給料は、ほかの医療職に比べてなぜ低い傾向があるのでしょうか。まずは、管理栄養士の平均年収や他職種との違いを確認していきましょう。

管理栄養士の平均年収や月収

厚生労働省の令和6年賃金構造基本統計調査の報告によると、栄養士の平均年収は約396万円でした。なお、厚生労働省の調査では、管理栄養士も栄養士の区分で集計されているため、国家資格である管理栄養士の場合は、実際にはやや高い年収が見込まれます。

一方で、国税庁の調査による給与所得者全体の平均年収は約478万円であり、管理栄養士とは約84万円の差がありました。

管理栄養士の平均月収と賞与の内訳は、以下の通りです。

【平均月収】

  • ・男女:約27.4万円
  • ・男性:約30.3万円
  • ・女性:約27.2万円

【平均賞与】

  • ・男女:約66.4万円
  • ・男性:約69.9万円
  • ・女性:約65.7万円

(出典:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査:職種(小分類)、性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」より/
※年収の算出方法:決まって支給する現金給与額×12か月+年間賞与その他特別給与額
出典:国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査

管理栄養士と他職種との年収比較

管理栄養士と他職種の年収を比較した場合は、以下の通りです。

  • ・管理栄養士:約396万円
  • ・看護師:約455万円
  • ・保育士:約403万円
  • ・介護職員(医療福祉施設等):約375万円
  • ・介護支援専門員(ケアマネジャー):約430万円
  • ・理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、視能訓練士:約449万円

(出典:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査:職種(小分類)、性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」より
※年収の算出方法:決まって支給する現金給与額×12か月+年間賞与その他特別給与額

管理栄養士の給料が低い理由

管理栄養士の収入が上がりにくい背景には、個人の努力だけでは変えにくい業界の構造や人材供給の問題があります。ここでは、主な4つの理由を解説します。

利益を生み出しにくい仕事構造

管理栄養士の給与が伸びにくい理由として、業務内容が収益につながりにくいことが挙げられます。献立作成や栄養管理、給食運営などは利用者さんなどの健康維持に欠かせない業務ですが、売り上げに直接的に結びつくわけではないため評価されにくいのです。

さらに、病院や介護施設では栄養関連の診療報酬や介護報酬を算定できるものの、点数は高くないため、人員を増やしても大幅な利益に結びつきにくいため、人件費を抑える方向に傾きやすく、昇給が進まない現状があります。

ただし、令和6年度の診療報酬改定では賃上げを後押しする項目が盛り込まれるなど、今後は処遇改善に向けた動きも期待されています。

(出典:厚生労働省「令和6年度診療報酬改定の概要【賃上げ・基本料等の引き上げ】」)

業務独占資格ではないことの影響

管理栄養士は「名称独占資格」であるため、業務そのものは他職種でも行える場合があります。特定保健指導の実施者も必ずしも管理栄養士が担当しなければならないわけではありません。このような状況では給与アップが難しいこともあります。

給食現場でも、栄養士と調理員の役割分担が曖昧な職場があり、特別な資格がなくても対応できるとみなされる業務が増えるほど、給与が上がりにくくなる傾向があります。

需要と供給のバランスが崩れている

管理栄養士の給料が伸びにくい理由には、有資格者数が増加していることも関係しており、厚生労働省のデータでは、毎年約1万人が国家試験に合格しています。

一方で、病院や施設の配置基準による採用枠は限られており、求人数が資格取得者の増加に追いついていません。このように供給過多の状態では、事業者が高い賃金を提示しなくても人材が確保できるため、管理栄養士全体の給与水準が抑えられる要因につながっています。

(出典:厚生労働省「管理栄養士国家試験実施状況」)

女性比率の高さとキャリア継続のハードル

管理栄養士は女性比率が約9割にのぼる職種であり、出産や育児、介護などライフステージの変化がキャリアに影響を及ぼしやすい点が特徴です。短時間勤務や一時的な離職を選ばざるを得ない時期があると、昇給や昇進の機会が減り、収入に影響が出ることがあります。

また、離職が多い職場では、ベテラン層が次々と入れ替わってしまい、せっかく培った知識やノウハウが職場に定着しにくくなります。

管理栄養士が収入アップのためにできること

管理栄養士が収入アップのためにできること
給料が低いと感じたときは、まず自分で変えられる部分に目を向けることが大切です。ここでは、収入アップを目指すためのポイントを紹介します。

職場選びと働き方を見直す

収入アップを目指したい方は、働く場所を見直してみましょう。たとえば、大規模な医療機関などでは給与水準が高い傾向にあります。

また、企業規模や勤務地、正社員登用制度、福利厚生の有無なども年収に影響するため、求人票を比較しながら自分に合う環境を探すことが大切です。賞与実績や資格手当、昇給率もチェックしておきましょう。

高待遇の職場が必ずしも激務とは限らず、業務が体系化されている環境では効率よく働けるケースもあります。実際、勤務先を変えるだけで年収が数十万円上がることは珍しくありません。

執筆者の経験ですが、委託給食会社から都内の直営施設へ転職した際、月収が約5万円増えた経験があります。現場での調理業務が中心だった前職に比べ、転職後は事務作業や栄養管理が中心となり、体力的な負担が大きく減りました。

ただし、役職がついたことで判断を求められる場面が増え、責任の重さを感じる場面もありました。都心の職場は満員電車で通勤に時間がかかり、毎日が慌ただしかったです。ほかにも、自宅から車で数分の職場で勤務した経験もありますが、給与面ではやはり都市部のほうが期待できました。

専門性・スキルの強化で価値を上げる

管理栄養士としての市場価値を高めるためには、専門性を磨くことが重要です。糖尿病や腎疾患、小児栄養、高齢者栄養、NSTなど、特定分野の知識を深めることで、求められる場面が増え、病院やクリニックでの評価も上がりやすくなります。

また、スポーツ栄養などの分野に携わることで、さらに活躍の場を広げることもできます。現場経験を積みながら管理職や教育担当を目指すことも、収入アップにつながる選択肢です。常に学び続ける姿勢は、専門家としての信頼にも直結するでしょう。

副業・兼業・フリーランスという選択肢

副業可能な職場が増えたことで、管理栄養士の働き方はさらに柔軟になりました。たとえば、オンラインでの栄養相談や企業サイトの記事執筆、SNSの監修など、自宅でできる仕事もあります。

クラウドソーシングサービスを利用すれば、個人でも案件を獲得しやすくなり、スキマ時間を収入に変えることも難しくありません。ただし、副業を始める際は就業規則の確認や確定申告の有無など、事前に確認しておく必要があります。

フリーランスとして独立する管理栄養士も増えており、自分の得意分野を活かせば、好きな仕事と安定した収入の両立も目指せます。さまざまな働き方を組み合わせることで、キャリアの選択肢は広がるでしょう。

管理栄養士の給料が高い職場

高収入を得やすい職場を知ることで、今後のキャリア設計がしやすくなります。比較的高収入が期待できる勤務先は、以下の通りです。

安定感抜群!公務員・自治体運営施設

年功序列型の昇給制度が整っており、安定した収入が期待できます。ボーナスや地域手当・扶養手当も充実しているため、長期的に働きたい方に向いています。

専門的な知識を活かせる!病院・クリニックなど

医療機関は、管理栄養士の給与水準が比較的高い傾向があります。特に糖尿病内科や腎臓内科など、慢性疾患の栄養指導が重視される職場では、専門性が評価されやすく、高待遇につながるケースがあります。

新たな分野で力を発揮できる!食品メーカー・開発部門など

食品メーカーや大手企業の研究・開発職における管理栄養士は、企業の利益に直結する業務に携わるため、評価されやすい傾向があります。商品開発・品質管理・マーケティングなど、管理栄養士ならではの視点を生かせることも魅力のひとつです。

キャリアアップと収入の両立!大手の給食委託会社など

大手の給食委託会社では、待遇改善を進めている企業も増えており、管理栄養士手当や責任者手当が充実した求人がみられます。マネジメント経験を積むことで昇給の幅が広がるため、キャリアアップと収入アップが目指せます。

管理栄養士としての道はひとつじゃない!自分らしくキャリアを築こう

管理栄養士の働き方は年々多様化しており、病院や施設だけにとどまりません。専門性を高めて医療現場で活躍する道もあれば、企業での商品開発やマーケティングに携わる道、在宅ワークやフリーランスとして活動する形も選べます。

大切なのは、自分の強みやライフスタイルに合った働き方を選ぶことです。視野を広げれば、管理栄養士としてのキャリアは何通りにも描くことができます。ぜひ、自分らしい働き方を見つけてみてください。

参考

(出典:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査:職種(小分類)、性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」より/)
※年収の算出方法:決まって支給する現金給与額×12か月+年間賞与その他特別給与額
(出典:国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」)

(出典:厚生労働省「令和6年度診療報酬改定の概要【賃上げ・基本料等の引き上げ】」)

(出典:厚生労働省「管理栄養士国家試験実施状況」)

【監修者コメント】
管理栄養士は「食と健康の専門職」として多くの場面で活躍していますが、給与や待遇については他の医療専門職と比べて課題が残るのも事実です。しかし、近年ではフリーランスや企業での活躍など、新たな働き方も広がりつつあります。管理栄養士という資格は、社会に大きく貢献できる力を秘めています。待遇面だけにとらわれず、自分らしいキャリアを築いていけるよう、学びと行動を続けることが大切です。正しい情報をもとに、ご自身の働き方を前向きにデザインしていきましょう。

著者プロフィール

下田 由美

管理栄養士

管理栄養士として約10年間、病院、施設、保育園で幅広い年代の「食と健康」に携わってきた。そのなかで「食」と「心」は密接に関係していると気づく。現在は、「食はココロとカラダを元気にする」をモットーに管理栄養士ライターとして活動中。健康や栄養に関する記事執筆や監修、レシピづくりなどを行っている。空手道初段、県大会ベスト3の実績あり。

監修者プロフィール

武井 香七

管理栄養士

帝京平成大学健康メディカル学部健康栄養学科卒業 横浜未来ヘルスケアシステム、戸塚共立第一病院3年7ヶ月勤務 株式会社コノヒカラ、障がい者グループホーム半年勤務 その後フリーランスを経て株式会社Wellness leadを設立。栄養士事業と健康事業を行なっている。

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