管理栄養士の資格取得は難易度高い?その理由と国家試験の概要を解説

更新日 2026年01月08日 公開日 2026年01月08日

管理栄養士の資格取得は難易度高い?その理由と国家試験の概要を解説

文:中邑悠花(管理栄養士)

病気の方やスポーツ選手など、幅広い人々の栄養管理を担う管理栄養士。管理栄養士として働くためには、国家資格を取得する必要があります。進路として管理栄養士を検討している方の中には、資格取得の難しさを知りたい方もいるでしょう。
そこで本記事では、管理栄養士の資格取得が難易度が高いといわれる理由や、管理栄養士国家試験の概要について解説します。

管理栄養士の資格取得は難しい?

管理栄養士は一般的に取得が難しいといわれる資格の1つです。資格をとるためには管理栄養士養成施設に通う必要があり、取得までに最短でも4年かかります。

また養成施設で必要な単位を修得しなければ、受験資格が認められません。さらに国家試験の合格率は低い水準にあるため、資格取得が難しいとされています。

管理栄養士と栄養士の違い

管理栄養士と栄養士の違い

管理栄養士と似た資格に栄養士があります。管理栄養士は国家資格ですが、栄養士は都道府県の免許で、資格取得までの道のりや仕事における役割も異なります。

栄養士は、栄養士養成課程のある大学や短期大学、専門学校を卒業して都道府県に免許を申請することで取得できるのに対し、管理栄養士は管理栄養士養成施設で学んだのち、管理栄養士国家試験に合格しなければなりません。栄養士から管理栄養士を目指すことも可能ですが、定められた期間の実務経験と国家試験の合格が必要です。

管理栄養士の資格取得が難しいといわれる理由

それでは管理栄養士の資格取得が難しいといわれる理由について詳しく見ていきましょう。

国家試験の合格率は50~60%

ここで直近5年間の管理栄養士国家試験の合格率を見ていきましょう。

第直近5年間の管理栄養士国家試験の合格率
回・年度 合格率
第35回(令和3年) 64.2%
第36回(令和4年) 65.1%
第37回(令和5年) 56.6%
第38回(令和6年) 49.3%
第39回(令和7年) 48.1%

年によってばらつきはありますが、合格率は50〜60%前後で推移しています。ほかの医療系国家資格である看護師や保健師の合格率は約90%前後なため、それらと比較すると合格率が低く見えますが、管理栄養士試験には既卒者が多く含まれるため、合格率が相対的に低くなる傾向もあります。

既卒での資格取得はさらに難しい

栄養士を取得後、実務経験を積むことで管理栄養士国家試験の受験資格が認められるため、働きながら管理栄養士を目指すこともできます。
しかし、新卒受験者の合格率が80~90%台であるのに対し、既卒受験者の合格率は10~20%台程度にとどまります。栄養士として働きながら資格勉強の時間を確保するのは難しいため、難易度はさらに高くなる傾向があります。

通信制・夜間の養成施設がない

管理栄養士になるためには養成施設に通うのが必須ですが、通信制や夜間の施設はないため、大学や短期大学に通学し、対面での座学や実習などのカリキュラムをこなす必要があります。

そのため、育児などで通学が難しい方は、自宅での資格取得ができず、すでに社会人として働いている方も、資格取得のために休職・退職する必要があります。

医療の知識も必要

管理栄養士は、幅広い医療の知識が必要なことも難易度が高いとされる理由の1つです。

管理栄養士の試験科目のなかでも、特に「人体の構造と機能及び疾病の成り立ち」や「臨床栄養学」といった医療系科目の配点が高く、これらの分野での得点が合格のカギを握ります。

医療知識は、臓器の機能や身体のしくみを関連づけて理解する必要があり、解剖生理学や生化学の知識も求められます。応用的な問題もあるため、単なる暗記ではなく1つひとつを理解して考えられる力が求められます。そのため、理系科目に苦手意識がある人にとっては、大きなハードルとなるでしょう。

管理栄養士は医療施設で働くことも多いために、医師や看護師などの医療従事者との接点が多いのが特徴です。そのため医療知識が求められ、そのことが、管理栄養士試験の難易度を上げている要因の1つになっています。

筆者も悩んだ医療知識

ちなみに、筆者が管理栄養士の国家試験で特に難しいと感じた科目も「人体の構造と機能及び疾病の成り立ち」でした。その理由は範囲の広さです。

この科目は生化学の知識にはじまり、ホルモンの働きや人体の構造に関わる知識、疾患診断の細かい数値まで覚える必要があります。

また国家試験は、選択肢の中から正しいものを選ぶ試験です。ただ暗記するだけではなく、「知識」として身についていなければ正答を見極めるのが難しく、試験本番もかなり悩んだのを覚えています。

増える「応用力」と「思考力」を問う問題

近年の試験では、これまでの基礎的な知識を問う問題に加えて、思考力や応用力を必要とする問題が増えています。

例えば、複数の病気を抱える患者さんの栄養管理や、地域の健康課題に対する栄養施策を立案するなど、より実践的な場面を想定した問題が出題されるようになっています。そのため、それまでの単純な知識の暗記だけではなかなか対応が難しく、さまざまな分野の理解と論理的思考力が求められつつあります。

管理栄養士の出題基準は、おおよそ4年に一度見直しが行われていますが、近年の改定では、「多職種連携に必要な知識及び技能」「関連法規・制度の改正への対応」などが盛り込まれており、管理栄養士に求められる能力が高くなっていることがうかがえます。

管理栄養士国家試験の概要

管理栄養士国家試験の概要

ここで、管理栄養士国家試験の概要について確認しておきましょう。

頻度と受験資格

管理栄養士の国家試験は年に1回、全国の試験場で3月頃に実施されます。いつでも受験できるわけではないという点に注意しましょう。
必要な要件を満たしていることを確認し、受験手続きを行いましょう。受験資格が認められるケースは以下のとおりです。

  • ・管理栄養士養成課程で4年学び、栄養士資格を取得した者
  • ・栄養士養成課程で2年学び、実務経験が3年以上ある者
  • ・栄養士養成課程で3年学び、実務経験が2年以上ある者
  • ・栄養士養成課程で4年学び、実務経験が1年以上ある者

栄養士から管理栄養士を目指す場合、2年制栄養士養成校を卒業した方は、通学と実務経験で5年の期間を要します。なお実務経験は病院や学校、介護施設など、継続的に食事を提供する施設での勤務経験などが該当します。

また食品の開発・加工を行う食品メーカーや研究所、保健所などの勤務も実務経験として認められる場合があります。

試験内容

管理栄養士国家試験は9科目で、最後に応用力問題が出題されます。試験科目は以下のとおりです。

  • ・社会・環境と健康
  • ・人体の構造と機能及び疾病の成り立ち
  • ・食べ物と健康
  • ・基礎栄養学
  • ・応用栄養学
  • ・栄養教育論
  • ・臨床栄養学
  • ・公衆栄養学
  • ・給食経営管理論

問題数は200問で、うち6割にあたる120問以上を正答できれば合格となります。

割合としては「人体の構造と機能及び疾病の成り立ち」と「臨床栄養学」が各26問と比較的多く、医療的な知識が広く求められます。また近年の試験では「応用力問題」の出題数が増えており、さまざまな分野の知識を複合的に考える力が必要です。
出題形式はマークシート方式で、5つの選択肢から問題の解答として正しいものを選びます。

なお、栄養管理を実践するうえで必要な思考・判断力を評価する問題では、最も適切なものを答える必要があります。

管理栄養士の国家試験を受けた者として

筆者が試験勉強で最も苦労したのは、勉強時間を確保することでした。筆者は片道2時間かけて管理栄養士養成課程のある大学に通い、アルバイトや習い事、実験科目のレポート作成や卒業論文にも取り組んでいたため、なかなか試験勉強が進まず、苦労しました。

通学中に暗記科目の勉強をしたり、授業の合間に過去問を解いたりして、限られた時間を有効に使うよう努めました。
管理栄養士の国家試験は範囲が広いため、まずは苦手科目を克服することを意識して計画を立てることが大切だと実感しました。

管理栄養士の資格取得は難易度が高いが専門性がある

今回は管理栄養士の資格取得が難しいとされる理由や、管理栄養士国家試験の概要について解説しました。管理栄養士は、昼間部のみで夜間部や通信制は設けられていない養成施設に通い、国家試験に合格する必要があることから、資格取得が難しいといわれています。

しかし管理栄養士は栄養士よりも専門性が高いため、病気の方や高齢者、アスリートなど特別な栄養管理が必要な対象者に関わることができます。難易度の高い資格ですが、取得すれば活躍の場が広がり、大きな転機となるでしょう。

管理栄養士は、人々の健康を食の面から支えるやりがいのある専門職です。資格取得までの道のりは決して楽ではありませんが、その分、資格を取得した後には大きな達成感と、社会で活躍できる確かなスキルが手に入ります。
将来、管理栄養士として活躍する自分の姿をイメージしながら、一歩ずつ着実に準備を進めていきましょう。

参考

厚生労働省|管理栄養士・栄養士関係

厚生労働省|令和4年度管理栄養士国家試験出題基準(ガイドライン)改定検討会

公益社団法人日本栄養士会|管理栄養士国家試験について

【監修者コメント】
管理栄養士国家試験は、医療・栄養・食に関わる多岐にわたる知識を問われるため、学習範囲も広く、応用力や思考力が求められる資格です。
本記事では、試験制度や取得までのステップが丁寧にまとめられており、進路選択を考えている方にとっても役立つ内容になっていると感じます。
正しい情報のもとで、将来の姿をイメージしながら学びを進めていくことが、合格とキャリア形成の第一歩になるでしょう。

著者プロフィール

中邑 悠花

管理栄養士

管理栄養士として介護施設で栄養管理や栄養相談などを担当。その後出産を機に退職し、管理栄養士ライターとして独立。とくに、子育て、育児、介護、栄養、食に関するテーマを得意とする。

監修者プロフィール

武井 香七

管理栄養士

帝京平成大学健康メディカル学部健康栄養学科卒業 横浜未来ヘルスケアシステム、戸塚共立第一病院3年7ヶ月勤務 株式会社コノヒカラ、障がい者グループホーム半年勤務 その後フリーランスを経て株式会社Wellness leadを設立。栄養士事業と健康事業を行なっている。

管理栄養士/栄養士(NRD)の転職ノウハウ 記事一覧

管理栄養士/栄養士(NRD)の記事一覧を見る

管理栄養士・栄養士の転職情報

管理栄養士/栄養士のピックアップ求人

管理栄養士/栄養士の新着求人2026年1月更新!

人気コラムランキング

直近1ヶ月でよく読まれている記事を
ランキングでご紹介します。

職種・カテゴリから記事を探す

キーワードから記事を探す

著者・監修者から記事を探す

簡単1分無料転職サポートに申し込む