あん摩マッサージ指圧師はやめとけ?その理由や資格取得のメリットを解説
更新日 2025年12月03日 公開日 2025年12月06日

文:藤岡嵩大(鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師)
あん摩マッサージ指圧師は、痛みやこりなど、体に不調がある患者様にとって頼りになる存在です。
一方、職業として考えると、収入や体への負担、労働条件など、さまざまな理由から「あん摩マッサージ指圧師はやめとけ」という意見も少なからず存在します。
本記事では、現役のあん摩マッサージ指圧師の視点から、「やめとけ」と敬遠される理由を中心に、その魅力もあわせて解説します。ご一読いただければ、職業選びに役立つ視点を得ることができると思います。
目次
あん摩マッサージ指圧師とは

あん摩マッサージ指圧師は、押す・もむ・たたくなどの手技療法を使って、心身の不調を改善し、健康をサポートする専門職です。
厚生労働大臣の免許が必要な国家資格であり、医療現場でも活躍することができる専門的な知識と技術を持っています。
あん摩マッサージ指圧師はやめとけと言われる5つの理由
「あん摩マッサージ指圧師はやめとけ」と言われる主な理由は次の5つです。
・国家資格の取得に時間とコストがかかる
・無資格者の存在
・技術の継承が不安定
・身体的な負担が大きい
それぞれについて解説します。
収入が低い
あん摩マッサージ指圧師の収入は、民間の平均年収である約460万円を下回り、約430万円とされています。
さらに、あん摩マッサージ指圧師の年収は、勤務地によっても異なります。例えば、東京都では約491万円とされていますが、北海道では約280万円と、大きな差があります。
また、国家資格を取得したばかりの人は「固定給+歩合給」としている施術所(治療院)に就職するケースが多く、長く働けば収入が増える可能性はありますが、生活が安定するまでのハードルは高いのが現実です。
国家資格の取得に時間とコストがかかる
あん摩マッサージ指圧師の資格を取得するためには、原則、高校卒業後に文部科学大臣または厚生労働大臣が認定した学校や養成施設で3年以上学び、国家試験に合格する必要があります。
学費が大きな負担になるため、働きながら学ぶ人もいますが、勉強や実習に時間が割かれることから、働きながら資格を取得するのは簡単ではありません。
無資格者の存在
街にはリラクゼーションや整体などと称して、無資格者が施術する店舗が数多くあります。無資格者が働く店舗は料金が安いため、専門性を打ち出さなければ価格競争に巻き込まれ、資格を持つ強みが活かしにくい場面もあります。
技術の継承が不安定
あん摩マッサージ指圧師による手技療法は、「誰に教わるか」によって学べる技術や考え方が異なります。指導者の技術や考え方には差があり、どこで学ぶか、誰に師事するかによって将来性や得意・不得意が左右されるリスクがあります。
身体的な負担が大きい
施術中は手指や腕、腰を酷使するため、施術が長時間になると自分の体を壊してしまうことがあります。特に資格を取得して間もないうちは、姿勢や力の使い方が未熟で、肩や腰を痛めやすく、早期の離職や転職につながる可能性があります。
あん摩マッサージ指圧師になる3つのメリット

このように、「やめとけ」と言われる理由があるのですが、一方で、あん摩マッサージ指圧師にはメリットも存在します。
あん摩マッサージ指圧師の資格を取得することで得られるメリットは、主に次の3つです。
・本物のスキルを習得できる
・複数の資格保有者としての強みがある
それぞれについて解説します。
少ない費用で独立できる
あん摩マッサージ指圧師は、資格を取得した直後は施術所(治療院)に勤務して、技術と経験を積んだ上で独立開業するケースが一般的です。
自分一人で治療ができ、年齢に関係なく仕事が続けられることから、独立開業を目標にあん摩マッサージ指圧師を目指す人もいます。
自宅や小規模スペースがあれば開業できるほか、最近は患者様のご自宅で行う訪問マッサージの需要も増えています。どちらも開業・開設費用が抑えられ、自分のペースで仕事を始められます。
本物のスキルを習得できる
あん摩・マッサージ・指圧は、国家資格として制度化されたのは戦後になってからですが、その歴史は古く、日本に伝わる伝統的な手技療法です。軽擦法、揉捏法、叩打法、圧迫法、運動法など、基本的な手技療法だけでも一つひとつ突き詰めて学ぶと奥深く、施術には理論と感覚の両方が必要となります。
学校や養成施設で学んだ医学的知識を基盤に、多くの手技療法の中から自分に合った技術を習得することができれば、体一つで各方面から求められるプロフェッショナルになれるでしょう。
複数の資格保有者としての強みがある
はり師やきゅう師(鍼灸師)、柔道整復師などの国家資格保有者であれば、あん摩マッサージ指圧師の資格をあわせて取得することで施術の幅が広がります。
例えば、現行制度では、あん摩・マッサージの健康保険治療の対象となる症状は、主に「筋麻痺」「骨萎縮」「関節拘縮」の3つですが、はり・きゅうの施術もできれば、「神経痛」「リウマチ」「頸腕症候群」「五十肩」「腰痛症」「頸椎捻挫後遺症」の6疾患も対象となります。
複数の資格を保有していると、対象となる患者様が増え、多角的な視点でアドバイスができるようになります。多くの知識と技術を持っていることは、患者様の立場から見ると安心や信頼感につながり、専門職としての活躍の場も自然と広がります。
あん摩マッサージ指圧師に向いている人、向いていない人
あん摩マッサージ指圧師として長く活躍するためには、体力や技術だけではなく人柄や考え方も大切です。ここでは、私が考えるあん摩マッサージ指圧師に向いている人・向いていない人の特徴を紹介します。
あん摩マッサージ指圧師に向いている人の特徴
体力に自信がある
あん摩マッサージ指圧師の仕事は、立ち仕事や手技の繰り返しで、体力的にきついと感じることが少なくありません。施術中は長時間立ちっぱなしになることもあり、肩や腰、指などに大きな負担がかかります。
体力に自信がある人であれば、こうした身体的な負担に耐えながら仕事を続けていくことができますし、日頃から自分自身の体力づくりを行うことも仕事の一つといえるでしょう。
思いやりがある
患者様に対して寄り添うことは、手技療法の技術と同じくらい大切です。優しい心は手を通して患者様に伝わります。常日頃から思いやりを持つ人は、あん摩マッサージ指圧師に向いているといえるでしょう。
向上心がある
あん摩マッサージ指圧師の技術や知識の習得には時間と反復練習が必要です。また、資格を取った後も新しい技術や知識を学び続けなければなりません。向上心がある人は、日々の研鑽の積み重ねにより、高い技術力を身に付けることができます。
あん摩マッサージ指圧師に向いていない人の特徴
体を使った仕事が苦手
手技療法では、患者様の体に直接触れ、特徴を読み取り、適切な圧や角度で手を動かすことが求められます。体を使うことに苦手意識があると、自分自身の疲労や施術の質の低下につながります。
人と接することが苦手
あん摩マッサージ指圧師は対面での仕事であるため、患者様とのコミュニケーションは避けられません。痛みやこりなど、患者様が抱える体の不調は、身体面だけでなく精神・心理面にも影響します。人と接することが苦手な人は、慣れるまでは負担に感じてしまうでしょう。
継続的な勉強が苦手
手技療法や医学的知識は日々進化しています。「もう勉強は十分だろう」と満足してしまうと、技術や知識が時代遅れになり、患者様のニーズを満たすことは難しくなります。
まとめ:あん摩マッサージ指圧師を目指すあなたへ
「あん摩マッサージ指圧師はやめとけ」と言われる理由を5つ紹介し、資格取得のメリットや活躍できる場所、向き不向きについても解説しました。
収入や身体的負担、資格取得のハードルなど、現実的な不安を感じてしまうことはあるでしょう。しかし、それ以上にあん摩マッサージ指圧師の仕事には、直接人の役に立ち感謝される喜びや専門的な技術を身に付けられる魅力があります。
筆者自身、病院や治療院で施術を行ってきましたが、「体が楽になった」と感謝される瞬間は、この仕事を選んで良かったと心から感じます。人への思いやりや向上心を持って取り組める人にとって、あん摩マッサージ指圧師は一生ものの仕事になると自信を持っておすすめします。
本記事が資格取得を目指す第一歩の、後押しになれば幸いです。
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参考
令和5年分 民間給与実態統計調査
あんまマッサージ指圧師
「はり師、きゅう師及びあん摩・マッサージ・指圧師の施術に係る療養費の支給の留意事項等について」の一部改正について
あん摩マッサージ指圧師は、国家資格を有する専門職として、医療・介護・福祉の各分野で重要な役割を担っています。身体に直接触れて施術を行うこの仕事には、確かな知識と技術、そして何より人に寄り添う姿勢が求められます。一方で、収入や身体的負担、制度的な制約といった課題も現実に存在しており、職業として選ぶ際には、こうした側面も含めて理解しておくことが大切です。将来的には訪問マッサージや地域包括ケアなど、活躍の場がさらに広がっていくことが見込まれています。あん摩マッサージ指圧師を目指す方には、自らの適性を見つめながら、長く続けられる働き方や支援体制を考え、主体的に進路を選択していただければと思います。
著者プロフィール

藤岡嵩大
鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師
京都仏眼鍼灸理療専門学校にて、はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師3つの国家資格を取得。卒業後、病院での研修や漢方鍼灸治療院での勤務を経て、地元熊本に鍼灸治療院を開業し、地域に根差した治療院を経営している。また、Webライターとしても活動し、専門的な知識を活かして健康や医療分野の記事を執筆している。
監修者プロフィール

関 勇宇大
理学療法士
2014年、理学療法士免許を取得。回復期リハビリテーション病院にて、脳血管障害患者を中心にリハビリテーション計画を立案し、早期社会復帰を支援。訪問リハビリでは、在宅療養者とその家族に対し、生活環境に即した個別支援を提供。臨床経験で培った専門的知見をもとに、現在は医療ライターとして活動。運動療法クラウドサービス『リハサク』では、運動メニューの解説・動画制作も担当し、医療と表現の両面から、実用性と信頼性の高い情報発信を行っている。













