医療事務の資格はどれがいい?おすすめ資格を徹底解説

更新日 2026年01月20日 公開日 2026年01月20日

医療事務の資格はどれがいい? おすすめ資格を徹底解説

文:武田直也(診療情報管理士)

医療事務の資格取得を考えているものの「どの資格を選べばいいのかわからない」と迷っている方も多いのではないでしょうか。

資格選びを間違えると、時間と費用をかけたにもかかわらず実務で活かすことができず、就職活動でも効果の薄いアピールになりかねません。

本記事では、医療事務経験18年の筆者が、資格取得で得られるメリット、医療事務に必要な資格の選び方、未経験者・経験者それぞれにおすすめの資格などについて実務経験をもとに解説します。

医療事務としてのキャリアを築くための第一歩として、ぜひ参考にしてください。

医療事務は無資格でも働くことができる

医師や薬剤師は資格を持っていないと医師や薬剤師として働くことはできませんが、医療事務は法律上必須となる資格があるわけではなく、資格がなくても、医療機関で受付や会計、レセプト作成といった医療事務業務に従事することができます。

にもかかわらずなぜ、資格取得を目指す必要があるのでしょうか。ここではさっそく、資格取得のメリットを見てみましょう。

医療事務に資格が必要だといわれる理由

医療事務に資格が必要だといわれる理由</h2 医療事務が資格を取得するメリットは、大きく次の4つが挙げられます。

業務効率が上がり、時間の使い方が変わる

資格取得により得られる最大のメリットは、業務効率の向上です。レセプト作成や会計業務では、診療報酬点数の算定ルールを正確に理解していることが求められますが、資格勉強で基礎知識を身につけておけば正確に作業することができます。

加えて実務で迷う場面が減り、作業スピードも向上します。結果として残業時間が減り、プライベートの時間を確保できるようになるだけでなく、空いた時間でほかの業務をサポートする余裕も生まれます。

職場で評価され、頼りにされる存在になれる

資格を持っていることで、職場での評価や信頼が高まります。医療事務の現場では、診療報酬制度の改定や複雑な算定ルールについて相談される場面は日常茶飯事です。
資格保持者は知識の裏付けがあるため、同僚や他職種から「この件はどう判断すればいいか」と頼られる存在になりやすいといえます。

就職・転職時の実務的なメリット

未経験者が医療事務に就職・転職する際、資格は大きなアピールポイントになります。多くの医療機関では「医療事務経験者優遇」と記載されていますが、未経験者でも資格があれば「基礎知識は習得済み」と判断され、採用される可能性が高まります。

また、資格取得を目指している場合でも、面接時に学習姿勢や意欲をアピールできるため、採用担当者に好印象を与えることができます。

キャリアアップ・給与面でのメリット

資格取得はキャリアアップの足がかりにもなります。診療情報管理士など難易度の高い資格を取得すれば、レセプト業務のリーダーや医事課の責任者といったポジションの候補に挙げられやすくなるでしょう。

給与面でも、資格手当が支給される医療機関では月数千円~1万円程度の収入アップが期待できます。長期的に見れば、資格取得にかかった費用を上回る収入を得ることができる可能性は十分にあります。

【実体験】資格があると自分に自信が持てる

筆者は5年間の実務経験後に、「診療情報管理士」の資格を取得しました。それによって大きく変わったのは、「自分に自信が持てるようになったこと」と「仕事の幅が広がったこと」でした。

1つひとつの仕事に自信がつき、業務面で評価してもらえる機会が増え、頼りにされるようになったことでやりがいにもつながりました。資格取得には想像以上の効果があることを痛感しました。

医療事務の資格はどれがいいのか

 医療事務の資格はどれがいいのか</h2 筆者の経験からも、医療事務の仕事に就いている方には資格を取得することをおすすめしますが、医療事務の資格は複数あります。どの資格を取得すべきなのでしょうか。
そこでここからは、自分に合った資格を選ぶためのポイントを見ていきます。

資格選びで重視すべきポイント

資格選びで重視すべきポイントは、大きく2つあります。

1つ目は「自分の働き方を有利にできるかどうか」です。レセプト・請求業務を重視するのか、診療をサポートする業務を重視するのか、それともキャリアアップを目指したいのかで選択肢は変わります。
目的を明確にすることで、自分に必要な資格が絞れてくるはずです。

2つ目は、自分が「未経験者」か「経験者」かです。
未経験者がいきなり難易度の高い資格を目指すのは現実的ではありません。一歩一歩確実にステップアップを図るためにも、今の実力に見合った資格取得を目指しましょう。
一方経験者は、基礎となる実力はあるため、より高みを目指すための資格選びがベストになります。

目的別・おすすめ資格早見表

まず、医療事務が目指せる資格を「目的別」に整理しました。

レセプト・請求業務を重視する場合 レセプト管理士(難易度:中)
受付・診療サポート業務を重視する場合
  • ・医療事務技能審査試験(メディカルクラーク®)(難易度:中)
  • ・医療事務認定実務者®試験(難易度:低)
キャリアアップを目指す場合
  • ・医師事務作業補助者実務能力認定試験(難易度:中)
  • ・診療情報管理士(難易度:高)

まずは、自分がどの業務をキャリアの中心に置きたいのかを考え、目指せるものから検討することをおすすめします。

未経験者におすすめの医療事務の資格

未経験者におすすめの医療事務の資格</h2 次に「経験別」に見ていきます。
未経験者の場合は、まずは次の2つの資格を目指してみましょう。

医療事務技能審査試験(メディカルクラーク®)

医療事務技能審査試験(メディカルクラーク®)は、一般財団法人日本医療教育財団が実施する資格試験です。50年以上の歴史があり、総受験者数は約170万人と医療事務資格の中でも最大規模です。
合格率は50~70%程度で、比較的取得しやすい資格といえます。試験は実技試験(患者接遇・診療報酬請求)と学科試験で構成されます。

医療事務全般の基礎知識をバランスよく習得できるため、未経験者の最初の資格として適しています。医療業界で幅広く認知され、高い信頼を得ているため、就職・転職活動で有利に働きます。受付業務から診療報酬請求まで幅広く学びたい人に向いています。

医療事務認定実務者®試験

医療事務認定実務者®試験は、全国医療福祉教育協会が2016年に創設した比較的新しい資格です。医療事務に関する基礎知識と、レセプト作成の能力を備えていることを証明する資格です。
合格率は60〜80%と高く、初心者でもチャレンジしやすい資格となっています。試験内容は、接遇業務やマナーなど受付業務、診療報酬請求に関する問題が出ます。在宅受験が可能で、試験時には参考資料やノートなどの持ち込みも可能です。

医療事務資格の入門編ともいえる資格で、医療事務の基本的な知識を身につけるには十分な内容といえます。医療事務の基礎をしっかり学びたい人、短期間で資格を取得したい人に向いているでしょう。

未経験者が最初に取るべき資格はどれか

未経験者が最初に取るべき資格は、自分の目的によって異なります。
短期間で資格を取得し、まず医療事務として働き始めたい場合は、医療事務認定実務者®が最適です。合格率が高く毎月開催のため、1〜2か月程度で取得可能です。

医療事務全般の知識をバランスよく身につけたい場合は、医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)がおすすめです。認知度が高く、就職活動でも有利に働きます。

経験者が押さえておきたい医療事務資格

経験者が押さえておきたい医療事務資格</h2 ここからは、経験者が取得を検討したい資格を2つ紹介します。

医師事務作業補助者実務能力認定試験

医師事務作業補助者実務能力認定試験は、医師の事務作業を補助する専門知識と技能を認定する資格です。診断書作成補助、カルテ代行入力など、医師の負担軽減に貢献する業務に携わります。試験は学科と実技で構成され、合格率は60〜80% です。

医師事務作業補助者は診療報酬上の評価もあり、医療機関で需要が高まっている職種です。※診療報酬上の評価は、資格取得に加えて、厚生労働省が定める研修修了および配置要件を満たした場合に算定されます。

医師と密接に連携して働くため、やりがいを感じやすい業務の1つです。医師のサポートに興味がある方や、医療現場でより専門的な業務に携わりたい方に向いています。

※診療報酬上の評価は、資格取得に加えて、厚生労働省が定める研修修了および配置要件を満たした場合に算定されます。

診療情報管理士

診療情報管理士は、日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会の四病院団体協議会と医療研修推進財団が共同で認定している資格です。

診療情報管理士は、医療機関における患者さんの診療情報を適切に管理・分析し、データベースを抽出・加工・分析し、さまざまなニーズに適した情報を提供する専門職種です。
診療報酬上では、診療記録の適切な管理を評価する「診療録管理体制加算」があり、診療情報管理士はこの担当となることができます。診療録管理体制加算の算定に寄与するため、病院運営上も重要な役割を担います。

試験は年1回2月に実施され、合格率は50~70%程度で推移しています。受験には、一般社団法人日本病院会が認定する大学・専門学校に通いカリキュラムを修了するか、日本病院会が実施する2年間の通信教育修了が必要です。

診療報酬上の評価もあるため、「資格手当」が支給される医療機関も珍しくありません。カルテ管理やデータ分析に興味がある方、キャリアアップを目指したい方に向いています。

ちなみに、筆者は通信教育で診療情報管理士を取得しました。2年間の学習期間は大変でしたが、医療情報の管理・分析という専門性の高い分野に携われるようになったことは大きな財産です。

診療情報管理士は難易度が高いものの、診療報酬で評価される資格の1つです。医療事務として長く働いていきたいと考えているなら、ぜひ取得を検討してほしい資格です。

複数資格を持つべきか1つに絞るべきか

未経験者の場合、まずは1つの資格取得に集中すべきでしょう。複数の資格を同時に目指すと学習範囲が広がり、中途半端な知識習得になるリスクがあるからです。

1つ目の資格を取得して実務経験を積んだうえで、必要に応じて2つ目の資格を検討するのがより現実的で、実践的な知識も身につきます。

医療事務の資格を選ぶ際のポイント

ここでは、実際に資格を取得した経験を踏まえ、具体的に資格を選ぶポイントを1つお伝えします。

働きたい医療機関の種類・業務内容で選ぶ

働きたい医療機関の種類や業務内容によっても、選ぶべき資格は異なります。クリニックや診療所で働きたい場合は、受付業務や会計業務、レセプト作成の基礎知識が求められるため、医療事務技能審査試験(メディカルクラーク®)や医療事務認定実務者が適しているでしょう。

大学病院や総合病院で働きたい場合は、診療情報管理士や医師事務作業補助者など、より専門性の高い資格が有利に働きます。
レセプト業務を中心にキャリアを構築したい場合は、レセプト管理士を取得すれば、専門性を高めることができます。

資格取得する際に心がけたいこと

資格取得する際に心がけたいこと</h2 資格取得の際にぜひ心がけてほしいことがあります。そのポイントを次の2つにまとめました。

資格取得を目的にしない

資格取得で大切なのは、資格取得そのものを目的にしないことです。資格取得が目的になってしまうと、資格取得後に仕事のやる気が下がってしまうことがあるからです。
資格はあくまでも手段であり、本当の目的は「資格取得により自分自身がどうなりたいのか」であることを、改めて心に留めておきましょう。

「業務効率を上げたい」「キャリアアップしたい」など、取得後の自分の姿を具体的にイメージしてください。目的が明確であればあるほど、学習のモチベーションを維持しやすく、取得後も資格を実務で活かすことができ、さらに向上していくことが可能です。

「最新の知識を扱える人材」を目指す

資格取得は合格だけに意識が向きがちですが、「学んだ内容を実務でどう活かすか」を常に意識することも大切です。
「点を取るための知識」ではなく「現場で役立つスキル」に変換し続けることで、合格後に勤務先で即戦力になったり評価が上がりやすくなったりします。結果として、キャリアアップや収入アップにつながる可能性も高くなります。

また、勉強を短期の「追い込み型」で終わらせず、資格取得後も知識をアップデートする姿勢を持つことが重要です。変化の速い医療分野では、資格そのものより「最新知識を扱える人材」が評価されるからです。

自ら勉強するのはもちろん、勉強会に参加して多くの人たちとネットワークを広げて日々最新の知識を入手し、それを扱える人材になることを目指していきましょう。

特に医療事務の知識は、診療報酬改定(原則2年ごと)によって定期的に更新されます。そのため、資格取得後も学び続ける姿勢が、長く評価される人材であり続けるために不可欠です。

資格取得後のキャリアプランを描く

資格取得後のキャリアプランを描くことも重要です。たとえば、医療事務認定実務者を取得した後、実務経験を積んでから診療情報管理士を目指してマネジメント職に就く、といったように、段階的なキャリアプランを立てることで、資格取得の意義が明確になります。

資格は1つ取得して終わりではなく、キャリアを積み重ねていくための継続的なステップとして活用しましょう。

まとめ

医療事務の資格は、自分の働き方を有利にし、キャリアアップを実現するための重要なツールです。未経験者は、まず基礎知識を習得できる入門レベルの資格(医療事務認定実務者®、医療事務技能審査試験など)から始め、実務経験を積みながら次のステップを検討することをおすすめします。

経験者は、現在の業務経験を活かせる上位資格(診療情報管理士など)にチャレンジすることで、さらなるキャリアアップが期待できます。

大切なのは、資格取得を目的にするのではなく、取得後の自分の姿を明確にイメージすることです。自分の働き方を有利にできる資格を選び、取得後は実務で積極的に活かしていきましょう。

参考

公益財団法人日本医療保険事務協会
一般財団法人日本医療教育財団
全国医療福祉教育協会
一般社団法人日本病院会 診療情報管理士 通信教育

【監修者コメント】
医療事務は「資格がなくても始められる仕事」ではありますが、だからこそ知識と姿勢の差が、働きやすさや評価に直結する職種でもあります。資格取得はゴールではなく、医療現場を理解し、自分の仕事に自信と再現性を持たせるための“土台”です。医療制度は頻繁に改定され、現場では常に正確さと柔軟さが求められます。その中で、基礎を体系的に学んだ人材は、成長スピードが明らかに違います。本記事が、自分に合った資格やキャリアを主体的に考えるきっかけとなり、医療現場を支えるプロフェッショナルとして一歩踏み出す助けになれば幸いです。

著者プロフィール

武田直也

診療情報管理士

18年間医療事務として、合計3つの医療機関に従事。診療報酬をはじめ、診療情報管理士の資格を活かしたカルテ監査やDPCデータ分析、クリニカルパスなどの医療情報利活用に精通している。フリーランスWebライター。

監修者プロフィール

五藤 良将

医師

医師/医療法人社団五良会 理事長。
内科・糖尿病内科を中心に臨床に従事する一方、複数クリニックの運営・人材育成にも携わる。多職種連携の重要性を重視し、現場で「制度を理解し、考えて動ける人材」の育成に取り組んでいる。医療現場の実情に即した情報発信・医療監修を多数手がける。

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