歯科衛生士の給料は安い?年齢・地域別の比較と給料を上げるための方法
給料は、仕事のモチベーションを上げるための重要な要素です。そのため、歯科衛生士として働いている方のなかには、「他業種と比べて歯科衛生士の給料はどのくらいの水準なのだろう」「給料を増やすにはどうすればよいのだろう」など、自身の給料のことが気になっている方もいるかもしれません。
本記事では、歯科衛生士の給料を取り上げ、月収や年収の平均、他業種との違いなどについて紹介します。今よりも給料を上げるための方法もお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。
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歯科衛生士の月収・年収
厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査 」によると、歯科衛生士の平均月収は29万6,200円でした。また、平均月収12か月分に年間賞与(ボーナス)を含めた平均年収は、404万3,200円でした。
ただし、歯科衛生士の給料は、年齢や給与形態(月給・時給)によっても変わります。以下で、詳しく見ていきましょう。
年齢別の平均月収
厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査 」をもとに、歯科衛生士の年齢別の平均月収を表にまとめました。
年齢 | 平均月収 |
---|---|
20歳~24歳 | 25万5,600円 |
25歳~29歳 | 28万6,300円 |
30歳~34歳 | 30万3,300円 |
35歳~39歳 | 28万3,700円 |
40歳~44歳 | 28万5,400円 |
45歳~49歳 | 36万1,300円 |
50歳~54歳 | 32万8,200円 |
55歳~59歳 | 29万8,900円 |
60歳~64歳 | 31万8,200円 |
(出典:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況」/https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2023/index.html)
20歳~24歳の平均月収は25万5,600円で、そこから年齢を重ねるごとに月収が上がっていき、45歳~49歳で平均月収。このことから、歯科衛生士は経験を重ね、技術を磨くことで給料が上がっていく職種であることがわかります。
50歳以降に平均月収が下がっているのは、体力や健康面の制約によって、常勤から非常勤に切り替える人が増えるためだと考えられます。
他業種との比較
歯科衛生士の平均月収は、他の職種と比べて低いのでしょうか。厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」の結果をもとに、全職種の平均月収や歯科関連職種である歯科技工士、歯科医師の平均月収と比較してみました。
職種 | 平均月収 |
---|---|
すべての職種 | 31万8,300円 |
歯科衛生士 | 29万6,200円 |
歯科技工士 | 33万9,500円 |
歯科医師 | 69万5,800円 |
(出典:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況」/https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2023/index.html)
歯科衛生士の平均月収は、全職種の平均月収や他の歯科関連職種と比べて、やや低めの水準です。平均月収が低くなる理由は、歯科衛生士の9割以上が女性であり、結婚や育児といったライフイベントに合わせて、パートタイムで働く人が多いためだと考えられます。
また、歯科衛生士は、歯科医師のように治療責任や診断の権限を持ちません。そのため「補助的な役割」と見なされることが多く、それも給料が低くなる理由の1つかもしれません。
しかし、歯科衛生士は専門職のため、スキルアップをすることで給料が上がる可能性は十分にあります。詳しくは、「歯科衛生士が給料を上げるには?」の章で解説しますので、ぜひご覧ください。
(参考:日本歯科衛生士会「歯科衛生士の勤務実態報告書」/https://www.jdha.or.jp/aboutdh/chosa.html)
歯科衛生士の時給
令和2年に実施された「歯科衛生士の勤務実態報告書」によると、歯科衛生士の給与が時給の場合は、以下のような水準となっています。

(参考:日本歯科衛生士会「歯科衛生士の勤務実態報告書」/https://www.jdha.or.jp/pdf/aboutdh/r2-dh_hokoku.pdf)
常勤・非常勤で若干の差があるものの、ともに「1,100円以上1,300円未満」が最も多く、次いで「1,300円以上1,500円未満」となっています。
常勤のほうが、高時給帯(1,700円以上1,900円未満)の割合は高くなりますが、その理由としては、勤務時間が長く業務内容も多岐に渡るためだと考えられます。
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歯科衛生士が給料を上げるには?
診療所に勤務している場合、仕事の範囲を広げたり、資格を取得したりすることで給料が上がる可能性があります。しかし、なかには評価制度が整っていない診療所もあり、努力してスキルアップしても、給料が上がらない場合もあるかもしれません。
その場合は転職や副業など、働き方を変えることで給料アップを目指すことができます。ここからは、歯科衛生士が給料を上げる方法を4つ紹介しましょう。
仕事の範囲を広げる
仕事の範囲を広げると、給料が上がる可能性があります。歯科衛生士の通常業務の他に新人教育、事務作業などをこなして仕事の範囲を広げれば、職場で重宝される存在になれるでしょう。その結果、評価制度を通じて給料に反映される可能性があります。
また、矯正歯科や審美歯科、小児歯科など、専門性が求められる分野に対応できるようになれば、転職において有利になる可能性があります。
資格を取得する
資格手当を設けている勤務先では、認定歯科衛生士の資格を取得することで、給料アップが期待できます。認定歯科衛生士にはさまざまな種類がありますが、ここでは3つの認定資格と特徴をまとめました。
資格名 (認定団体) |
特徴 | 取得条件 |
---|---|---|
日本歯周病学会認定歯科衛生士 (日本歯周病学会) |
歯周病への対応を的確かつ効率的に実施できる歯科衛生士の養成が目的 | ・5年以上の実務経験(歯周病学に関する教育および研修と臨床経験) ・所定の単位取得(30単位以上の実務経験、教育研修単位) ・研修参加(日本歯周病学会、日本歯周病学会関連委員会主催の教育講演に2回以上参加) ・歯周病学会会員であること 上記を満たしたうえで、書類選考・認定試験に合格することで取得できる。 |
インプラント専門歯科衛生士 (日本口腔インプラント学会) |
口腔インプラントに対する専門的技術と知識を備えた歯科衛生士を確保することが目的 | ・正会員歴2年以上 ・3年以上インプラント治療の介助またはメンテナンスに関わっている ・日本口腔インプラント学会の学術大会または支部学術大会に2回以上参加 ・指定の講座を2回以上受講 ・口腔インプラント専門医または指導医1名の推薦を受けている 上記を満たしたうえで、認定試験に合格することで取得できる。 |
ホワイトニングコーディネーター (日本歯科審美学会) |
ホワイトニングの基本的知識を習得し、適切な情報の普及とアドバイスができる人材を養成することが目的 | ・コーディネーター認定講習会を受講 ・日本歯科審美学会会員であること 上記を満たしたうえで、認定試験に合格することで取得できる。 |
(出典:日本歯周病学会「認定歯科衛生士」/https://www.perio.jp/member/certification/hygienist/)
(出典:日本口腔インプラント学会「インプラント学会認定歯科衛生士規程草案」/https://www.shika-implant.org/shika/wp-content/uploads/2024/03/202404_dental_hygienist_kitei.pdf)
(出典:日本歯科審美学会「ホワイトニングコーディネーター」/https://www.jdshinbi.net/academic/whitening/)
上記資格のうち、「日本歯周病学会認定歯科衛生士」は難易度が高く、取得するためには時間と努力が必要です。しかし、取得すれば専門的な知識と技術を持っている証明になり、転職活動の際のアピール材料となるでしょう。
この他にも多くの学会が認定制度を設けており、学会ごとの研修や検定を受けることで、専門的な知識・技術を身につけられます。興味のある方は、調べてみるとよいでしょう。
転職する
評価制度が整っておらず、仕事の範囲を広げたり、資格を取得したりしても給料が上がらない場合は、転職を検討してみましょう。
「歯科衛生士の勤務実態報告書 」によると、勤務先の種類によって年収の水準が異なることがわかります。例えば、診療所で働く歯科衛生士の年収は、「130万円以上300万円未満」(40.1%)が最も多くなっていますが、病院・大学病院勤務では、「300万円以上400万円未満」(33.3%)の割合が最多です。また、企業・事業所等で歯科診療業務を行う場合、「400万円以上500万円未満」(31.3%)が最も高い割合となっています。
ライフスタイルや希望年収、やりがいなどを考慮しながら、自分にあった職場を選びましょう。
なお、診療所のなかには、歯科衛生士の専門スキルを評価し、給与に反映する職場や、自費診療を多く取り入れている職場もあります。そうした診療所を選べば、転職によって年収アップが期待できるでしょう。
(出典:日本歯科衛生士会「調査報告書」/https://www.jdha.or.jp/pdf/aboutdh/r2-dh_hokoku.pdf)
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副業を始める
歯科衛生士は大幅な残業が発生するケースが少なく、勤務時間が安定しているため、空いた時間を活用しやすい傾向にあります。副業が可能な勤務先の場合、副業で収入を増やすのも、1つの方法でしょう。
副業には歯科衛生士の経験を生かして、歯科に関わるコラムの執筆や記事の監修を行ったり、非常勤の歯科衛生士として別の医院で勤務したりする選択肢があります。ただし、勤務先が副業を禁止している場合もあるため、必ず確認するようにしてください。
まとめ
歯科衛生士の給料は、全職種の平均よりもやや低い水準となっています。しかし、残業が少なくワークライフバランスがとりやすい点は、働くうえでの大きなメリットです。また、国家資格であることから、一度離職しても再就職しやすいという特徴もあり、歯科衛生士には給料水準だけでは測れない魅力があります。
歯科衛生士として、給料アップを目指したい場合は、自分のスキルを磨いたり働き方を変えたりするのがおすすめです。業務の範囲を広げたり、認定歯科衛生士の資格を取得したりすれば、給料が上がるだけでなく、歯科衛生士としての知識・技術も向上するでしょう。
もちろん、より給与の高い他の職場に転職するのもよい方法です。歯科衛生士として長く働き続けるためにも、一度自身のスキルや働き方を見直してみてはいかがでしょうか。
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