老人ホームで働く言語聴覚士の仕事内容は?向いている人の特徴も

更新日 2023年04月19日 公開日 2023年04月27日

#情報収集 #転職検討/準備

言語聴覚士とは、音声機能や言語機能、聴覚、認知などの障害でコミュニケーションが困難になった方に対し、状況を改善・軽減するための訓練や支援を行う専門職です。言語聴覚士資格を取得することで、医療施設や介護施設など幅広い勤務先で働けるようになります。

言語聴覚士の就職先として、もっとも多いのは病院のリハビリテーション科、脳外科、神経内科などですが、老人ホームで働く方も多く見られます。「医療施設ではなく介護施設で活躍したい」という言語聴覚士の方は、求人数の豊富な老人ホームを就職先・転職先の候補に選ぶのも良いでしょう。

当記事では、老人ホームで働く言語聴覚士の主な仕事内容や、老人ホーム勤務に向いている言語聴覚士の特徴などについて詳しく紹介します。ぜひ、今後のキャリアプランを考える際の参考にしてください。

転職のプロがあなたにマッチする
職場探しをお手伝いします♪(完全無料)
老人ホームで働く言語聴覚士の仕事内容は?向いている人の特徴も

言語聴覚士が働ける老人ホーム

言語聴覚士の職場として真っ先に思い浮かぶのは病院ですが、実は老人ホームからの言語聴覚士求人も多数あります。

ただし、ひと口に老人ホームと言っても、利用対象者の要介護度や運営の目的によって、いくつかの種類に分けられます。ここでは、言語聴覚士が活躍できる「リハビリを提供している老人ホーム」について、その種類や特徴を紹介しましょう。

●特別養護老人ホーム
特別養護老人ホームとは、在宅での生活が困難になった高齢者が入居できる、公的な介護保険施設の1つです。「介護老人福祉施設」とも呼ばれており、要介護3以上の方が利用対象となります。民間の施設に比べて低料金で入居でき、食事、入浴といった日常生活の介助や生活支援、健康管理、機能訓練などが提供されます。

(出典:厚生労働省「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)」/https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group14.html

●介護老人保健施設
介護老人保健施設とは、医療ケアやリハビリを必要とする要介護状態の高齢者を受け入れ、在宅復帰・在宅療養に向けた支援(医療ケア、リハビリ、入浴や排泄などの介護サービス)を提供する施設です。「老健」とも呼ばれており、入院治療の必要がない要介護度1以上の方が利用対象となります。

(出典:公益社団法人 全国老人保健施設協会「老健施設とは」/https://www.roken.or.jp/about_roken

●介護医療院
介護医療院とは、長期的な医療・介護を必要とする要介護状態の高齢者に向けて、食事、入浴などの日常的な介護サービスや、医療的サービス(喀痰吸引、経管栄養から看取り・ターミナルケアまで)を提供する施設です。介護医療院は、利用対象者の身体状態によって、1型・2型・医療外付け型の3つに大別され、それぞれに人員配置などが異なります。

(出典:厚生労働省「介護医療院とは?」/https://www.mhlw.go.jp/kaigoiryouin/about/

●介護付き有料老人ホーム
介護付き有料老人ホームとは、介護スタッフが24時間常駐しながら、入居者に日常生活上の支援や必要に応じた介護サービス(食事、入浴、排泄など)を提供する施設です。主に民間企業が運営しており、入居要件も施設によって異なります。

(出典:厚生労働省「有料老人ホームの概要」/https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12600000-Seisakutoukatsukan/0000038009_1.pdf

老人ホームの種類によって、言語聴覚士の働き方は異なります。また、働き方が違えば得られる給与も違ってきます。マイナビコメディカルの求人情報を参考に、「老人ホームで働く言語聴覚士の平均年収」を算出してみたところ、約330万~400万円となりました。

【関連リンク】マイナビコメディカルで
介護福祉施設勤務の言語聴覚士求人を探す

言語聴覚士の給与額や手当支給額についてより詳しく知りたい方は、下記関連記事もご参考ください。

【関連リンク】【実例あり】言語聴覚士の給料・年収の実情|
現役言語聴覚士にインタビュー

老人ホームでの言語聴覚士の仕事内容

老人ホームの利用者さまには後期高齢者が多く、複数の疾患や既往症を持っているケースも少なくありません。そのため、老人ホームで働く言語聴覚士には、発声・発語や聴覚のリハビリのほか、嚥下訓練、失語症・認知症のリハビリなど、幅広い支援が求められます。

ここからは、嚥下訓練、失語症のリハビリ、認知症のリハビリについて、それぞれどのような障害なのか、どのような訓練・リハビリを行うのかを紹介します。

嚥下訓練

嚥下訓練とは、摂食嚥下障害を持つ高齢者に対して、嚥下機能の維持・改善を目的に行う機能訓練です。摂食嚥下障害とは、何らかの理由によって食べ物を飲み込んだり、飲み込んだものを胃まで運ぶことができなかったりする障害を指します。摂食嚥下障害があると、誤嚥による誤嚥性肺炎が起こりやすくなり、最悪の場合死に至る可能性もあるため、言語聴覚士による嚥下訓練が欠かせません。

嚥下訓練には、食べ物を使用しない基礎訓練(間接訓練)と、食べ物を使用した摂食訓練(直接訓練)の2つがあり、状態に合わせながら両者を組み合わせて実施します。基礎訓練は口腔部分のマッサージやトレーニングがメインで、摂食訓練では咀嚼のいらない水分やゼリーから徐々に通常の食事に近づけるといったリハビリを行います。

なお、嚥下訓練を行う前には観察やテストを行い、対象者の摂食嚥下状態を正確に把握する必要があります。

(出典:公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット「高齢者の摂食嚥下(せっしょくえんげ)機能に影響する要因」/https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/koureisha-shokuji/sesshoku-enge-youin.html

(出典:公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット「嚥下障害のリハビリテーション(基礎訓練)」/https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/rehabilitation/enge-kiso.html

失語症のリハビリ

失語症とは、言語障害の一種で、脳の言語中枢が損傷を受けることによって「話す」「聞く」「読む」に必要な機能が失われてしまった状態を指します。

失語症を抱える高齢者には、話したいことをうまく話せない、相手の話が理解できない、書いてある文字が読めない、または理解できないなどの症状が見られ、場合によっては日常的な意思疎通すら困難になってしまいます。このような高齢者に対して適切なリハビリを提供することも、老人ホームで働く言語聴覚士の大切な業務です。

失語症のリハビリでは、症状に合わせて「字を書く」「日記をつける」といった基礎的な訓練から、円滑なコミュニケーションに向けた実用的な訓練(挨拶や会話などのトレーニング)までを行います。症状に合わせて適切な訓練を行うため、失語症のリハビリを始める前には、スクリーニング検査を行うのが通例です。

認知症のリハビリ

認知症とは、脳の働きが低下することによって認知機能が低下し、日常生活に支障をきたすようになった状態のことです。認知症の症状には、脳の働きの低下によって直接的に記憶障害や見当識障害、理解・判断力の低下などが起こる「中核症状」と、中核症状が本人の性格や環境に影響して妄想や抑うつ、徘徊、興奮状態などが起こる「周辺症状」の2つがあります。

認知症患者に向けたリハビリには、「作業療法」が効果的と言われています。作業療法では、五感を刺激して脳の活性化をはかる「認知刺激療法」や、楽しかった昔の思い出を話しながら記憶を引き出す「回想法」といったプログラムを、日常生活の作業やレクリエーションを通して実施するのが一般的です。

作業療法を実施するのは、主に作業療法士の役割ですが、言語聴覚士がそのサポート役を担うケースは決して少なくありません。

【関連リンク】【決定版】言語聴覚士(ST)とは?
仕事内容や働く場所を解説

老人ホームで働くのに向いている言語聴覚士の特徴

言語聴覚士は、国家資格を持つリハビリの専門職ですが、その全員が老人ホーム勤務に向いているとは限りません。以下に、老人ホームで働くのに向いている言語聴覚士の特徴を紹介します。

●成人分野の幅広いリハビリ知識がある方
介護医療院を除き、老人ホームには「医療施設のように緊急性の高い疾患を持った患者さまが少ない」という特徴があります。ただし、前述したように複数の疾患や既往症のある後期高齢者が多く利用するため、成人分野のリハビリ知識を幅広く習得しておくことが必要です。

●楽しく行えるリハビリを考えられる方
何らかの症状を抱えた利用者さまにとって、リハビリは決して楽なものではありません。利用者さまが前向きに、かつ楽しみながらリハビリに取り組めるように、リハビリ内容を工夫できる言語聴覚士は、老人ホーム勤務に向いていると言えるでしょう。

●他の専門職と連携が取れる方
老人ホームで働く言語聴覚士は、医師や看護師をはじめとする医療従事者や介護職員、作業療法士、理学療法士、機能訓練指導員などとの連携も重要となります。そうした他の専門職との連携をスムーズに取れる言語聴覚士は、老人ホーム勤務でも大いに活躍できる人材となるでしょう。

●患者さまに寄り添える方
老人ホームで働く上で、もっとも重要なのは「利用者さまに寄り添うこと」です。老人ホームを利用する高齢者のなかには、疾患や障害を抱えている方も多く、そうした方たちは常に不安や戸惑いを感じています。そのため、老人ホームで働く言語聴覚士には、利用者さまの心情に寄り添いながら訓練・ケアを実施することが求められるでしょう。

【関連リンク】マイナビコメディカルで
介護福祉施設勤務の言語聴覚士求人を探す

まとめ

言語聴覚士が活躍できる老人ホームとして、「特別養護老人ホーム」「介護老人保健施設」「介護医療院」「介護付き有料老人ホーム」などが挙げられます。ひと口に老人ホームといっても、種類によって働き方が異なるため、老人ホームでの勤務を希望する方は、「自分の理想とする働き方」を明確にすることから始めてみましょう。

老人ホームで働く言語聴覚士の主な仕事内容は、利用者さまに対する嚥下訓練や失語症のリハビリ、認知症のリハビリなどの提供です。また、それらの仕事においては、幅広いリハビリ知識が必要なだけでなく、医師や看護師、介護職員、理学療法士、作業療法士など、他専門職種との連携も重要となります。

転職を検討している言語聴覚士の方は、医療介護の求人サイト「マイナビコメディカル」をご利用ください。無料転職サポートでは、言語聴覚士業界に精通したアドバイザーによる求人のご紹介から、履歴書の添削、面接日程や条件の調整など、さまざまな転職支援を行っております。また、言語聴覚士の非公開求人のご案内も行っておりますので、ぜひ一度ご相談ください。

マイナビコメディカルの
キャリアアドバイザーに転職相談する(完全無料)
転職のプロがあなたにマッチする
職場探しをお手伝いします♪
マイナビに相談する
【関連リンク】マイナビコメディカルへのよくあるご質問

※当記事は2022年9月時点の情報をもとに作成しています

監修者プロフィール

マイナビコメディカル編集部

 

リハ職・医療技術職・栄養士のみなさまの転職に役立つ情報を発信中!
履歴書や職務経歴書の書き方から、マイナビコメディカルサイト内での求人の探し方のコツや、転職時期ごとのアドバイス記事などを掲載。
転職前の情報収集から入職後のアフターフォローまで、転職活動の流れに添ってきめ細やかなフォローができる転職支援サービスを目指しています。

言語聴覚士(ST)の転職ノウハウ 記事一覧

言語聴覚士(ST)の記事一覧を見る

言語聴覚士(ST)のピックアップ求人

言語聴覚士(ST)の新着求人2024年7月更新!

人気コラムランキング

直近1ヶ月でよく読まれている記事を
ランキングでご紹介します。

職種・カテゴリから記事を探す

キーワードから記事を探す

著者・監修者から記事を探す

簡単1分無料転職サポートに申し込む