理学療法士として理想の働き方をするには?おさえるべき3つの指標を解説
公開日:2024.11.12
文:内藤 かいせい(理学療法士)
理学療法士として仕事をするなかで、自分らしい働き方ができずに悩んでいる方もいるのではないでしょうか。自分らしく働くためには、どのような仕事がしたいのか、どのような目標があるのかを明確にすることが重要です。
この記事では、理学療法士として楽しく働くポイントを詳しくご紹介します。具体的な方法を知ることで、自分らしい働き方が見えてくるでしょう。
理学療法士の資格を活かした仕事と職場
理学療法士の働き方を考えるうえで、どのような就職先と仕事内容があるのかを把握しておく必要があります。ここでは、理学療法士の資格を活かして働ける、おもな職場について解説します。
医療機関
理学療法士が働く職場でもっとも一般的なのが、病院やクリニックなどの医療機関です。医療機関では、ケガや病気で低下した身体機能を改善させるためのリハビリを提供します。医療機関での理学療法士の仕事内容は、診療科や病院の役割によって大きく異なります。
たとえば、急性期病院では手術直後の患者さんに早期離床を促すリハビリを行う一方で、回復期病院では日常生活動作の改善を目指した訓練を実施するのが特徴です。このように、医療機関で働く理学療法士は、患者さんの状態や治療段階に応じて柔軟に対応するスキルが求められます。
介護施設
以下のような介護施設では、高齢者の生活機能の維持・向上を支援するためのリハビリを中心に行います。
● 介護老人保健施設
● デイケア
● デイサービス
医療機関と比べると、介護施設では急性期の時期に該当する方は少なく、比較的安定した状態の利用者が多い傾向にあるのが特徴です。そのため、長期的な視点でリハビリを計画し、実施することが求められます。また、利用者やその家族とのコミュニケーションを深める機会も多く、信頼関係を築きながら支援を行えるのも魅力の1つです。
福祉施設
障がい者施設や児童福祉施設などの福祉施設は、幅広い対象者に関われる職場です。さまざまな年齢層や、障がいの種類に応じたリハビリを提供できるのが特徴です。福祉施設での理学療法士の仕事は、利用者の身体機能の改善だけでなく、社会参加やQOL(生活の質)の向上を目指します。
たとえば、障がい者施設では就労支援や日常生活動作の訓練を行い、児童福祉施設では発達支援や運動機能などの向上を図ります。これらのリハビリを通じて、利用者の成長や社会参加を間近で見られることは、大きなやりがいにつながるでしょう。
訪問リハビリ
訪問看護ステーションや訪問サービスのある事業所から、利用者に自宅に直接伺ってリハビリを提供するのが訪問リハビリです。医療機関や介護施設とは異なり、実際の自宅環境でリハビリを行えるのが訪問リハビリの大きな特徴です。
一方で、利用者のライフスタイルや家屋構造などの情報を考慮してリハビリを実施する必要があるため、ある程度の経験や技術が求められます。また、基本的にスタッフは1人で訪問することが多いので、臨機応変な対応力も必要です。
スポーツ分野
スポーツジムやスポーツチームのトレーナーとして、理学療法士の資格を活かして働いている方も珍しくありません。スポーツ分野での理学療法士は、以下のようなさまざまな役割があります。
● パフォーマンス向上のための指導
● ケガ予防のための指導
● アスリートの健康管理
● 負傷した方に対してのケア・応急処置
スポーツ分野で働く魅力としては、選手の成長や競技成績の向上に直接関われる点です。選手と一緒に目標に向かって取り組むことで、大きな達成感を得られるでしょう。スポーツに高い関心を持ち、成長意欲のある理学療法士にとっては、やりがいのある職場となるでしょう。
教育・研究機関
自身の経験や知識を活かして学校の教員、研究機関の研究員として従事する働き方もあります。教育・研究機関では、次世代の理学療法士の育成やリハビリ分野の発展という重要な役割があります。この分野で働く魅力としては、臨床以外で得られる知識を身につけられる点や、別の視点から社会貢献できる点です。
ただし、これらの機関で働くためには、高度な専門知識が求められます。理学療法の発展に貢献したい、自身の経験を若い世代に伝えたいという意志を持つ方にとっては、非常にやりがいのある職場でしょう。
一般企業
理学療法士の資格や知識を活かして、一般企業で働く方も珍しくありません。とくに以下のような医療・介護に関連する企業は、理学療法士の専門性を求めているケースがあります。
● 医療機器メーカー
● ハウスメーカー
● 福祉用具メーカー
理学療法士としての経験・知識を製品開発やマーケティングなどに活かすことが可能です。このように、一般企業は理学療法士にとって新たな可能性を秘めた職場といえます。臨床経験を活かしながら、異なる角度から医療や健康に貢献できる働き方を探している方は、このような選択肢もおすすめです。
理学療法士の働き方を決める3つの指標
理学療法士として理想的な働き方を決めるための指標として、おもに以下の3つがあげられます。
1. 自分が希望する仕事内容
2. 給料・福利厚生
3. 理学療法士としての目標
ここでは、それぞれの指標について詳しく解説します。
1.自分が希望する仕事内容
理学療法士として働く際に、自分がどのような仕事をしたいのかを明確にすることが重要です。先ほど解説したように、理学療法士として活躍できる仕事は多岐にわたります。自分の興味や得意分野にあった職場を選ぶことで、やりがいを感じながら働けます。
たとえば、整形外科の知識を深めたい場合は、その領域の患者さんが多い病院を選ぶとよいでしょう。このように、理学療法士としてどのような仕事をしたいのかを考えることで、自分にとって納得のいく働き方ができます。
2.給料・福利厚生
理学療法士らしく働くうえで、給料や福利厚生などの条件も忘れてはいけません。これらの条件が自分の希望にあっていないと、仕事に対するモチベーションの低下につながります。就職や転職をする際は、自分にとって望ましい条件かどうかを慎重に検討する必要があります。給料と福利厚生では、以下のような項目をチェックしておきましょう。
【給料面】
● 初任給
● 昇給制度
● 賞与の有無
● 残業手当
● 休日出勤手当
【福利厚生面】
● 有給休暇の日数
● 有給休暇の取得率
● 育児・介護休暇制度
● 健康診断の実施状況
3.理学療法士としての目標
理学療法士として将来的にどのようになりたいか、という目標を持つことも大切です。明確な目標を持つことで仕事のモチベーションが高まり、積極的に自己研鑽できます。また、必要な資格の取得や研修への参加など、勉強すべき方向性も明確となるでしょう。
ただし、目標は必ずしも固定しておく必要はありません。理学療法士として経験を積むにつれて興味の対象が変わったり、新たな可能性が見えてきたりするケースもあります。定期的に自分の目標を見直し、必要に応じて軌道修正をするのも、理想の働き方を実現するうえで重要です。
理学療法士として自分らしい働き方をするためには?
理学療法士として自分らしい働き方をするためには、先ほど紹介した指標が今の職場で叶えられるかをよく確認しましょう。職場によっては、働き方をある程度コントロールできるケースもあります。上司に自分の希望・得意分野を伝えることで、担当する患者さんや業務内容を調整できる場合もあるでしょう。
今の職場で自分らしく働くのが難しいと感じた場合は、転職を検討するのも1つの手段です。理学療法士の資格を活かせる職場は多岐にわたるため、転職によって自分の希望にあった環境が見つかるはずです。
理学療法士の働き方を見直して活躍の場を広げよう
理学療法士が活躍できる職場はさまざまで、仕事内容も大きく異なります。自分らしい働き方をするためには、まずはどのような職場があるのかを把握することが重要です。
そして、どのような仕事をしたいのか、どのような目標があるのかを明確にしましょう。
ぜひ今回の記事を参考にして、自分にとって理想の働き方を目指してみてください。
内藤 かいせい
理学療法士として回復期病院と訪問看護サービスに従事し、脳血管疾患や運動器疾患などの幅広い症例を経験する。リハビリで患者をサポートするとともに、全国規模の学会発表にも参加。 新しい業界にチャレンジしたいと決意し、2021年に独立する。現在はWebライターとして活動中。これまでの理学療法士の経験を活かして、医療や健康分野で多くの執筆・監修に携わっている。
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