リハビリにエンターテイメントを。作業療法士が取り入れる「ゲーム」とは?
公開日:2015.11.12 更新日:2015.11.24
患者さんの生活を向上させるため、さまざまな取り組みが行われる作業療法。患者さんがリハビリへの意欲を高められるよう、エンターテイメント性を取り入れる施設が増えているようです。実際にどのような娯楽活動が取り入れられ、どのような効果を発揮しているのでしょうか。楽しみながら作業療法を行える娯楽活動について紹介しましょう。
作業療法は患者さんが主役
作業療法は、患者さんが日常生活をより快適に過ごせるように取り組むリハビリのひとつ。まず、主役となる患者さんがリハビリを楽しめるような、意欲を高めるための工夫は欠かせません。全国の作業療法室では、娯楽活動として手工芸や園芸、絵画や音楽など、患者さんの意向に応じたさまざまな取り組みがなされています。
例えば、完成までに時間がかかる創作物に取り組むことにより、長期的な動作訓練が可能になりますが、同じ作業の繰り返しは飽きやすいという一面も。一方で、ゲーム性の高い遊びは、患者さんが楽しめるだけでなく、短時間でリハビリの効果を発揮できる動作訓練にもなります。勝負を競うゲーム性の高い遊びを利用することで患者さんの集中力を養い、リハビリへの意欲を引き出すものとして広く活用されるようになりました。
作業療法に活用しやすいエンターテイメントとは
ゲームを作業療法の一環として利用する場合、リハビリの限られた時間のなかで訓練効果も発揮させなければなりません。目的動作を意識しながら、ゲームの進行をサポートしていきましょう。
指先のつまみ動作には「ボードゲーム」
指先のつまみ動作や手先の機能回復は、対象者の多い訓練のひとつ。手先を使うリハビリとして利用されているのが「ボードゲーム」です。取り入れ方は施設によって異なりますが、グループ活動であればオセロや将棋、囲碁や麻雀と種類も豊富にあります。ほかの患者さんと交流しながら一手先を考えることで脳を刺激し、手先の運動にも一役買うという優れもの。「ゲームに楽しく熱中するうちに、気がつけば手先の機能が上がっている」という状態になれば理想的ですね。
個別活動であればテレビゲームやパソコン、タブレット端末を使ったインターネットゲームも利用され、患者さんの興味を喚起することに一役買っています。
意欲を高めるための「趣味活動」
患者さんのリハビリ意欲を高めるのに最も効果的なのが、患者さん本人が希望する趣味の活動です。行われている活動は病院や施設によって異なるものの、カラオケや映画鑑賞、陶芸、プラモデルなど、患者さんの意向次第で内容も多岐にわたります。
身体機能の回復はもちろん重要ですが、患者さんの心の健康を回復させるという目的において欠かせない活動といえるでしょう。これまでに経験のない作業を取り入れるのは大変な場合もありますが、患者さんが主体となって取り組めるようにサポート体制を整えたいものです。
患者さんの興味や能力に合わせて
リハビリに取り入れられる娯楽活動の種類はさまざまですが、どんな遊びであっても患者さんの意欲や能力に応じたものでなければ、効果は半減してしまいます。例えば、単純なルールだから楽しめるだろうと患者さんにオセロを勧めても、もし本人がオセロに苦手意識を持っていれば逆効果になることも。娯楽活動は、あくまでも患者さんの興味や能力に合わせて行うことがとても大切です。
一方で、自分がやりたいことをうまく伝えられない患者さんも少なくありません。そこで必要なのが、日ごろからのコミュニケーションです。担当する患者さんは何をするのが好きなのか、彼らの“お気に入り”を引き出すのは、作業療法士の対話力と観察力にかかっています。患者さんとの信頼関係を高め、本人の要望を引き出しましょう。
患者さんと楽しい時間を共有しよう
娯楽活動の時間はリハビリだけでなく、貴重な交流の場でもあります。作業療法士も一緒に楽しんでみてはいかがでしょうか。ワクワクした時間を共有することで、患者さんも「またこの人と一緒にリハビリを楽しみたい」と感じるはず。目標達成も大切ですが、患者さんと一緒に活動を楽しめるような作業療法士を目指したいですね。
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