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第4回発達障害の見分け方と適切な作業療法とは

公開日:2017.09.15 更新日:2017.09.29

発達障害の作業療法が、主に「就学前」の子どもを対象とすると考えられていたのは、もう一昔前の話。肢体不自由や重い難病を抱えた子どもの発達支援に限らず、特別支援学校や児童デイサービス、普通学級に通いながらも学校生活に何らかの問題を抱える子どもの支援など、作業療法士が活躍する分野は年々拡大しています。対象とする疾患も広汎性発達障害(PDD)や学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)など多岐にわたっており、それぞれの特徴に応じた細やかなアプローチが求められるのは言うまでもありません。

第50回の作業療法士国家試験では、その一例が事例問題として出題されています。

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過去問題【作業療法士】

第50回 午前19・20

次の文により19、20の問いに答えよ。

10 歳の男児。学業成績は中位だが授業中に落ちつきがなく、隣の子に一方的に話
しかける、落書きをする、忘れ物をするなどでよく注意を受けていた。片付けも苦手
で自室は乱雑であった。心配した母親と共に精神科を受診し、外来作業療法が開始さ
れた。

19 この男児に予測される作業療法での様子はどれか。

  1. 1. 同じ動作を繰り返す。
  2. 2. 根拠のない自信を示す。
  3. 3. 道具をしばしばなくす。
  4. 4. 詳細を作業療法士に確認する。
  5. 5. 手順にこだわって作業をする。

20 この男児に対する作業療法での対応で適切なのはどれか。

  1. 1. 小集団活動に導入する。
  2. 2. 強い口調で指示を伝える。
  3. 3. ほめずに見守りを重視する。
  4. 4. 作業手順を詳細に説明する。
  5. 5. 問題行動には触れずにおく。

解答

正解:問19:3 、問20:1

■解説

成績は問題ないものの「落ちつきがない」「一方的に」「忘れ物をする」「自室は乱雑」という言葉から、すぐに、「注意欠陥・多動性障害(ADHD:Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder = AD/HD)」であることがイメージできたのではないでしょうか。
ADHDは、(1)不注意、(2)多動性、(3)衝動性の3要素を特徴としており、問題19は、注意散漫で集中力に欠ける様子を表す「3.道具をしばしばなくす」が正解となります。選択肢1・5は広汎性発達障害(PDD)の特徴で、特定のもの・刺激・行動にこだわる傾向が見られます。選択肢2は躁病の患者さん、4は人格障害(パーソナリティ障害)のうち特に不安や依存が強い患者さんに見られる行動特性です。
問題20の正解は「1.小集団活動に導入する」。もちろん、子どもの行動特性に応じた個別活動も並行して実施されますが、ADHDをはじめとした発達障害をもつ子どもの多くが、中枢神経系の機能障害によりソーシャルスキルを学び損ねているケースが多いため、10名以下の小集団でのプレイセラピーによるソーシャルスキル全般の改善、集団生活への興味・関心、意欲の向上や、粗大運動や日常生活技能の獲得に向けた作業活動の導入が欠かせないものとされています。


次回は、発達障害の分類、適した作業療法、発達障害をめぐる状況についてご紹介します。

中山 奈保子

中山 奈保子(なかやま なおこ)

作業療法士。
1998年作業療法士免許取得後、宮城県・福島県内の病院および施設、作業療法士養成校の専任教員等を歴任。
2011年、東日本大震災で被災したことを期に災害を乗り越える親子の暮らしを記録・発信する団体「三陸こざかなネット」を発足後、二児の母・作業療法士として「病気や障害、災害に負けない心と身体を」をテーマに執筆・講演活動などを行っている。2018年より、学校法人 医療創生大学「千葉・柏リハビリテーション学院」作業療法学科教員。


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