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第5回発達障害の分類と現在の状況

公開日:2017.10.13 更新日:2017.10.23

前回は発達障害に関する過去問から、発達障害の概念と状態に適切な作業療法についておさらいしました。続編の今回は、発達障害の特性分類、現在の状況についてご紹介します。
 

発達障害とは:さまざまな定義・分類と実務での生かし方

ではここで、発達障害の定義と分類を確認してみましょう。
 
発達障害とは?
「発達障害」は「自閉症、アスペルガー症候群(注:現在の自閉スペクトラム症)その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの」(参考:文部科学省「発達障害者支援法」(平成17年4月施行)による定義)
 
障害ごとの特性は以下のように分類されます。

広汎性発達障害(PDD:pervasive developmental disorders) コミュニケーション力・想像力・社会適応能力などに問題を抱えやすいとされる自閉症、自閉スペクトラム症(アスペルガー症候群)のほか、レット障害、小児期崩壊性障害、特定不能の広汎性発達障害が含まれます。
学習障害(Learning DisordersまたはLearning Disabilities:LD) 全般的な知的発達に遅れはないものの、読む、書く、計算するなどの特定の能力を学んだり、行ったりすることに著しい困難がある状態を指します。
注意欠陥多動性障害(ADHD:Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder = AD/HD) 注意持続の欠如もしくは、その子どもの年齢や発達レベルに見合わない多動性や衝動性、あるいはその両方を特徴とするもの。

※参考・引用:発達障害情報・支援センター(厚生労働省・国立障害者リハビリテーションセンター監修)
 
それぞれの障害には、発現時期や行動特性に一定の傾向があると言われています。例えば、広汎性発達障害のうち、自閉スペクトラム症では、最も早いケースだと1歳半前後になるとその兆候が表れ、表情や音に対する反応が乏しかったり、抱っこを嫌がったりするといった傾向が見られ、3歳までに診断が下されるケースも少なくありません。その一方で、ADHDや学習障害と診断されるのは、4~5歳または就学以降となるのが一般的です。


また、作業場面では集中力を要する場面や、コミュニケーション場面での行動にも違いが見られます。例えば、自閉スペクトラム症の人は、興味・関心の高い作業や単純なリズムで繰り返す作業となると何時間でも夢中になれるのに対し、ADHDの人は注意散漫、あるいは衝動的な行動に陥りやすく、長い時間の集中は困難になりがちです。コミュニケーション場面では、周囲への関心、想像と気配りが効きにくい自閉スペクトラム症の人に対し、ADHDの人は自分の感情をうまくコントロールできない傾向がより強く表れます。
なお、これらの発達障害は単独で表れるよりも、それぞれの要素を併せもった形で表れ、複数の診断名をもつケースも多く見られます。そのため、発達障害のタイプの診断は容易ではなく、子どもの生活背景や行動特性をよく吟味した上で、慎重に行わなければなりません。
 
子どもの発達障害では、学校生活に支障をきたすだけではなく、「親のしつけが悪い」、「特別扱いされている」などと周囲から誤解を受けるといった、社会的な問題に発展するケースがしばしば見受けられます。最近では、メディアを通じてADHDの存在が社会的に認知されるようになり、地域ごとに相談窓口が設置されつつありますが、それでも、誰にも相談できず悩みを抱え込んでしまう親子も少なくないのが現状です。周囲の理解が進まず、地域ごとの支援体制が不十分なケースでは、平時の生活だけでなく、災害時にも弱い立場に追い込まれる恐れがあります。私が実際に経験した東日本大震災の被災地では、「人が集まる場所が苦手な発達障害をもつ子どもに静かな部屋を用意して欲しい」と要望しただけでも、避難住民の非難を浴びたという親御さんがいらっしゃいました。逆に、日頃から理解や交流が進んでいる所では、地域住民の方が積極的に親子をフォローする様子も見られたようです。
 
さらに、発達障害の存在に気づかず適切な介入がないまま大人になっていくのも問題です。そのようなケースでは、ごく限られた環境のなかで「生きづらさ」を感じながら生活を送らざるを得なくなる恐れがあります。不登校、ニート、引きこもりも関連してくるでしょう。
 
発達障害の作業療法は、遊びの要素を生かした個別・集団活動による介入がメインとなります。作業療法評価では、子どもの脳機能と発達段階を客観的に捉えるのが最も重要なポイント。「じっと席に座っていられない」、「よく物を壊す」といった部分的な問題にばかり目を向けるのではなく、対象となる子どもの生活機能を包括的に捉えることが大切です。例えば、「集中力がない、意欲がない」と言われる子どもの中には、ボールを投げる・人のトンネルをくぐって遊ぶなど粗大運動を通じた体幹筋力、バランス機能の改善が功を奏すケースも少なくないため、身体機能に関しても偏りなく評価し、子どもの特技や興味関心を生かした治療プログラムを提案していきます。また、教育的な視点も欠かせません。親子、家族が地域社会で孤立しないよう、支援体制の構築を目指していきましょう。

中山 奈保子

中山 奈保子(なかやま なおこ)

作業療法士(教育学修士)。
1998年作業療法士免許取得後、宮城・福島県内の医療施設(主に身体障害・老年期障害)に勤務。
現職は作業療法士養成校専任教員。2011年東日本大震災で被災したことを期に、災害を乗り越える親子の暮らしを記録・発信する団体「三陸こざかなネット」を発足し、被災後の日常や幼くして被災した子どもによる「災害の伝承」をテーマに執筆・講演活動を行っている。


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