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改訂水飲みテスト(MWST)とは?摂食嚥下機能のスクリーニングテスト(評価)について

公開日:2018.12.10 更新日:2024.01.11

東京都言語聴覚士会の津村恒平です。
突然ですが、みなさまは摂食嚥下機能をどのような方法で評価していますか?

摂食嚥下障害は、栄養摂取や服薬状況に直結するほか、QOLにも大きく影響しているため、担当医や病棟スタッフから早急に介入を依頼されることも多いのではないでしょうか。

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摂食嚥下機能を評価には検査やスクリーニングテストがある

摂食嚥下機能の評価には、詳細に評価することが可能な「嚥下造影検査(VF)」「嚥下内視鏡検査(VE)」などといった検査があります。しかし、これらは医師が実施する検査であることや、検査機器や試料、実施場所など検査を実施するための準備が必要となります。

一方、摂食嚥下機能の「スクリーニングテスト」は、検査機器や実施場所などの準備が必要なく、簡便に実施することが可能です。そのため、「スクリーニングテスト」は臨床場面では頻繁に実施されますが、実施方法が適切でないと摂食嚥下機能の正確な評価が困難となったり、誤嚥などのリスクが生じたりする可能性があり、注意が必要です。

摂食嚥下障害の「スクリーニングテスト」にはいくつか種類がありますが、今回は「改訂水飲みテスト(Modified Water Swallowing Test)」について解説したいと思います。

■関連記事
言語聴覚士による摂食嚥下機能の評価 各評価法の視点について

過去問題【言語聴覚士】改定水飲みテストの手技で正しいのはどれか

第17回 午前 第86問

改定水飲みテストの手技で正しいのはどれか

  1. 1.冷水30mlを用いる
  2. 2.最低点を評点とする
  3. 3.水を舌根に注ぎ嚥下を指示する
  4. 4.反復嚥下を行わせない
  5. 5.評点が4点未満なら最大2施行繰り返す

解答と解説

正解:2

■解説
改訂水飲みテストはModified Water Swallowing Testの頭文字を取って「MWST」とも呼ばれ、3mlの冷水を嚥下させ、嚥下運動およびプロフィールから、咽頭期の障害を評価する方法です。MWSTは検査機器を準備する必要はなく、必要な物品は冷水とシリンジのみで、検査する場所もレントゲン室などの特定の場所で実施する必要はありません。

改訂水飲みテストMWSTの実施手順

1. シリンジで冷水を3ml計量する。
2. シリンジを持つ手と逆の手で舌骨と甲状軟骨の上に指を乗せる。
3. 口腔底に冷水3mlを注ぎ、嚥下するように指示する。
4. 嚥下を触診で確認し、むせや呼吸状態の変化の有無も併せて確認する。
5. 嚥下が起こった後に、「エー」などと発声をさせて、湿性嗄声の有無を確認する。
6. 湿性嗄声がなければ、反復嚥下を2回追加して行わせる。

MWSTの評価基準

評点1:嚥下なし、むせるand/or呼吸切迫
評点2:嚥下あり、呼吸切迫
評点3:嚥下あり、呼吸良好、むせるand/or湿性嗄声
評点4:嚥下あり、呼吸良好、むせなし
評点5:評点4に加え、反復嚥下が30秒以内に2回可能
※評点が3点以下は問題あり。
※評点が4点以上であれば最大でさらに2回繰り返し、最も悪い結果を評点とする。

それでは、上記の実施手順ならびに評価基準を参考にして(特に赤字の部分)、各設問について解説します。

選択肢1の「冷水30mlを用いる」は、冷水30mlを用いた「30ml水飲みテスト」という方法もありますが、「改訂水飲みテスト」で使用する冷水の量は3mlですので間違えないようにしましょう。

選択肢3の「水を舌根に注ぎ嚥下を指示する」は、舌根に水を注ぐと誤嚥のリスクが高まるため、口腔底に注ぎます。したがって、水を舌根に注ぐのは誤りです。

選択肢4の「反復嚥下を行わせない」は、嚥下があり、呼吸変化やむせこみ、湿性嗄声がなければ、追加で30秒間に2回以上反復嚥下を行えるかを評価するので誤りです。

選択肢5の「評点が4点未満なら最大2施行繰り返す」は、嚥下があり、呼吸状態が良好でむせも無い場合、つまり評点4以上の際は、最大2 回繰り返すので誤りです。
よって、正しいのは設問2の「最低点を評点とする」となります。

実務での活かし方

摂食嚥下障害は、栄養摂取や服薬状況に直結することや、本人のQOLにも大きく影響しているため、できるだけ早急に摂食嚥下機能を評価し、最適な対応を取ることが求められます。

しかし、実際は摂食嚥下機能の評価依頼が出ても、対象者の覚醒状態や心身状態が不良で、「スクリーニングテスト」の実施を悩むことが多々あります。摂食嚥下機能は覚醒状態にとても大きく影響されます。覚醒状態が不良で従命が困難な場合は、摂食嚥下機能の評価は誤嚥などのリスクが高いため、実施しないという判断をすることも重要です。

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津村 恒平(つむら こうへい)

津村 恒平(つむら こうへい)

2002年 言語聴覚士免許取得。回復期リハビリテーションならびに訪問リハビリテーションに従事。
一般社団法人 東京都言語聴覚士会 理事 地域生活支援局 局長
一般社団法人 日本言語聴覚士協会 医療保険部 部員

東京都言語聴覚士会ロゴ 東京都言語聴覚士会
東京都におけるすべての言語聴覚士が本会に入会され、自己研鑽に励み、地域社会に貢献することを目指し、活動中。
活動内容や入会のお問い合わせはこちらから。
http://st-toshikai.org/

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