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第31回知っておきたい吃音の基礎と臨床

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近年、吃音をテーマとしたドキュメンタリーやドラマ、映画、書籍が増え、社会の認知度も高まってきています。今回は吃音の国家試験問題をピックアップし、解説したいと思います。
 

過去問題【言語聴覚士】

第4回 午後 第175問
吃音について正しいのはどれか。

a.幼児で多発するのは阻止である。
b.成人では音節の繰り返しが多い。
c.阻止は吃音の進展の特徴の一つである。
d.発吃者の工夫によって吃音症状が減少する。
e.発話速度は吃症状に影響しない。

  1. 1.a、b
  2. 2.a、e
  3. 3.b、c
  4. 4.c、d
  5. 5.d、e

解答

正解:4

過去問題【言語聴覚士】

第4回 午後 第176問
吃音について正しいのはどれか。

a.突発的に発症しない。
b.非流暢性のタイプには多様性がある。
c.機能語より内容語で多くみられる。
d.発症年齢は4歳以降である。
e.子どもは症状を自覚していない。

  1. 1.a、b
  2. 2.a、e
  3. 3.b、c
  4. 4.c、d
  5. 5.d、e

解答と解説

正解:3

■解説
設問にある検査について解説します。

吃音の中核症状は3つあります。
1. 音の繰り返し(「ぼ、ぼ、ぼく」
2. 引き伸ばし(「ぼーーく」)
3. つまり・阻止(ブロック)(「・・・ぼく」)

Bloodstein(1995)は、発達性吃音の進展段階を第1層~4層に分けています。

第1層は緊張を伴わない、繰り返しや引き伸ばしが主であり、自身が吃音だという自覚が少ない段階、つまり幼児期に当たるといえます。
第2層は、徐々に緊張を伴う繰り返しや引き伸ばし、ブロックが出現します。自身の話し方が何か他人とは違うことに気づきはじめる頃です。
第3層はさらに緊張性に震えが加わり、言葉を出そうと工夫(手や足で拍子を取る、「あのー」などの言葉を挟む)が出現します。
第4層は、吃音に対する恐怖心がはっきりとし、発話場面を回避するようになり、吃音が出ないよう、言いにくい言葉を巧みに言い換えます。

一見すると吃音頻度は減少しているようにみえますが、発話場面を回避することで吃音に対する恐怖心は高まるばかりであり、コミュニケーションのみならず、学業、対人関係、職場での自信・意欲の喪失にもつながります。
つまり一般的には、幼児期に第1層からはじまり、大人になるにつれ第4層へと進展していく、と考えられます。

吃音の臨床法として用いられる中に、「流暢性形成法」があります。流暢性形成法とは、さまざまな発話スキルを用いて流暢な発話を習得する方法です。流暢性を促進するため、口唇・舌をやわらかく接触させる、やわらかな発声(軟起声)、音読の場合は斉読などの方法が用いられます。基本的に、吃音頻度を下げるには発話速度はゆったりとした速度が望ましいです。
つまり、第175問の設問で正しいものはc、dとなります。

第176問は、やや臨床的な要素が含まれています。 
非流暢性のタイプとは、前述にある3つの中核症状のほか、挿入(内容と関係のない言葉「えっとー」などが入る)、間や途切れ(語句の間や途中で不自然な間が生じる)、語句の繰り返し(単語や句全体を繰り返す)などが含まれ、多様性があると言えます。

吃音の進展段階の第1層について、幼児期に当たると前述しましたが、臨床的には、幼児期の子どもであっても吃音を自覚していることがあります。上手に言語化できないながらも訴えているので、一概に子どもは吃音の自覚がないとは言い切れません。

吃音を発症する発吃年齢は、多くは多語文で話すことができる、主に2歳~5歳頃に発吃することが多いです。また、小学校以降や思春期になり、心理的な要素も絡み突然発吃することもあります。

機能語は助詞、助動詞、代名詞、接続詞などの文法的な関係を表す言葉であり、内容語は名詞、形容詞、動詞、副詞のように実質的な内容を表す言葉です。内容語が話の意味役割の中心となり、一般的には名詞での吃音頻度が高い傾向にあります。
以上のことから、正しいのはb、cとなります。

■実務での活かし方
私は以前の職場で、吃音臨床を中心的に関わっていました。しかし、吃音臨床を行っている病院・施設は全国的にみても多くはありません。そのため、吃音臨床は少なく、吃音の人への対応が分からない言語聴覚士も多いのではないでしょうか。
確かに、吃音の症状は個人によって全く異なり、確立された訓練法もありません。しかし、それは言語聴覚士が関わる失語症、高次脳機能障害、音声障害、摂食嚥下障害等にも当てはまる部分があると思います。

近年、吃音をテーマとしたドキュメンタリーやドラマ、映画、書籍が増え、社会の認知度も徐々に高まってきており、吃音を学習できる講習会等も増えてきました。「知る・学ぶ」ことで、吃音臨床への不安を少なくすることができると思っています。ぜひ一歩踏み出し、吃音でどもりの困難さを感じている方の助けになれる言語聴覚士を目指していただければと思います。

参考文献:吃音の基礎と臨床 統合的アプローチ,学苑社,2007
特別支援教育における吃音・流暢性障害のある子どもの理解と支援,学苑社,2013

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本田裕治(ほんだ ゆうじ)

本田裕治(ほんだ ゆうじ)

東京都言語聴覚士会 職能局 吃音部 理事、 吃音当事者
2010年 国際医療福祉大学 保健医療学部卒業、言語聴覚士免許取得
桜水会 筑波病院、筑波こどものこころクリニック勤務
2014年~現在 王子生協病院勤務
2015年~2016年 国際医療福祉大学大学院 医療福祉学研究科 言語聴覚分野 修士課程修了。大学院では吃音当事者として「文節間のポーズ持続時間と吃音生起頻度の検討」について研究。

東京都言語聴覚士会ロゴ 東京都言語聴覚士会
東京都におけるすべての言語聴覚士が本会に入会され、自己研鑽に励み、地域社会に貢献することを目指し、活動中。
活動内容や入会のお問い合わせはこちらから。
http://st-toshikai.org/


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