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第47回認知症の方への適切な訓練とは?言語聴覚療法の考え方

公開日:2021.10.20 更新日:2021.11.25

認知症の方への適切な訓練とは?言語聴覚療法の考え方

文:近藤 晴彦
東京都言語聴覚士会 理事 広報局局長

認知症の方への言語聴覚療法で意識したいポイント

今回取り上げる過去問は「認知症の訓練」です。日常の言語聴覚士の臨床では、認知症の方に介入する頻度は高く、どのような評価・訓練を行うかなど悩みが多いかと思います。

認知症の方への言語聴覚療法について、どのように考えていくのがよいかポイントを押さえていきましょう。
 

《問題》認知症の訓練で適切でないのはどれか。

【言語聴覚士】第16回 第163問
認知症の訓練で適切でないのはどれか。

  1. a.リアリティ・オリエンテーション(現実見当識訓練)
  2. b.メモリーノート使用
  3. c.プリズム順応
  4. d.%最大酸素摂取量
  5. e.回想法
  1. <選択肢>
  2. 1. a、b
  3. 2. a、e
  4. 3. b、c
  5. 4. c、d
  6. 5. d、e

解答と解説

正解:4.c、d

■解説
認知症とは
①脳の病変もしくは脳に影響する全身疾患があって
②記憶や言語などの複数の認知ドメインが
③後天的に障害された状態で
④それが慢性に持続し
⑤その結果、社会生活の水準低下をきたした「状態」をいいます。

認知症の訓練方法には、a.リアリティ・オリエンテーション(現実見当識訓練)、b.メモリーノート使用、e.回想法などが知られています。ちなみに、c.プリズム順応、d.視覚走査訓練はともに半側空間無視の訓練方法です。

<表 認知症の訓練方法>

認知症の訓練方法 概要
リアリティ・オリエンテーション
(現実見当識訓練)
日付や場所などの見当識について再確認・再学習する。
メモリーノート使用 回想法の亜型。本人から時系列で聴取した自伝的記憶と現在の生活を、写真などと組み合わせてアルバムにし、会話などに利用する。
回想法 遠隔記憶を手がかりに、納得のいく自分史を再構築する。

実務での活かし方

認知症の方への言語聴覚療法の考え方について解説していきましょう。

認知症の方への言語聴覚療法の考え方には、
①認知機能の評価
②日常生活への視点
③症状の進行状況に合わせた介入(残存能力)
④環境調節や関連職種との連携
などが重要視されます。

4つの考え方を順に解説していきましょう。

①認知機能の評価

認知症では、記憶、見当識、注意、前頭葉機能(遂行機能)、言語、行為、視空間認知能力などの認知ドメインが複数障害されます。したがって、どの認知機能が障害されているのか、もしくは保たれているのかを評価することが重要です。

そのため、MMSEなどのスクリーニング検査では、総得点だけでなく項目にも注目し、減点もしくは加点できた項目から障害された認知機能もしくは残像能力について把握することが重要です。

②日常生活への視点

認知症の診断基準には、日常生活活動の水準の低下と行動パターンの変化が含まれます。

すなわち、認知症とは単に認知機能の低下ではなく、認知機能の低下により一人で社会生活が営めない等、社会生活の水準の低下を認める「状態」であるため、具体的な日常生活の困りごとを聴取することが重要です。

③症状の進行状況に合わせた介入(残存能力)

認知症は脳の器質的な変化が進行するため、リハビリテーションでは残された機能を最大限活用し、できている活動を維持することによって、患者のQOLを確保していくことが目標になります。

そのため、病状の進行や重症度に合わせ、残存能力など評価に基づいた介入を行うことが重要です。また、症状の進行状況に合わせて摂食嚥下機能についても評価・介入を行うことが必要になります。

④環境調節や関連職種との連携

言語聴覚士は認知機能の詳細について関連職種に情報提供を行い、日常生活の問題が環境調節により解決できるか具体的に検討することが重要です。

また、家族には本人の症状の理解を促し、コミュニケーション方法など適切な対応方法について提案することも重要です。

まとめ

認知症の方への言語聴覚療法では①~④の視点が重要になります。

すなわち、認知症の方への言語聴覚療法では、認知機能の評価を行い、日常生活の問題と結びつけ、家族を含む関連職種とともに環境調整を行い、症状の進行状況にあわせて残存能力を最大限活用でき、その人らしさを引き出すことができるような介入を行うことが目標になります。

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[出典・参照]
藤田 郁代ら.標準言語聴覚障害学 失語症学.医学書院,2009
飯干 紀代子ら. アルツハイマー型認知症患者に対するメモリーブックを用いたグループ介入の効果:無作為化比較試験に向けた試み.高次脳機能研究 2018;38(2)

近藤 晴彦

近藤 晴彦(こんどう はるひこ)

東京都言語聴覚士会 理事 広報局局長
国際医療福祉大学大学院 修士課程修了。
回復期リハビリテーション病院に勤務する言語聴覚士。
東京都言語聴覚士会ロゴ 東京都言語聴覚士会
http://st-toshikai.org/
東京都におけるすべての言語聴覚士が本会に入会され、自己研鑽に励み、地域社会に貢献することを目指し、活動中。


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