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第53回失語症の方への知的機能の評価:RCPMとコース立方体組み合わせ検査

公開日:2022.03.28 更新日:2022.05.06

失語症の方への知的機能の評価:RCPM(レーヴン色彩マトリックス検査)とコース立方体組み合わせ検査

文:近藤 晴彦
東京都言語聴覚士会 理事 広報局局長

今回取り上げる過去問は「失語症の方への知的機能の評価」です。日常の言語聴覚士の臨床では、知的機能の評価を行うことが重要ですが、失語症の方には言語性の検査の実施が困難です。

失語症の方への知的機能の評価について

非言語性の知的機能の検査には、RCPM(レーヴン色彩マトリックス検査)やコース立方体組み合わせ検査が広く知られていますが、実際の臨床場面では「どのように検査を選択するのか」「検査結果をどのように解釈するのか」など悩むことも多いのではないでしょうか。

そこで今回は「失語症の方への知的機能の評価」について紹介していきます。

 

《問題》非言語性知能を測ることができる検査はどれか。

【言語聴覚士】第15回 160問
非言語性知能を測ることができる検査はどれか。

  1. a.トークンテスト
  2. b.ストループテスト
  3. c.レーヴン色彩マトリックス検査
  4. d.コース立方体組み合せ検査
  5. e.レイ複雑図形検査

<選択肢>
1. a,b 
2. a,e 
3. b,c
4. c,d
5. d,e

解答と解説

正解:<4>c,d

実務での活かし方~失語症の方への知的機能の評価~

失語症の方への知的機能の評価は、リハビリテーション目標の設定や予後予測、訓練方法の立案に役立てるため重要な評価となります。失語症の方には言語性検査の実施が困難ですので、RCPM(レーヴン色彩マトリックス検査)やコース立方体組み合わせ検査など非言語性の検査を実施します。

それでは、実際の臨床では「失語症の方への知的機能の評価」についてどのように考え実施していくのか、解説していきましょう。

RCPM(レーヴン色彩マトリックス検査)とコース立方体組み合わせ検査の特徴

RCPMとコース立方体組み合わせ検査について表にまとめました。どちらも簡便にできる非言語性の知的機能検査になります。

では、実際の臨床では失語症の方への知的機能の検査としてどちらの検査が選択されることが多いのでしょうか?

結論を申し上げますと、実際の臨床では「RCPM」が選択されることが多いです。

表:RCPMとコース立方体組み合わせ検査

RCPM
(レーヴン色彩マトリックス検査)
コース立方体組み合わせ検査
目的 思考、知的機能の測定 知的機能の評価
(視空間機能・構成能力をみることもできる)
対象 児童から成人 児童から成人
所要時間 短時間で実施可能 短時間で実施可能
構成 各セット12問、計36問 17の模様図とそれに合わせて立方体の組み合わせの実施
手順 刺激図の空白に適合する模様を、6個の中から選択する 模様図と立方体を呈示し、模様図と同じように立方体を並べるよう指示する
評価 正答1点、誤答0点 総得点から知能指数(IQ)を算出する
結果の解釈 年齢群別の平均得点(標準偏差)
45~49歳 34.0点(2.030)
50~59歳 34.2点(2.127)
60~69歳 29.2点(5.398)
70~79歳 26.9点(5.396)
80~89歳 24.9歳(5.273)
IQに基づいた解釈を行う

なぜRCPMが選択されるのか?

RCPMとコース立方体組み合わせ検査は、どちらも非言語性の知的機能検査ですが、どうして失語症の方への知的機能の評価としてRCPMが選択されるのでしょうか?

その理由として、「コース立方体組み合わせ検査だと、構成障害などの影響により検査結果に信頼性が期待できない」といったことが挙げられます。

コース立方体組み合わせ検査は、名前のとおり、立方体を組み合わせる検査内容です。そのため、検査結果は視空間機能・構成能力の影響を受けます。失語症の方は構成障害を合併することがあり、コース立方体組み合わせ検査では知的機能の低下なのか構成障害の影響なのか判断が難しくなります。

このような理由で、失語症の方の知的機能の検査としては、コース立方体組み合わせ検査ではなくRCPMを実施することが多くなります。標準言語聴覚障害学 失語症学 第3版(医学書院)』においても、「RCPMは言語指示が最小限に抑えられていることが特徴で、重度の失語症患者にも実施が可能である」と明記されています。

どのような場合にコース立方体組み合わせテストを実施するのか?

コース立方体組み合わせテストは、失語症者に対する知的機能の評価としてはあまり実施されないことを先ほど説明しました。しかし、失語症の方に対し、掘り下げ検査としてコース立方体組み合わせ検査をすることがあります。

具体的には、失語症の方に構成障害が疑われる場合です。コース立方体組み合わせ検査を実施し、RCPMとコース立方体組み合わせ検査の結果を比較して解釈していきます。

先ほど、コース立方体組み合わせ検査は視空間機能・構成能力の影響を受けると説明しました。そのため、RCPMが正常でコース立方体組み合わせ検査が異常であった場合には、「知的機能の低下を認めず、構成障害が疑われる。」と解釈できます。

まとめ

失語症の方への知的機能の評価について、RCPMとコース立方体組み合わせ検査を中心に解説しました。

失語症の方への知的機能の評価は、リハビリテーション目標の設定や予後予測、訓練方法の立案に役立てるために非常に重要です。

失語症の方への知的機能の評価には、RCPMが検査として選択されることが多いですが、評価の目的によってはコース立方体組み合わせ検査を実施することも覚えておきましょう。

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出典・参照

藤田郁代ら.標準言語聴覚障害学 失語症学.医学書院,2021

近藤 晴彦

近藤 晴彦(こんどう はるひこ)

東京都言語聴覚士会 理事 広報局局長
国際医療福祉大学大学院 修士課程修了。
回復期リハビリテーション病院に勤務する言語聴覚士。
東京都言語聴覚士会ロゴ 東京都言語聴覚士会
http://st-toshikai.org/
東京都におけるすべての言語聴覚士が本会に入会され、自己研鑽に励み、地域社会に貢献することを目指し、活動中。


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