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リハビリテーション臨床における感染予防の新常識

公開日:2022.06.17 更新日:2022.07.05

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文:中山 奈保子
作業療法士(教育学修士)

新型コロナウイルスの感染拡大により、私たちの生活はさまざまな場面で変化を遂げました。リハビリテーション、作業療法の現場においても言うまでもなく、感染予防対策が日々当たり前に繰り返されるようになりました。
国家試験では、医療従事者として求められる感染症、あるいは感染予防対策の基礎知識が問われています。

新興感染症と新しい生活様式

新型コロナウイルスの感染拡大により、あらゆる場面で感染予防対策が当たり前になりました。はじめは煩わしさや制約でしかなかったひと手間が、今では当たり前の日課となり、ネガティブな影響だけではなく、新しい発見や気づきをも与えてくれました。

マスクがおしゃれアイテムとして選ばれたり、オンラインツールを活用して今まで叶わなかった交流ができるようになったりしたのも、そのひとつではないでしょうか。一方で、弱い立場にある方々が、取り残される出来事も多々ありました。いずれにせよ、感染症が自分ごととなり、自分や自分の大切な人をも守ろうとする意識が高まったことは、近い将来、社会全体の強さへとつながっていくのでしょう。

感染予防対策の指針

リハビリテーションの各領域でも、これまでになく感染対策全般が見直される契機となりました。養成校教育でも、特に臨床実習前の準備として、感染対策の理解と備えを学ぶ場が必須となっています。

日本リハビリテーション医学会が作成した感染対策指針には、リハビリテーション専門職が、どのような環境を準備し、患者と向き合うべきか、場面や病期ごとに明記されています。

日本作業療法士協会でも同様に、作業療法室で行うべき感染対策業務を具体的に示しました。新型コロナウイルス感染症だけではなく、私たち医療従事者が知っておくべき、感染症に関する基本的知識や個人防護具の装着方法、さらには医療従事者に最低限求められる予防接種などが示されています。

《参考:リハビリテーション専門職向け感染対策指針資料》
日本リハビリテーション医学会 感染対策指針(COVID-19含む)
COVID-19(新型コロナウイルス感染症)感染対策/作業療法業務についてvol.3
医療関係者のためのワクチンガイドライン第3版

 

《問題》主な感染経路と感染症の組合せで正しいのはどれか。

【作業療法士】第56回 午前22
主な感染経路と感染症の組合せで正しいのはどれか。

<選択肢>

  1. 1.空気感染―――流行性角結膜炎
  2. 2.空気感染―――風疹
  3. 3.接触感染―――結核
  4. 4.飛沫感染―――流行性耳下腺炎
  5. 5.飛沫感染―――疥癬

解答と解説

正解:4

感染症と感染経路に関する問題です。感染経路には、接触感染・飛沫感染・空気感染の3つの経路があります。接触感染は、患者との直接または間接的な接触、患者が頻繁に接した機器類を介する感染。
飛沫感染は、咳やくしゃみなどにより、病原微生物を含む粒子=飛沫が飛び、気道粘膜に付着することにより起こる感染。
空気感染は、空気中に飛散する病原微生物が微粒子となって浮遊し、それを吸い込むことによって起こる感染です。
流行性耳下腺炎は、ムンプスウイルスが上気道を介して感染することにより発症します。ムンプスウイルスは、唾液中に多く存在するため、咳やくしゃみにより周囲へ広がりやすいウイルスです。

臨床での活かし方

下表の通り、手洗い(手指衛生)、患者が触れる可能性のある器具・機器類の衛生管理など、平時の標準予防策は必須です。しかしながら、既存の指針や施設ごとに定められた方法は、いつまでも万全ではありません。新興感染症がいつ・どこで現れるかわからず、すでに私たちの身近に潜伏している可能性もあります。新たな脅威に備え、これまでの対策で防ぎきれない場合にどうするかを考えておく必要があります。
どのような経路で感染が広がり、何をすれば感染拡大を防げたのか。これらを検討するためには、患者や職員の動き、感染経路を的確に分析することが欠かせません。
リハビリテーションの現場でも、日頃からマニュアルや業務管理体制を備える必要があるでしょう。

感染経路 対象疾患 主な予防策
接触感染 MRSA、MDRP、VRE、ESBL、CRE など 個室隔離、コホーティング、個人防護具:ガウン・手袋の着用、着脱時の手指衛生
患者専用医療器具の準備
飛沫感染 インフルエンザ、風疹、新型コロナウイルス、ムンプス、アデノウイルス感染症、百日咳、髄膜炎菌球感染症 など 個室隔離、コホーティング、サージカルマスク着用、ゴーグル着用、患者専用医療器具の準備
飛沫感染 結核、麻疹、水痘、播種性帯状疱疹 など N95マスクの着用、水痘などの皮膚病変がある場合は、手袋・ガウンを着用

※日本リハビリテーション医学会 感染対策指針(COVID-19含む)p6-p7をもとに作成

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中山 奈保子

中山 奈保子(なかやま なおこ)

作業療法士(教育学修士)。
1998年作業療法士免許取得後、宮城・福島県内の医療施設(主に身体障害・老年期障害)に勤務。
現職は作業療法士養成校専任教員。2011年東日本大震災で被災したことを期に、災害を乗り越える親子の暮らしを記録・発信する団体「三陸こざかなネット」を発足し、被災後の日常や幼くして被災した子どもによる「災害の伝承」をテーマに執筆・講演活動を行っている。

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