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PT・OT・STへ、ボランティアのススメ

公開日:2018.12.14 更新日:2023.03.14

文:吉倉 孝則
理学療法士/保健学修士/認定理学療法士

皆さんはボランティアをしたことがありますか?
近年、全国各地で自然災害が多くあり、ボランティアに関する報道も多くありました。また災害ボランティアだけでなく、東京オリンピック・パラリンピックのボランティア募集などもあり、ボランティアへの注目の集まった2018年ではないでしょうか。
そんな、2018年の年末に「ボランティアのススメ」をしたいと思います。
 

ボランティアはプロボノや災害時だけではない

熊本でのボランティア

ボランティアで泥だしやがれきの撤去なんて大変で出来ないよ、って考えていませんか。また現地に行く時間もお金もないよって思っていませんか。
ボランティアというとやはり災害時のボランティアのイメージが強いでしょう。地震や洪水被害のあった地域へ物資を持って行ったり、泥だしをすることがテレビでも報道されます。セラピストであれば出来れば専門性を活かしたいと考えている人もいるでしょう。JRAT(大規模災害リハビリテーション支援関連団体協議会)では、災害時に避難所などにセラピストを派遣して、寝たきりや生活不活発予防などをするため体制を整備しています。このように専門家が職業上持っている知識・技術・経験を活かしたボランティア活動をすることを「プロボノ」とも呼んだりします。折角の専門職であれば、このような活動に参加するのもよいでしょう。
しかし、本来はボランティアは災害時に限りません。ボランティアとは一般的に、無報酬で自発的に他人・社会に奉仕する人または活動を指すとされます。つまり近所の清掃や、近くのお年寄りに声かけして荷物運び・買い物代行してくるのもボランティアです。また近場にもボランティアを求めている場はたくさんあります。セラピストとしてだけでなく、一般人として活動するのもよいと思います。だから、時間やお金がないと言わずにまずは気軽に参加できるといいですね。

趣味の旅行の延長‐楽しみながらやる

愛媛集中豪雨後のボランティア

私も誇れるほどのボランティア経験はありませんが、2013年に地元で開催されたB級グルメの祭典「B-1グランプリ」の運営ボランティアや東北、熊本など自然災害のあったところへのボランティア活動をしています。2015年4月に発生したネパール地震のボランティアで2017年は衣類等の物資を持ってネパールまで足を運んだこともあります。また今年の7月の西日本豪雨災害で被害のあった愛媛県にも8月に向かいました。豪雨から1か月以上経過しているのに、水道は断水が続き、まだまだ家や付近の畑は泥に覆われていました。私はお盆休みを利用しての3日間ほどの短い支援でしたが、真夏の暑い時期の泥だしは体力が必要でした。
友人、職場の人からは「よくやるね!」と言われます。そんなつらい思いをしてまで、さらに自分のお金と時間を使ってなんでボランティアをするのか?
それは楽しいからです。

現地の人のため」と言い切ればカッコイイところかもしれません。もちろん支援によって被害にあった方などの役に立ちたいという思いもありますが、それ以上に自分自身に何かができた清々しさからやっています。
上記にも書きましたが、「B-1グランプリ」は地元で開催されたイベントです。私はボランティアとして列整理や道案内、ゴミ拾いなどをしました。また熊本での活動は、年に1回障害者施設での炊き出しを行っており(今年で3回目)、団子など全国の名物を調理して仮設住宅に住んでいる方などにも振る舞っています。これらは、私はボランティアという意識よりも「大人の文化祭」だと思っています。またネパールでは、子どもたちに映画を観てもらったり、教育支援をやっています。こちらも子どもたちと遊びながら、楽しく活動しました。このように楽しみながら、さらに趣味の旅行がてら、現地に行って支援と同時にちょっと観光して、名物などおいしいものも食べてくる。現地の良くなったところを宣伝したり、観光に行って現地の物を買ったりしてお金を落とすことも大事な支援の一つです
  

ボランティアの効果は自分自身の幸せ!?

地震後のネパールに物資を運ぶボランティア

このように私は楽しみながらボランティアに参加しています。それらを助けているのは、一緒に活動する仲間です。私の場合は、たまたまこのような活動をしている知人がいたため、一緒に参加できています。さらに、これらの活動を通して、新たに知人・友人が出来て、「縁」が広がっています。こういった人の繋がりは、ボランティアに参加することをさらに楽しくし、活動以外でも遊んだりSNSでつながったりできます。社会人になると、新しい友人を作るのがなかなか難しいと思います。セラピストとして働いているとセラピスト同士の交流はできても、それ以外の仕事の人との交流はあまりなかったりするものです。ボランティア活動を通して、様々な業種の人とも繋がり、交流することは、セラピストとしての成長にも繋がると思います。患者さんはいろいろな背景や仕事経験を持っていますので、コミュニケーションを取るときそういった他業種の話などが役に立つこともあります。
また、ボランティアでは同じように「誰かを助けたい」と思う人々が集まるので、共感できる異性と出会って生涯のパートナーとなることもあります。実際に私の知人にもボランティアをきっかけに結婚した夫婦がいます。さらに、ボランティア活動は幸福感につながると言われています。幸福感に関する研究はたくさんありますが、「他者のためにお金を使うこと(向社会的消費)は、幸福度を高める」「ボランティア活動は人生の満足度の向上にとって有益である」という研究報告があります。
これらを踏まえて、私は「自分のお金と時間を費やしてよくやるね」という友人・知人に対して「私はボランティアを通して色々な人と交流できて、楽しんでいるだけ。自分のお金と時間を自分の幸福に費やしているだけ。」と答えています。

またボランティア活動と少し違うかもしれませんが、募金・寄付も立派な支援ですし、現地の物を買うことも支援です。スーパーで被災地の野菜を買うもよし、居酒屋で現地のお酒を飲むもよし、ネットで名産品を買うもよし、単純に旅行に行くもよし。あなたも楽しみながらボランティア・支援活動をしてみませんか。自分自身の幸福感につながるかもしれません。

ネパールの子どもたちと

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吉倉 孝則

吉倉孝則 (よしくら たかのり)

理学療法士。保健学修士。認定理学療法士(運動器)。
星城大学リハビリテーション学部理学療法学専攻卒業。浜松医科大学附属病院リハビリテーション部入職。星城大学大学院健康支援学研究科修了。
大学病院への勤務時代は、整形外科疾患、がんのリハビリテーションを中心に幅広い疾患のリハビリテーションに従事。院内の緩和ケアチームにも携わり多職種連携を心がけている。
臨床業務以外にも研究活動や学生の指導など教育、地域包括リーダーとして地域包括ケアの構築にも力を入れている。

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