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セラピストの本音をお届け!現役理学療法士コラム 理学療法士の吉倉孝則さんが仕事中に考えたこと、日々感じていることをお届けするコラム。現役セラピストの考えや本音が詰まった連載です。セラピストの本音をお届け!現役理学療法士コラム 理学療法士の吉倉孝則さんが仕事中に考えたこと、日々感じていることをお届けするコラム。現役セラピストの考えや本音が詰まった連載です。

第32回予防理学療法って何をするの?~健康に暮らして社会保障費も抑える

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最近、「予防」って言葉をよく聞くけど、養成校時代に「予防」についてあまり勉強した記憶がないし、理学療法士としてどんな関わり方があるのかよくわからないっていう人もいるでしょう。一方で、「これからは予防だ!」と意気揚々と予防領域で活躍するつもりのセラピストもいるでしょう。高齢者に対しての予防は理解しやすいですが、実は予防には様々な分野で関わる可能性があります。今回は「予防」領域の理学療法について紹介します。

 

なぜ疾病や介護予防が重要か

近年、予防が注目されている一番の要素は社会保障費の増大による影響が考えられます。これは第14回からの「地域包括ケアを理解するために知っておくべきこと」にも詳細に書きましたが、少子高齢社会により医療費、介護費、年金等社会保障費が増大しています。このような社会において、社会保障費を抑制するためには、誰もが健康で医療費や介護費を使わないことが重要です。そのためなるべく多くの人が健康で快適な状態を保てるようにする「予防」が注目を集めています。高齢者の介護予防はこれらを理解するのにわかりやすいと思います。理学療法士の一番身近なところで、転倒予防を実施することで高齢者の転倒が減少すれば、大腿骨頚部骨折などの骨折患者が減少し、医療費、介護費の抑制につながります。

また歴史の中で医学の発展は、病気の原因の追究から、治療法の確立へと順序だってきました。そこから更に進んで今は病気にかからないように予防の研究がより盛んになってきたのも、予防が注目を集める要因となっていると思います。例えば、インフルエンザであれば、感染症の原因となるウイルスの特定が最初の研究の中心で、ウイルスが特定されれば、治療法も確立されます。さらに、そこからどうすれば感染しないかといった予防法が研究され、予防接種やその他の予防策が明らかになってきています。このような予防については、昔から公衆衛生の分野で感染症について、また衛生環境や栄養の観点から研究も盛んに行われてきました。

予防には様々なフェーズがある

予防を相別にみると、1次予防から3次予防までがあります。予防に関与するためには、これらについて理解することが必要です。

1次予防
 健康な者に対して、病気の原因やリスクを除去することに努め、健康の増進を図って病気の発生を防ぐなどの予防措置をとることをいう。
例)予防接種、公害対策

2次予防
 症状が現れていない(発症前期・無症候期)や病気になった人をできるだけ早く発見し、早期治療を行い、病気の進行を抑え、病気が重篤にならないように努めることをいう。
例)特定健診(メタボリックシンドローム)、がん検診、高血圧の治療

3次予防
 病気が進行した後の、後遺症治療、再発防止、残存機能の回復・維持、重症化予防などの対策を立て、実行することをいう。
例)心筋梗塞後の抗凝固剤内服療法、リハビリテーション

ざっくり言うと、1次予防が健康増進、2次予防が早期発見・早期治療、3次予防がリハビリテーションということです。

つまり、3次予防は、従来から理学療法士が担ってきた「リハビリテーション」であり、疾病や障害を持つ者の重症化予防のことです。また脳卒中や心臓疾患のリハビリテーションは再発予防にも繋がります。

また1次予防から3次予防の相とは別に、ライフステージから予防領域をみると、周産期、乳幼児期、小児・学童期、思春期、青年期、中年期、高齢期、終末期となり、すべてのライフステージで理学療法士が予防に関与できる可能性があります。つまり、全国民の健康増進に理学療法士が関与していく可能性があるということです。

では、1次予防や2次予防でどのように理学療法士が関与していくのか。それについては、ライフステージごとに次回以降詳細に書きたいと思います。

予防に関わる転換期

約50年前[1965年(昭和40年)]に公布された理学療法士及び作業療法士法によれば、理学療法の対象は「身体に障害のある者に対し」であり、「医師の指示のもと」に理学療法が行われるとされています。これは養成校時代にも学んだことでしょう。これだと、上記で述べてきた1次予防は、「健康な者に対して」なので、対象に当てはまりません。しかし、理学療法士が予防領域に関わることを期待され、2013年(平成25年)11月27日に厚生労働省医政局から都道府県に新たな通知が出されました。

通知文は以下の通りです。
「理学療法士が、介護予防事業等において、身体に障害のない者に対して、転倒防止の指導等の診療の補助に該当しない範囲の業務を行うことがあるが、このように理学療法以外の業務を行うときであっても、「理学療法士」という名称を使用することは何ら問題ないこと。また、このような診療の補助に該当しない範囲の業務を行うときは、医師の指示は不要であること。」
○理学療法士の名称の使用等について(通知)  (平成25年11月27日)(医政医発1127第3号)

この通知により、介護予防事業などでは「理学療法士」と名乗ってよいことが示されました。これは理学療法士の開業権や自由診療を認めたものではありませんが、わざわざ追加の通知がされたということは、国家的な予防のニーズに理学療法士が期待されていると考えるべきです。その反面、質の高い予防理学療法が必要であり、これらの研究や介入方法の確立が求められます。
これは大きな転換だったと言えるでしょう。

次回は、ライフステージごとに予防の分野で理学療法士がどのように関与できるか書いてみたいと思います。

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吉倉孝則

吉倉孝則 (よしくら たかのり)

理学療法士。保健学修士。認定理学療法士(運動器)。
星城大学リハビリテーション学部理学療法学専攻卒業。浜松医科大学附属病院リハビリテーション部入職。星城大学大学院健康支援学研究科修了。
大学病院への勤務時代は、整形外科疾患、がんのリハビリテーションを中心に幅広い疾患のリハビリテーションに従事。院内の緩和ケアチームにも携わり多職種連携を心がけている。
臨床業務以外にも研究活動や学生の指導など教育、地域包括リーダーとして地域包括ケアの構築にも力を入れている。


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