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筋力増強運動の原則を知ろう!リハビリ効果を上げるためのポイント

公開日:2016.10.31 更新日:2021.10.14

筋力増強運動の原則を知ろう!リハビリ効果を上げるためのポイント

文:伊東浩樹(理学療法士)
NPO法人 地域医療連繋団体.Needs 代表理事
社会福祉法人もやい聖友会 地域医療連携室 室長

理学療法士だけではなく看護師、介護福祉士などの医療福祉専門職は、患者さんの生活習慣改善に向けて「運動してみませんか?」と声かけをする機会があります。

しかし、運動といっても種類は多く、その方法もさまざまです。どんな運動をすればよいのか上手に提案するために、今回は運動の基礎となる「筋力増強訓練」についてお伝えしましょう。

筋力増強訓練の原則は?まずは概念をしっかり理解しよう

筋力とは簡単に説明すると、筋繊維の収縮によって発生する力を指します。筋繊維の収縮には「等尺性」「短縮性」「伸張性」などの種類があり、運動によって変化がみられます。

等尺性筋収縮とは
関節の動きを伴わない、静かな状態での筋収縮を指します。
壁を手で押している時をイメージしてみましょう。その際、筋の長さは変わっていませんが、押すための筋収縮は関節の動きを伴わずに行われます。そうした動きは等尺性筋収縮です。
短縮性筋収縮とは
関節の動きに伴って、筋が収縮する動的な状態での筋収縮を指します。
軽いダンベルを持って伸ばした腕を曲げるときをイメージすると良いでしょう。動きに合わせた筋収縮が行われます。
伸張性筋収縮とは
文字通り、筋肉が伸びながら力を発揮する収縮を指します。
イメージとしてはダンベルを持ち、スピードを維持しながら、曲げた腕を伸ばすときの動きです。筋は伸びながら動きを維持しています。

筋力は筋断面積の大きさにも関係しますが、単純に大きさだけで割り出すことはできません。というのも、筋力は年齢や性別、生活環境などのさまざまな要因によっても変化するからです。

筋力が人によって違うように、筋力増強のしやすさも個人差があり一律には言えません。ただし、一般的には5~12週間トレーニングを続けた場合は15~30%程度増強するとされています。

まずは一般的な概念をしっかりと理解し、どのようなトレーニングが必要なのかを見極めることが大切です。
 

筋力増強訓練のときに意識しておきたい2つの視点

筋力増強運動の原則を知ろう!リハビリ効果を上げるためのポイント
筋力増強訓練の効果に個人差がある以上、リハビリテーションの応用として、どのような視点で考えればよいのか迷う人もいることでしょう。特に経験の浅いセラピストや他の医療福祉従事者は、悩んでしまうことが多いかもしれません。

リハビリ応用時には、以下のポイントを意識してみましょう。

(1)患者さんの状況や要望を把握する
(2)患者さんの生活環境ややりたいことを考慮したメニューを考える

(1)患者さんの状況や要望を把握する

筋力や筋力増強について知識を増やし、理解を深めるのはもちろんですが、何より重視すべきなのは「目の前の人を診る」ということ。

相手の性別や年齢、生活環境を考慮したうえで考えたメニューを実施する必要があります。患者さんとコミュニケーションを取りながら、「生活のなかでやりたいと考えていること、必要としていること」を把握するように努めることが大切です。

(2)患者さんの生活環境ややりたいことを考慮したメニューを考える

何度もお伝えしているように、筋力には個人差があります。そのため、患者さんによって必要な負荷や頻度が異なります。また、筋力だけが向上すればよいのかというとそうではありません。

例として、条件の異なる男性高齢者について考えてみましょう。

A:独居。介護者はおらず入浴や排泄を含めた日常生活を自分で行う必要がある
B:家族や介護者のサポートがあり、住宅も整備されている

両者とも単純な筋力増強訓練は実施する必要があるものの、Aについては、自分で日常生活動作が問題なくできるように筋力練習を行う必要があります。一方、Bは周囲のサポートがあるため、本当に自分で行いたいADL(日常生活動作)に焦点を当てて筋力増強訓練を実施していく方がよいでしょう。

このように、同じ年齢、同じ性別であっても、環境や要望の違いによって必要な筋力増強訓練の内容が異なります。また、リハビリの期間は疾患や病院の種類によっても違うため、その人に合わせた訓練内容を提供しなければいけません。

筋力増強訓練のリスクと注意点

対象となる患者さんの違いや方法を考慮する一方で、さらに注意すべき点があります。というのも、筋力増強訓練を実施する場合、患者さんが抱えるリスクを考慮する必要があるからです。

ただし、リスク管理も一律ではなく、疾患や症状によって異なることをしっかりと理解しなくてはなりません。

対象によって注意すべき点の例

高齢者 易疲労(いひろう)に気をつけながら、往歴なども配慮して実施する必要がある。
子供 骨の成長段階において、必要以上の負荷をかけることが禁忌となることもある。

事前に評価を行うことを基本として、自己判断のみで実施しないように注意しましょう。

また、近年では情報を入手しやすい環境にあり、インターネットなどを通じてさまざまな筋力増強のやり方などが提供されています。例えば、「1kgのおもりを10回上下に動かすと、筋力が向上する」などとメディアで話題となっていても、筋力増強は個人差があり、全員には通用しません。

正しい基礎知識を持たないまま、一部の情報だけをうのみにするのはリスクがあります。正しい内容だと思いこんで患者さんに誤った情報を伝えたことで、セラピストとしての信頼を失うこともあるでしょう。

筋力増強訓練は、個人差が大きいことを理解しよう

筋力増強運動の原則を知ろう!リハビリ効果を上げるためのポイント
筋力増強訓練は対象となる患者さんの状態を理解したうえで、適切なメニューを考える必要があります。これは、リスク管理を行ううえでも重要なポイントです。

リハビリテーション全体に言えることでもありますが、個々の差を把握しないままで一律に実施しても、成果が伴いません。疾患や既往歴、家庭や病棟での生活状況など、不明点があれば家族や担当医師、看護師などの他職種から情報収集するのもよいでしょう。

そのうえで、専門家として必要な筋力増強訓練を考えてみてはいかがでしょうか。

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伊東 浩樹(理学療法士)

伊東 浩樹(理学療法士)

急性期総合病院に勤務していた際に地域医療の重要性を感じ、地域住民に医療を身近に感じてもらうため、友人の医師らとNPO法人を設立する。その後、医療だけではなく福祉を学ぶため社会福祉法人にて勤務し現在は障害福祉の分野で活動している。その他、一般企業や大学などの講師、フリーライターとしても活動中。
【勤務先】社会福祉法人もやい聖友会 / 障害福祉部門統括責任者,地域医療連携室室長
【所属】NPO法人 地域医療連繋団体.Needs / 代表理事
合同会社 ファミリーヘルス / 業務執行社員

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