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なぜリハがうまくいかないの? 患者さんとの関係が見えてくる“ゲーム分析”

公開日:2017.01.16 更新日:2017.01.27

どんな患者さんであっても、自身が治療の担当となれば最善を尽くすのがプロの仕事。しかし場合によっては、どうしてもうまくいかないこともあるでしょう。「何をやっても〇〇さんのリハビリはうまくいかない」「なんだか空回りしてしまう」……そんなとき、あなたは“ゲーム”に巻き込まれているのかもしれません。患者さんとの関係に悩んだら、心理学の理論である「ゲーム分析」を知っておきましょう。

知らず知らずに始まる“ゲーム”

ゲームといえば、楽しい遊びがイメージされるもの。しかし、心理学(交流分析)では、まったく違う意味として“ゲーム”という言葉を使います。ここで使う“ゲーム”とは、「コミュニケーションに裏と表があり、お互いのやり取りを通して非建設的な結果をつくりだす行動パターン」のことを指しています。
相手とのコミュニケーションを通して駆け引きがなされ、いつも同じパターンで不快な思いをさせられるのが特徴です。自分のコミュニケーションパターンから状況を読み取っていくことを「ゲーム分析」といいます。

ゲーム分析における4つのパターン

では、実際に、コミュニケーション上にはどんなパターンがあるでしょうか。代表的なものを4点紹介します。

  • 「はい、でも」のゲーム
    何を言われても言い返すゲームです。たとえば、患者Aさんが「腰痛で困っているんです」とセラピストのBさんに相談に来ました。BさんはAさんの状況を聞きながら、さまざまなアドバイスをしましたが、何を伝えても「でも、~なのでできません」と否定されてしまいます。何を言ってもできないと言われるので、最後にはBさんは黙ってしまいました。実はAさんには、「Bさんの意見を受け入れたくない」という本音が隠されています。
  • キック・ミーのゲーム
    相手を挑発して、自分のことを嫌わせたり否定させたりするゲームです。たとえば、一見おとなしくてまじめそうな患者Cさんの場合。セラピストのDさんはCさんのまじめさを信じてリハビリの課題をつくっていましたが、最後には否定されたり、課題に取り組まなかったりと、毎回裏切られます。しかも、真剣にCさんと話そうとすると変なところでニヤッとされる始末。DさんはそんなCさんの態度に腹が立ち、Cさんのことを怒鳴りつけてしまいました。実はCさんは、無意識のうちに自分を嫌わせたり否定させたりする対人コミュニケーションをとってしまう人なのです。
  • 「あなたのせいでこんなことになった」のゲーム
    「すべてはあなたが悪い!」と言って、無意識に他人を批判することが目的のコミュニケーションパターンをとる人がいます。課題がうまくいかないときや、リハビリの進行が思い通りにならない時など、自分自身の取り組み方は棚に上げ、セラピストに八つ当たりをする傾向にあります。
  • 「あなたを何とかしてあげたいと思っているだけなんだ」のゲーム
    これはセラピストが陥りがちなパターンです。セラピストが相手を治そうとして、過度に入れ込んでしまった場合に起こりやすくなります。回復を期待して普段の振る舞いにも細かく注意したり、過度の期待を抱いて課題を実践させたりしてしまいます。対象となる患者さんにも特徴があり、セラピストが何を言っても、何をしてもマイナスに反応するような相手とゲームが生じやすくなります。やがてセラピストは自信を失う結果に。

大事なのは「攻略」よりも「やめる」こと

思考・行動パターンでもある“ゲーム”は、その人の幼少時からの体験に基づくことも多く、根が深いものです。患者さんはセラピストに対して、親を投影することが少なくありません。自分のために親身になったり、ときには世話を焼いてくれたりするセラピストを無意識に親と結びつけてしまいます。そして、親への葛藤(かっとう)や欲望などをセラピストに対してぶつけてしまうことがあるのです。

ゲーム分析により、自分がゲームをしていると気づいた場合には、無理に解決しようとするのではなく、冷静さを取り戻すだけでも大きく違います。どんなに相手が感情的になったとしても「相手の価値観が投影されているだけ。自分に怒っているのではない」ということを心に留め、自分も感情的にならないことが大切です。相手の言葉じりにとらわれず、温かな対応を続けていれば、ゲームの流れが収まることもあるかもしれません。

「あなたを何とかしてあげたいだけなんだ」のゲームのように、セラピストが患者に対してもゲームをしかけてしまうことがあります。患者さんとのコミュニケーションがもつれたとき、自分がゲームをしていないか振り返ってみるといいですね。

 

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