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今すぐ実践可能 THA術後のリハビリ(変形性股関節症)2019.08.30

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文:伊東浩樹  理学療法士・ NPO法人 地域医療連繋団体.Needs 代表理事

整形外科分野に注目した実践リハビリシリーズ。前回は変形性股関節症の基礎対応について紹介しました。今回は、変形性股関節症と診断された患者さんが「THA(全人工股関節置換術:Total Hip Arthroplasty)手術の適応となった場合に実践する、術後リハビリの一例をご紹介しましょう。

THA 全人工股関節置換術とは?

全人工股関節置換術(THA)とは、変形性股関節症や関節リウマチ、大腿骨頭壊死、骨折などにより変形した関節を金属やポリエチレンなどでできた人工関節に入れ替える治療法です。疼痛でADL(日常生活動作)が阻害されているような患者さんでも、手術によってそうした症状が改善されるため、多くの制限因子を克服することが可能となります。しかし、THA術後において、股関節が安定していない時期には脱臼してしまう恐れがあるため、セラピストや医師の指示・注意に従って生活することが必要です。

理学療法評価

では、THA術後の患者さんに対する基本的なリハビリテーションはどのように進めるべきでしょうか? まずは、以下のような視点で理学療法評価を行ってみましょう。

1.理学所見(主観的評価)

多くの場合、術後翌日よりリハビリテーション開始となります。リハビリ初日には、まず患者さんの周囲を確認しましょう。ドレーンがついていないか、ベッド上に日常生活の妨げになるものがないか十分に配慮します。術後は、術創部の正確な位置を把握しておくことも、ADL指導をするために欠かせないポイントです。

2.理学所見(客観的評価)

THAを希望する患者さんは長期療養というよりは、術後退院を目指している方が多い傾向にあります。そのため、問診で家屋状況や退院後の生活で必要な動作などを聞いておく方がよいでしょう。ドクターによっては術後1日目から離床を促すこともありますので、疼痛の有無を評価しておく必要があります。疼痛が強い場合は離床を遅らせる必要があるからです。基本的には疼痛が強く、術後早期には自身で股関節を動かすことが困難な場合が多いので、セラピストが把持しながら股関節の可動域を評価します。術後の疼痛軽減に合わせて離床を促しますが、車いす移乗が可能かどうか、またADLの状況も細かく評価しておきましょう。

理学療法

上記のような評価を行い、状況を見極めたら実際のリハビリテーションに進みます。以下3つの視点を持って、実施するリハの内容を決定しましょう。

1.運動療法

下肢血栓などの予防を考え、術後3日以内で離床を促していくのが一般的です。ベッド上での運動指導から始まり、側臥位や端座位などへ移動する方法を指導します。その後、車いす移乗が可能(補助ありでも可)になればリハビリ室へと移動してリハビリを行います。先述したとおり、THAを受けた方は比較的早期の退院を目指すことが多いため、疼痛があっても軽度であれば平行棒を使用した歩行練習を実施するとよいでしょう。歩行リハを実施することで股関節周囲筋も安定していくので、徐々に杖や独歩での歩行練習に移行します。その際、階段昇降や入浴などその他ADLの練習も実施することになります。

2.物理療法

THAは金属等を使用した人工関節になるため、マイクロ波や電気を使った治療は禁忌です。人工関節が発熱するきっかけとなり、関節内でやけどをしてしまう可能性があるからです。しかし、術後早期に起こる術創部の痛みやリハビリを実施した際の熱感に対しては、アイシングなどの物理療法が可能となります。

3.教育

THAの手術方法は前外方、後方、前方とカップの侵入方向が異なる場合があります。そのため、脱臼姿勢としては前かがみや足を内側に捻る動作(屈曲、内転、内旋)に対しては注意喚起するのが基本です。しかし、前方の場合は、背伸び姿勢が脱臼姿勢になりやすいため、注意を促すポイントが増えることを覚えておきましょう。その他、入浴やトイレ、靴下などの着脱にも注意を促すと共に、ADLで注意が必要な点をまとめた資料などを作成して患者さんに渡しておくとよいでしょう。

まとめ

THAは比較的早期から離床ができる手術方法です。しかし股関節周囲の脆弱性などの問題点は残っています。脱臼してしまいやすい姿勢などについても細かい注意喚起が必要でしょう。退院後については、自宅や職場復帰を目指す方が多いため、セルフケアの方法やホームプログラムを立案する方がよいかもしれません。

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【参考文献】

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