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車椅子座位のずれを防ぐ! 理学療法士なら身につけたいシーティングのコツ

公開日:2015.09.17 更新日:2015.09.29

臨床の現場でよく目にする、車椅子に座った患者さん。そのなかに、骨盤が後方へ倒れ、臀部が前方へ滑った、いわゆる“ずれ座り”の姿勢になっている人を見かけませんか? 特に高齢の患者さんに多い姿勢ですが、はたしてそのままでいいのでしょうか。車椅子の座り方は、身体の安定性や動きやすさ、生活意欲などにも影響するもの。猫背や円背、ずれ座りによる姿勢の崩れを防ぎ、患者さんが安定するシーティングのコツを紹介します。

なぜ崩れた姿勢で座っているのか

車椅子の自走、座っての食事など、さまざまな患者さんの動きに負担をかけてしまうのが、崩れた姿勢の“ずれ座り”。二足歩行をする人間の体は、そもそも座位で長時間、姿勢を保持することに適したつくりではありません。私たちセラピストや健常者でも、何時間も椅子の上で背筋を伸ばした、良い姿勢で居続けることは困難ですよね。患者さんにとっては、なおさら難しいのが現実です。座位姿勢が崩れてしまう要因のひとつは座り方。ここでより問題となるのが、姿勢が崩れてしまっても患者さんは自分で戻せないということです。健常者にとっては簡単なことでも、要介護となる患者さんの場合、介助が必要なことがほとんどです。ずれ座りが気になっているのは、ほかでもない患者さん自身かもしれません。

姿勢の崩れによる悪影響

姿勢が崩れた状態が続くと、どのような問題が起こるのでしょうか? 大きくは次の3点が考えられます。
① 呼吸機能の低下
② 日常生活動作の困難
③ 意欲の低下
ずれ座りは、骨盤が後傾し体幹前傾位となります。①について、この姿位では胸郭の可動域を制限してしまい、呼吸が浅くなりがちです。換気量が低下し、脳への血流量も減少してしまいます。②では、不良姿位による動作の困難さが挙げられます。例えば、上肢による車椅子の自走動作への負担です。体験してみるとわかりますが、良肢位に比べると、より肩関節の伸展可動域が求められますし、筋力も発揮しづらくなるからです。③は①、②の影響により疲労が蓄積し、覚醒度の低下、傾眠となり活動時間が減少、廃用が進行し、筋力が低下、さらに疲労しやすくなる……と、負のスパイラルに入ってしまう状態です。たかが座り方、と軽く見ていると、患者さんの負担は増大します。周囲が気づかないうちに多くの影響が進行しているかもしれません。

姿勢の崩れを防ぐ座り方

車椅子の患者さんを担当する場合、または、座り方が気になる患者さんがいたら、問題のずれ座りを修正していきましょう。
通常の適切な座位姿勢では、脊柱はS字カーブを描きます。しかし、背筋の弱化による骨盤後傾により、重心は後方へ変位し、脊柱は後弯、円背となります。まず骨盤が前に滑り出すことを防ぐために、車椅子に「アンカーサポート」を使ってみましょう。
車椅子の座面の膝側が臀部側より高くなるように、大腿と車椅子座面の間に薄い三角形のアンカーサポートを設置します。なければクッションやタオルで代用も可能ですが、荷重は大腿全面で均一に支持ができるように注意しましょう。タオルの一部が丸くなって盛り上がり、荷重が一点に集中してしまうと局所への圧迫や、その周りの皮膚組織へ過度のせん断力がかかり、褥瘡の原因になってしまいます。代用品を利用する際には、使用中もズレがないか小まめにチェックしてください。
次に背張りを調整します。円背の程度に合わせて背張りを適度にゆるめ、背部全体が背もたれに接触するようにします。これにより、脊柱が伸び、適切な姿勢が保持できます。簡単なことですが、たったこれだけのことで、患者さんの姿勢はずいぶん変化しているはずです。

患者さんが持てる能力を最大限発揮できるようにするために

座り方を変えるだけで、車椅子の自走動作や食事動作がしやすくなるなど、患者さんの疲労を軽減、意欲の向上を促すことができます。ちょっとしたことですが、時間を惜しまず、患者さんのために実践していきたいですね。

 

【参考URL】

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