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幸福な仕事選びのポイントは「時間の乱れ」を取り除くこと

公開日:2020.10.26

毎日忙しく医療機関に従事するセラピスト。どのような条件を重視して転職先を探せばいいのでしょうか? 科学ジャーナリストの鈴木さんによると、幸福な仕事選びを行うには職場における「悪」を排除しておく必要があるそうです。そこで今回は、職場における「悪」の中で最も気をつけておきたい「時間の乱れ」についてお伝えします。

セラピストに多いシフトワークには要注意

あなたの心身を破壊する職場の「悪」について簡単に見ていきましょう。前提として、「時間の乱れ」は次のサブカテゴリに分かれます。
◉ シフトワーク
◉ 長時間通勤
◉ 長時間労働
◉ ワークライフバランスの崩壊

いずれも心身には悪影響がありますが、まず考慮しておきたいのが「シフトワーク」です。
不特定なタイミングで深夜や早朝に働かねばならない仕事のことで、2万人の労働者を調べた2014年のメタ分析によれば、9時5時で働く人と比べた場合、週に3回以上のペースでシフトワークを行う人は糖尿病の発症リスクが42%上がり、コレステロールや血圧も激増していました。また別の研究では、年に50日以上のシフトワークを続けた人は、 脳機能のスコアが大きく低下しており、この数値を年齢に換算すると同年代の人に比べて平均で6.5歳ほど脳が衰えた計算になります。
かくもシフトワークが体に悪いのは、「体内時計のリズム」を破壊するからです。
私たちの体は日の入りとともに睡眠をうながすホルモンを分泌し、適切に体を休めてコンディションを調整するように設計されています。にもかかわらずシフトワークで人体のリズムを乱すと睡眠の質が下がり、メンタルと体の両方に甚大な悪影響を及ぼすのです。
シフトワークは社会のインフラに関わる職種が多く、その意味で社会的に貢献度の高い働き方ではあるものの、一方では人体に避けがたいダメージを与えるのも事実です。仕事を選ぶときには、必ず考慮すべきポイントと言えるでしょう。
シフトワークに従事される方は、できるかぎり一定の生活リズムになるよう心がけ、寝る際は光を遮断して睡眠の質を上げる対策をするなど、心身へのダメージを減らす工夫が大切です。

通勤時間の長さも幸福度を左右する


長時間の通勤が好きな人はいないでしょう。すし詰めの電車にゆられて過ごす時間はストレス以外の何ものでもありませんし、ここ数年のデータも「通勤時間が長くなるほど人生が不幸になる」との結果を示しています。
有名なのは経済学者のブルーノ・フライが発表した論文で、1985〜2003年にかけて行われた幸福度調査を分析し、「長時間の通勤がもたらすストレスの高さは年収が40%アップしないと割に合わない」との結論を導き出しています。たとえば、長時間の通勤に耐えながら年収 400万円をもらう人がいた場合、その苦痛は年収が560 万円に上がらないと埋め合わせることができない、というわけです。
同様にカリフォルニア大学が10万人の健康データを分析した調査では、通勤時間が長い人ほど肥満が多いうえに離婚率まで高いとの傾向も出ています。長時間通勤は、あなたの体型と結婚生活にまでダメージを及ぼすわけです。
このような結果が出たのは、長時間の通勤には私たちのライフスタイルをむしばむ作用があるからです。ブラウン大学の研究チームは、通勤時間が1分増えるごとに次のような健康リスクが起きると推定しています。
◉ 運動時間が0.0257分ずつ減る
◉ 睡眠時間は 0.2205分のペースで少なくなる
日本人の通勤時間の平均は往復1時間17分なので、おおまかに換算すると年間で約63時間も睡眠時間が消えていることになります。海外と日本では通勤事情が異なるものの、東京の通勤ラッシュは世界的に悪名が高いことを考えれば、事態はより深刻なのかもしれません。
いったん遠い会社に勤めてしまったらそう簡単に引っ越すわけにもいかないため、これもまた必ずチェックしておきたいポイントです。

週41時間以上の労働で脳卒中のリスクが上がる

働きすぎが体に悪いのはもはや常識。いまや「過労死」も世界に通じる言葉になったように、働きすぎのストレスがあなたの幸福を破壊するのは間違いありません。
具体的な数値を上げると、長時間労働と健康リスクの関係はこうなります。
◉ 週の労働時間が40時間までなら目立った問題は出ない
◉ 週の労働時間が41〜48時間になると脳卒中が起きるリスクが10%高まる
◉ 週の労働時間が55時間を超すと、脳卒中リスクが33%、心疾患リスクが13%、糖尿病リスクが30%高まる
以上の知見は、ヨーロッパ、アメリカ、日本などから約22万人分のデータを集め、およそ8年にわたる追跡調査を行って明らかになった事実です。
データの傾向は世界中で一致しており、週の労働が40時間を過ぎたあたりから体が壊れ始め、週55時間を超えると確実にあなたの心身は崩壊に向かい始めます。厚労省は月80時間を超す残業を「過労死ライン」に定めていますが、この基準よりもかなり下の段階か ら早期死亡リスクは高まるようです。
この問題ばかりは、いかに普段からストレス対策をしていようがふせぎようがありません。くれぐれもご注意ください。

休日仕事のストレスは本人でも気づけない


先のメタ分析によれば、「時間の乱れ」のなかでもっとも人体への害が大きかったのは「ワークライフバランスの崩壊」でした。プライベートに仕事を持ち込む働き方のことで、その悪影響は受動喫煙のダメージをはるかに上回ります。
具体的なデータも多く、およそ2600人を5年にわたって追跡したリサーチでは、プライベートと仕事を切り分けずに働き続けた人は、うつ病にかかる率が166%も高く、不安障害の発症率も174%ほど上昇していました。約2000 人を対象にした別の研究でも、帰宅後も仕事を続ける人は幸福度が40%下がる傾向が認められています。
ワークライフバランスの崩壊が体に悪い理由は自明でしょう。人体が満足に働くためには必ず休憩が必要であり、仕事がプライベートを侵食すれば、当然ながらストレスは激増します。
が、さらに問題なのは、プライベートで仕事のことを「考えただけ」でも私たちの幸福度が激減してしまう点です。
イギリスで行われたワークライフバランスの研究を見てみましょう。チームは金融関係の仕事をするビジネスマンに「普段からどれくらい仕事をプライベートに持ち込んでいるか?」を尋ねた後、専用の計測器でストレスを記録するように指示しました。
その後、2ヶ月にわたってデータを集めて浮かび上がったのが次の事実です。
◉ 休日や退社後に少しでも仕事について考えた人は有意にストレスレベルが増える
◉ 仕事について考えたストレスは運動やマッサージなどの対策では軽減できない
◉ 大半の人は、体にはストレス反応が出ているにも関わらず、「私はストレスを感じていな い」と回答した
一番恐ろしいのは最後のポイントでしょう。たとえば日曜日に「そう言えばあの書類どうなったかな……」と少し思っただけでも、あなたは自分のストレスに気づけないまま心身を削り取られてしまうのです。 本人の性格の問題も大きいため一概には言えないところではありますが、少なくとも「休日に上司普通に連絡してくる会社」や「休暇中の仕事が当たり前な文化を持つ企業」は避けるべきです。

セラピストは要注意!気をつけたい職場の「8大悪」ランキング


以上、あなたの幸福を破壊する職場の8つの「悪」のうち一部を紹介しました。今回紹介した「時間の乱れ」を含む職場の「8大悪」をダメージの大きい順に並べると次のようになります。
❶ ワークライフバランスの崩壊
❷ 雇用が不安定
❸ 長時間労働
❹ シフトワーク
❺ 仕事のコントロール権がない
❻ ソーシャルサポートがない
❼ 組織内に不公平が多い
❽ 長時間通勤
全体的に見れば、やはり「作業負荷の多さ」と「仕事の不安定さ」という2つのポイントが大きいようです。目当ての会社に当てはまる点がないかどうか、いま一度チェックしてみてください。

面接時に質問してチェックしよう


もちろん、職探しの段階ですべての「悪」を見抜くのは不可能ですが、実際のところ、転職エージェントや面接官からネガティブな側面を聞き出そうとする人は意外なほどいません。人生の方向を決める一大事にも関わらず、いざ面接になると遠慮してしまうケースが実に多いのです。
ハーバードの経営学者ボリス・グロイスバーグは、「みんな株を買うときは熱心に企業を研究するのに、転職になると急に質問をひかえて情報を集めなくなる」とコメントしています。未来の上司や同僚からマイナスな印象を持たれたくないあまり、面接などの場面で積極的な質問をひかえてしまうのは世界的な現象のようです。
しかし、真剣に適職を探しているなら質問をためらう必要はありません。面接官に尋ねてもいいし、従業員へ直に聞いてみるのもいいでしょう。「賃金の査定システムは?」「社内の競争は激しいか?」「仕事の裁量権はどこまであるか?」など、先に挙げた「職場の8大悪」に関することは最低でも聞いておいてください。
ここでもし相手が質問に口ごもったり、嫌な顔を見せたり、明確な答えを返すことができなかったら危険信号。その会社には問題があると言えるでしょう。

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『科学的な適職 4021の研究データが導き出す、最高の職業の選び方』鈴木祐著(2019年 クロスメディア・パブリッシング)
本コラムは同書を元に再構成しています。

鈴木祐(すずき・ゆう)
科学ジャーナリスト
1976年生まれ。慶應義塾大学SFC卒業後、出版社勤務を経て独立。10万本の科学論文の読破と600人を超える海外の学者や専門医へのインタビューを重ねながら、現在はヘルスケアや生産性向上をテーマとした書籍や雑誌の執筆を手がける。自身のブログ「パレオな男」で心理、健康、科学に関する最新の知見を紹介し続け、月間250万PVを達成。近年はヘルスケア企業などを中心に、科学的なエビデンスの見分け方などを伝える講演なども行っている。著書に『科学的な適職』『最高の体調』(クロスメディア・パブリッシング)、『ヤバい集中力』(SBクリエイティブ)他多数。

<書籍情報>『科学的な適職 4021の研究データが導き出す、最高の職業の選び方』著者:鈴木 祐
出版社:
クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
発売日:2019年12月13日
定価:本体1,480円(税別)
ISBN:978-4295403746
判型:単行本(ソフトカバー)
ページ数:288ページ

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