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チーム医療における作業療法士の役割とは?他職種連携で大切なこと

公開日:2021.03.08 更新日:2021.03.31

チーム医療における作業療法士の役割とは?他職種連携で大切なこと

文:田口 昇平
(作業療法士、福祉住環境コーディネーター2級)

急性期や回復期病院では、患者の退院を支援し、早期在宅復帰に向けたチーム医療が推進されます。そしてチーム医療では医師や看護師をはじめ、さまざまな専門職との連携が必要です。

しかし、作業療法士のなかには他職種とうまく連携ができず「作業療法士としての役割がわからない」という声もよく聞きます。適切な動き方がわからなければ、チーム医療の成果によい影響がおよぶことはもちろん、リハビリの目的も見失いかねません。

今回は「チーム医療における作業療法士の役割」とともに、他職種連携のポイントについて解説します。

チーム医療における作業療法士の3つの役割

チーム医療のなかで、作業療法士はどのように専門性を発揮すべきなのでしょうか?まずは、チーム医療における作業療法士の役割をお伝えしましょう。

(1)日常生活動作(ADL)の自立や介助量軽減をはかる

入院患者はADLになんらかの介助を必要とするケースがほとんどです。


・箸やスプーンを持つことができず、自分ひとりでは食事がとれない
・ズボンをおろすことができずトイレで排泄できない

こうした問題を抱える患者に対して、作業療法士はADLの自立や介助量軽減をめざし、苦手な動作を直接訓練します。

(2)仕事や家事といった、退院後に必要となる役割獲得をはかる

作業療法士は仕事や家事などに必要な動作の訓練も行います。立ったり歩いたりできるようになったとしても、必ずしも社会活動が行えるとはかぎりません。

社会復帰後にデスクワークを仕事とするのであれば、スムーズにパソコン操作ができるようになるためのリハビリが必要です。

また、主婦・主夫として家事を行うには、立った姿勢でバランスをとりながら、すばやく上肢を動かすといった動きが求められます。退院後にどのような生活を送りたいのかを考えながら、患者の社会参加をサポートするのも、作業療法士の役割です。

(3)余暇活動を楽しめるように支援する

作業療法では、入院患者が余暇活動を楽しめるように支援することも必要です。

自宅と違って、病院は不慣れな環境であり、ストレスがたまりやすいもの。気持ちが落ちつかず、療養やリハビリに専念できない人もいます。

リハビリに本人の趣味を取り入れたり、病棟で楽しめる作業活動を提案したりすることも作業療法士ならではの役割といえます。

【職種別】作業療法士が他職種連携する際のポイント

チーム医療における作業療法士の役割とは?他職種連携で大切なこと
チーム医療において、作業療法士は次のような専門職と連携する必要があります。
・医師
・看護師
・理学療法士
・言語聴覚士
・介護福祉士
・医療ソーシャルワーカー

つづいては、各専門職と連携する際に気をつけたいポイントをお伝えしましょう。

(1)医師との連携ポイント

チーム医療において、医師は各医療サービスの内容を指示やリハビリの方向性を決定します。いわば「チームの要」となる職種です。

そのため医師との連携では、患者の全身状態を確認したり、リハビリ実施時の注意点の指示をあおいだりすることが重要です。

内科系疾患の患者では、血圧や血糖値・酸素濃度などが不安定な人がいます。また、整形外科疾患の患者には禁忌肢位があります。

患者の状態を正確に把握できていないままリハビリを行ってしまうと、状態を悪化させてしまうことにもなりかねません。とくに、初回のリハビリ介入前やなんらかの異常が疑われた場合には、必ず医師に報告し、リハビリの注意点を確認しましょう。

(2)看護師との連携ポイント

看護師は、患者の日常生活をもっとも把握している専門職のひとつです。食事量は足りているか、しっかりと睡眠がとれているかなどは看護師がモニタリングしています。

こうした情報は、検査数値だけではわからない些細(ささい)な変化に気づくきっかけとなり、リハビリの指針としても役立つのです。

例えば、十分な食事量をとれていない患者に過度なリハビリをすると、かえって筋肉を痛めてしまうことがあります。また、夜間に眠れなかった場合は、リハビリで行う検査や訓練に集中できないこともあるでしょう。

リハビリを効果的に行い、リスクを管理するためにも、患者の日常生活の様子を看護師に確認しておきましょう。

(3)理学療法士との連携ポイント

理学療法士は日常生活動作の自立や介助量軽減をめざして、おもに患者の機能訓練を行います。

作業療法士と理学療法士の間でリハビリの方向性や目標が共有されていない状態では、リハビリの効果がうすれ、患者を困惑させることになりかねません。

例えば、脳卒中で半身麻痺の後遺症がある患者に対して、「トイレ動作の獲得」を目標にリハビリを行う場合があります。このとき理学療法士は、麻痺した下肢を使いながら立つ訓練をしているとします。

それにもかかわらず、作業療法士が麻痺した下肢を使わずに、壁に寄りかかった状態でズボンを上げ下げする訓練をしていたらどうでしょうか。

これでは、理学療法士と作業療法士との間で訓練内容が一致せず、トイレ動作の獲得に生かせません。リハビリをする本人も、麻痺した下肢をどのように使えばよいのか困惑してしまいます。

理学療法士との連携では、患者のADLを最大限に伸ばすために互いの訓練の効果を高め、リハビリの方向性や目標を共有することがとても大切です。

(4)言語聴覚士との連携ポイント

言語聴覚士は、咀嚼(そしゃく)や嚥下(えんげ)機能を評価・訓練する職種です。食事をとるには、口に入れた食べ物を咀嚼し、安全に飲み込まなければなりません。言語聴覚士は、こうした咀嚼や嚥下動作を訓練しています。

食事動作の獲得には、作業療法士と言語聴覚士が連携して、心身機能や動作能力の情報を共有し、咀嚼や嚥下がしやすい姿勢の状態を相談しながら訓練することが大切です。

また言語聴覚士は、コミュニケーションの専門家でもあります。とくに、失語症や構音障害の患者とのコミュニケーションが難しく、訓練の説明や指示を出しづらい場合には、言語聴覚士に相談してみましょう。

なお、作業療法士からは患者とのコミュニケーション手段として、道具の作成や工夫を提案することも重要です。例えば、ナースコールのボタンを押しやすい形状に変えたり、車いすに筆記用具セットを取り付けたりするなどの方法があります。

作業療法士が得意とする「環境調整」の知識や技術を生かしながら、言語聴覚士と協力し、患者とのコミュニケーション手段の獲得もめざしましょう。

(5)介護福祉士との連携ポイント

介護福祉士は、患者の身のまわりの介護をする専門職です。作業療法士の役割は、患者の動作能力を説明しながら、ADLの介助方法を指導することにあります。

多くの介護福祉士は「安全な介助」を念頭に置いているため、患者ができる動作まで介助してしまっているケースも少なくありません。これでは、リハビリで新しい動作ができるようになっても実生活に応用できません。

また、さらなる動作能力の向上もめざせなくなります。入院中や退院後に、できるだけ自立した生活を送れるように、介護福祉士と連携して、患者の動作能力に合わせた適切な介助方法を伝えていくことが大切です。

(6)医療ソーシャルワーカーとの連携ポイント

日常生活になんらかの介助を必要とする場合、退院後に介護サービスを利用するか、家族に援助してもらうかしなければなりません。そこで活躍するのが、医療ソーシャルワーカーです。

医療ソーシャルワーカーとは、利用する介護サービスや家庭内の介護力について情報共有しながら、リハビリの目標を検討するといった連携が可能です。

なかには、介護サービスや介護力の状況によって、退院先が変わってくるケースが見られます。患者本人が安全に暮らすために、一人暮らしや家族との同居ではなく、専門家が在籍する介護施設への入所を希望するケースがあるからです。

退院先によってリハビリの目標が変わるため、情報を持つ医療ソーシャルワーカーと情報共有しながら、リハビリの目標やゴールを考えてみましょう。

他職種と連携・情報共有しながら、患者の生活を支援する

作業療法士は、患者の暮らしがより良くなるように、生活全般を支援する役割があります。効果的なリハビリを行うためにも、全身状態や病棟での生活状況の把握・退院先の確認など、他職種と情報交換をして方向性を統一することが大切です。

患者の全体像をしっかりと踏まえて、今後の生活に必要なリハビリを行いましょう。

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田口 昇平(作業療法士、福祉住環境コーディネーター2級)
2008年に作業療法士免許取得後、東京都内のリハビリ専門病院や特別養護老人ホームなどの施設で医療や介護業務に従事。2018年より、フリーライターに転身。医療介護職の働き方や働きやすい労働環境づくりなど、幅広いテーマで執筆。心理学・脳科学分野の書籍を愛読し、学んだ内容をブログやSNSで情報発信している。

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