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精神科で働く作業療法士の仕事内容は?役割や給料、求人の探し方も

公開日:2021.05.19

精神科で働く作業療法士の役割

文:田口 昇平
(作業療法士、福祉住環境コーディネーター2級)

作業療法士として精神領域への就職・転職を検討するとき、精神科では具体的にどんな仕事をするのか、どの程度の給料をもらえるのかを知りたい人もいるでしょう。自分が理想とするリハビリを提供するためにも、まずは精神科で働く作業療法士の仕事について理解を深めておくことが大切です。

今回は実際の経験をもとに精神科で働く作業療法士の役割や仕事内容、自分にあった職場の探し方についてお伝えします。

精神科で働く作業療法士の特徴は?ほかの領域分野との違い

精神科の作業療法士は、統合失調症やうつ病・認知症などの疾患・障がいを持つ方に対し、リハビリを通じて生活のしづらさを改善していくことが主な役割です。ひとくちに「精神疾患・障がい」と言っても、クライアントによって重症度は異なります。

作業療法士はクライアントの疾患・障がいの重症度を理解しながら、患者さん本人が療養に専念したり、自分の力を発揮したりできるようにリハビリをおこなうのです。

精神科で働く作業療法士の給料

マイナビコメディカルに掲載された地域別の求人情報を参考に見ると、精神科の作業療法士の平均月収は20~25万円が相場といえます。ただし、精神科の作業療法士の給与は地域により大きく異なり、なかには月収が30万円を上まわる求人も見られます。

厚生労働省が発表した「賃金構造基本統計調査(2019年度)」によれば、作業療法士全体の平均月給は約28万円のため、全体としてはやや低いか、平均に近い給料をもらえる可能性が高いでしょう。

精神科は日曜休みとなることが多い

精神科は日曜日が固定休となる職場が多いため、プライベートの時間を確保しやすい傾向にあります。休日を利用して作業療法士協会の研修に参加したり、各地の講習会を受講したりしやすくなるため、実務をおこないながら、キャリアアップも図りやすい環境と言えるでしょう。

精神科で働く作業療法士のおもな就職先や仕事内容

精神科で働く作業療法士のおもな就職先や仕事内容

日本作業療法士協会が公開する「日本作業療法士協会会員統計資料(2019年度)」によると、精神分野で働く作業療法士のおもな就業先は次のとおりです。

就業先 人数
精神病院 5,588人
精神保健福祉センター 30人
精神障害者社会復帰支援センター 4人

※日本作業療法士協会 対象会員数62,294人中

各施設では作業療法士はどのような業務をおこなっているのでしょうか? ここからは、精神科で働く作業療法士のなかでも「精神病院」と「精神保健福祉センター」での具体的な仕事内容についてお伝えしましょう。

①精神病院における作業療法士の仕事内容

精神病院には、統合失調症やうつ病・認知症などの疾患を持つ患者さんが入院・通院しています。作業療法士はこのような入院・外来患者さんに対し、創作活動やレクリエーション・生活技能訓練などのリハビリをおこないます。

患者さんは病気の影響により自信を失っていたり、無気力であったりして、社会生活が困難なケースが少なくありません。そうした患者さんに向けて、精神科の作業療法士は、自宅復帰や社会復帰を目指して、さまざまなリハビリをおこなうのです。

例えばうつ病の患者さんでは、病気で働けなくなったことに引け目を感じ、「仕事復帰に自信が持てない」という悩みを抱えがちです。こうした場合には、患者さんが自信を失っている原因を評価し、デクスワークの練習をおこなったり、病気との付き合い方を伝えながら復帰を支援します。

また、重度の認知症などにより、自発的な言動が困難な患者さんに対しては、患者さんが楽しめるレクリエーション活動をおこないながら、ご本人が心地良く暮らせる環境をつくっていくのも作業療法士の重要な仕事です。

精神科で働く作業療法士が気をつけたいこと

精神病院で働く時には、患者さんとの距離感に注意が必要です。なぜなら精神科のリハビリでは、患者さんが作業療法士に敵意を持ったり、恋愛感情を抱いたりする「感情転移」が起こりやすいからです。

過度な「感情転移」が起こってしまうと、患者さんは食事をとらなくなったり、担当の作業療法士がいない日にリハビリを休みがちになったりすることもあります。そのため、作業療法士は、患者さんの回復や自立を妨げないように、患者さんとの関係作りにも配慮しなければなりません。

また、物品の管理に気を遣うのも、精神科で働く作業療法士の特徴です。患者さんの病態によっては、「自傷行為」や「異食」などの問題につながる危険性があります。鉛筆一本まで、物品の数や使い方を確認しながら、細心の注意を払ってリハビリをおこなう必要があることを覚えておきましょう。

こうした大変さがある一方で、リハビリを通じて日常生活を楽しめるようになったり、自信を持って生活できるようになったりする多くの患者さんに出会います。

徐々に笑顔が増え、活気を取り戻していく患者さんの様子を見られるのは、精神病院で働く作業療法士の一番のやりがいと言えるでしょう。

②精神保健福祉センターにおける作業療法士の仕事内容

精神保健福祉センターは、地域住民の精神的な健康を維持・改善するために、さまざまな取り組みをおこなう施設です。

作業療法士は保健師や心理士などの専門職と連携しながら、統合失調症や薬物依存症・認知症といった疾患・障がいの当事者・家族に向けてリハビリや相談支援、講演会などをおこないます。

例えば、統合失調症を抱える人を対象とするデイケア事業では、スポーツや料理教室・生活技能訓練(SST)などを通じて、利用者さんの社会性の向上や作業能力の回復を図ります。

また、相談・講演活動として、地域で生活する精神障がい者の家族に対して、障がいや本人との接し方について啓発するのも、精神保健福祉センターで働く作業療法士ならではの仕事です。

精神保健福祉センターにおける仕事内容の特徴・大変な部分

精神保健福祉センターでの勤務は、デスクワークが多いのも特徴です。作業療法士も、リハビリ業務だけではなく、電話応対や書類作成なども数多くこなしていかなければなりません。そのため、はじめのうちは、不慣れな業務が大変に感じることもあるでしょう。

一方で、精神保健福祉センターでは、精神疾患・障がいを持つご本人だけではなく、家族や地域住民にも、専門的な支援を提供できます。相談支援や講演会など、より多くの方に、精神疾患・障がいの啓発・普及活動をしていきたい人は、精神保健福祉センターに就職・転職を検討してみてはいかがでしょうか。

精神科の作業療法士になるには?病院の数は地域によって異なる

精神的な問題は視覚的に捉えることが難しく、身体領域のリハビリに比べて、当事者や家族とのより密接な関わりが求められます。作業療法士として、患者さんや家族の気持ちに寄り添いながら生活をサポートしていきたい人は、精神科領域で働くことも考えてみてください。

ただし、地域によっては精神病床を持つ病院が少ない場合もあります。

厚生労働省の「2019年医療施設(動態)調査・病院報告の概況」によると、精神科病院の数は、北海道が68箇所ともっとも多く、逆にもっとも少ないのは奈良県、鳥取県の4箇所となっています。

精神科での勤務を考えるときは、こうした地域差を踏まえながら、広範囲にわたって求人情報を比較し、条件に合う職場を探すと良いでしょう。

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参考

プリズム/感情転移(日本医師会ホームページ)
厚生労働省|令和元(2019)年医療施設(動態)調査・病院報告の概況
精神保健福祉センターとは 東京都福祉保健局
精神保健福祉センター年報
平成30年度(福岡県精神保健福祉センター)

2019年度 日本作業療法士協会会員統計資料

田口 昇平(作業療法士、福祉住環境コーディネーター2級)
2008年に作業療法士免許取得後、東京都内のリハビリ専門病院や特別養護老人ホームなどの施設で医療や介護業務に従事。2018年より、フリーライターに転身。医療介護職の働き方や働きやすい労働環境づくりなど、幅広いテーマで執筆。心理学・脳科学分野の書籍を愛読し、学んだ内容をブログやSNSで情報発信している。

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