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放課後等デイサービスの仕事内容とは?職員に求められる資格と支援

公開日:2021.12.07 更新日:2021.12.13

放課後等デイサービスってどんなところ?仕事内容や役割

文:牛玖恵梨子(作業療法士/児童指導員)

発達期の障害がある子どもたちが放課後や休業日に通う放課後等デイサービス。通称「放デイ」と呼ばれています。民間の事業者が増えていることから、街を歩いているとよく目にするようになりました。

今回は身近になってきた放課後等デイサービスについて、児童指導員として勤務経験がある私が紹介したいと思います。

放課後等デイサービスとは?放課後や休業日に障害児の支援を行う通所施設

放課後等デイサービスってどんなところ?仕事内容や役割
放課後等デイサービスは、簡単にいうと「学童の障害児版」です。

集団での適応や日常生活動作の習得、家族支援などを目的に、放課後や休業日(土曜・祝日、夏休みなどの長期休業)に通うことができ、対象は小学1年生(6歳)から高校生(18歳)までの就学児童や生徒となります(条件を満たせば20歳まで)。

希望者には学校から事業所、事業所と自宅間の送迎も行っていて、地域に密着している事業所が多いことから、子どもたちの生活環境がみえやすい点が特徴といえます。

また、自治体から「通所可能」と判断されれば利用できるため、学習障害などで療育手帳や身体障害者手帳などを持っていない子でも通所しやすくなっています。通所可能な場合、自治体から「障害児通所受給者証」が発行されます。これは、見た目も内容も「介護保険被保険者証」ととてもよく似ています。

職員は多職種、保育士や児童指導員など各分野のプロが配置されている

放課後等デイサービスでは、児童発達支援管理責任者や児童指導員など、病院やデイケアでは出会うことがほとんどない専門職が勤務しています。

どの事業所にも必ず配置されている専門職は、「児童発達支援管理責任者」と「保育士または児童指導員」となります。

放課後等デイサービスに必ず配置されている専門職

児童発達支援管理責任者 通称「児発管」。
児童福祉法に基づく施設に必ず配置されている職種。
利用する児童の成長に応じて「個別支援計画書」を作成する。いわゆる「児童福祉版ケアマネジャー」。実務経験と研修を受けることで取得できる。
保育士 児発管が作成した個別支援計画をもとに、生活面やコミュニケーション面の支援を行うだけでなく、放課後等デイサービスでは児童指導員とともに社会的自立をめざす治療と教育(=療育)を担う大切な存在。
児童指導員 社会福祉学・心理学・教育学・社会学部の大学を卒業しているなど、指定された学校を卒業しているほか、実務経験があるなどの条件を満たせば任用資格を得られる。
放課後等デイサービスでは、教員免許や社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士の免許を持っている人が児童指導員として働いていることが多い印象。
業務内容はおおまかには保育士と同様。

そのほか、事業所の特徴に合わせて看護師のほか、機能訓練指導担当職員として作業療法士や言語聴覚士、理学療法士が配置されています。2021年4月より、条件を満たせば看護師とセラピストも「保育士または児童指導員」の枠で配置可能となりました。

参考

厚生労働省:障害児通所支援の在り方に関する検討会報告書 ― すべての子どもの豊かな未来を目指して ―

放課後等デイサービスにおける仕事内容・活動内容

放課後等デイサービスの活動内容は大きく「集団行動」「学習支援」「外出活動」の3つに分けられます。

①集団活動

集団活動の内容は、子どもたちの特性に合わせてスタッフが選択します。

コミュニケーションが苦手な子どもが多い日には、集団活動をとおして他者とのコミュニケーションの練習を繰り返します。

たとえば、ルールを複雑にした巨大すごろくなどのレクリエーション、紙芝居を使ったSST(ソーシャル・スキル・トレーニング)などを行いながら、できるだけ楽しくルールやチームワーク、気持ちのコントロールの仕方などを経験します。

集団のルールに沿った活動を行うことをストレスに感じる子どもは、ときにはイライラしたり、泣き出したり、怒ったり、けんかを始めてしまうこともあります。そのとき、その場所で、自分の気持ちと向き合い、少しでも情動をコントロールできるように支援するのがスタッフの役割です。

子どもや環境にあわせて工夫をしながら活動を行う

手先の動きや体全体の動きが苦手な子どもが多い日には、子どもたちが好きな電車のペーパークラフトや小麦粉粘土などの工作、借り物競走などの軽運動を行います。

ちなみに、私が働いていた事業所は階下が一般の会社でうるさくなってしまうため、あまり激しい運動はできませんでしたが、その環境を活かして、「物音を立てないように『だるまさんがころんだ』をやろう!」などとルールを作って工夫しながら活動をしていました。

このように、集団活動では作業工程や活動のルールは子どもたちの発達段階や子どもたちの好み・性格に合わせて考えていきます。

入学当初の小学1年生であっても、2年生になるころにはできることがかなり増えるので、活動を考える側も子どもたちの発達段階の先を読みながら、試行錯誤で進めていきます。

②学習支援

それぞれの家庭の事情で自宅での学習支援が難しい子どもも少なからずいるため、できるだけ宿題などの学習は放課後等デイサービス内で支援していきます。なかには学習支援のみを希望して通ってくる子どももいます。

そのため、子どもの学習到達度なども把握しておかなくてはなりません。教員免許を持っているスタッフがいると、1人ひとりに合った学習支援方法などを教えてもらえます。また、子どもの通う学校の担任や特別支援教育担当の教員と連携が図れる場合、宿題の内容も相談しながら決めていくことがあります。

たとえば、「小学1年生全員が2ケタの足し算までできるようになった」など、学習到達度が把握できると、集団活動にも応用できるため、私が働いていた事業所ではマンツーマンで学習支援をしたとしても、ほかのスタッフと子どもの学習到達度について情報共有をしていました。

③外出活動

私が働いていた事業所は、基本的に日曜日以外は毎日営業していたため、土曜日や夏休みなどはできるだけ外出活動していました。

潮干狩りや地域のイベント、とうもろこし狩りなど、「家族で行くのもよいけど、友だちと行くのも楽しいね」と、外出活動を楽しみに通って来る子もいたほどです。

子どもによっては1人で突然走り出してしまい迷子になりやすい子もいるため、スタッフ同士の連携が欠かせません。事故なく安全に活動するために、初めて行く場所は休憩場所やトイレ、駐車場などのリサーチを必ずしていました。

また、放課後等デイサービスはスタッフの配置人数が多いため、集団行動が苦手な子どもにはスタッフがマンツーマンで対応することも可能です。

ちなみに、活発な子どもが多いと、スタッフは引率するだけではなく常に一緒に活動することになります。夏休みは毎日公園へ行き、鬼ごっこや滑り台など、スタッフも一緒になって走り回って遊ぶため、体力勝負の仕事だと実感しました。

また、動物園に行ったときは、エレベーターが気に入った子と1時間くらいずっとエレベーター内で過ごしたこともあります。

④番外編:おやつ

毎日提供するおやつは、駄菓子などを用意することが多いのですが、子どもたちに人気があったのは、クレープやホットケーキ、カップケーキなど「作るおやつ」を兼ねた集団活動でした。

季節のイベントに合わせてさまざまなお菓子を作りましたが、お菓子作りが得意なスタッフがいつも工程を考えて準備をしてくれていて、私自身も勉強になりました。

電子レンジやホットプレートを囲んで皆でワイワイおやつを作る経験は、きょうだいのいない子どもたちにとくに人気がありました。

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放デイの醍醐味は、子どもたちの笑顔に毎日出会えること

放課後等デイサービスってどんなところ?仕事内容や役割
放課後等デイサービスは平成24年から体系化され、2年ごとにめまぐるしく制度が改訂されています。ともに働く職種はさまざまですが、全スタッフが協力して子どもや家族と関わるため、あまり業務内容に違いはないと感じています。

業務は幅広く、集団活動の進行・補助、学習指導、掃除まで、ありとあらゆることを行います。運転免許を持っているスタッフが少ないと、日によっては送迎で1日が終わってしまう日もあるほどです。

作業療法士の資格を持つ私が、放デイで大切にしていたこと

そんななか作業療法士の資格を持つ私は、できないことを探すよりもできることを増やすこと、できないことは「なぜできないのか」と考えるなど、評価の視点を大切にしていました。

だからこそ子どもの特性を理解してアプローチをすることを得意とする作業療法士ならではの強みを、児童指導員としてフルに発揮できていたのだと思います。

私が考える放課後等デイサービスの魅力は、社会福祉士や精神保健福祉士、心理士、保育士、幼稚園・小学校・中学校・高校の先生、介護福祉士など、医療・介護保険分野では同じ業務に就くことはなかなかないであろう、さまざまなスタッフたちと活動をともにできることです。

そして、そんな職場の仲間とともに子どもの成長を喜び合えます。
「一緒に遊ぼうよ!」
そう言って駆け寄ってくる子どもたち。その笑顔に出会えることが、毎日の楽しみでした。

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牛玖 恵梨子

牛玖 恵梨子

作業療法士、児童指導員ほか。
養成校卒業後、病院勤務を経て福祉心理学系の大学へ編入。卒業後は伊豆七島にある三宅島や都内、千葉県内で働く。
趣味は旅と読書、そしてビールを飲むこと。趣味と作業療法の経験を活かし、医療や福祉をテーマにした執筆や書籍などの編集も行っている。

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