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保育園で働く管理栄養士のエピソード

公開日:2022.06.03

保育園で働く管理栄養士のエピソード

文:広田 千尋
(管理栄養士)

栄養士の働き先として、人気のある保育園。保育園栄養士のやりがいや楽しさはどのようなものがあるのでしょうか? また、働きたいと考えている場合は大変な部分も知っておくことも大切です。

筆者は栄養士として、保育園で4年ほど勤務した経験があります。その経験をもとに、保育園栄養士の楽しさや大変さなどについてお伝えします。

保育園で働く栄養士の仕事内容

保育園で働く栄養士の役割は「安全な給食の提供」「食育」の2つがあります。

給食は、成長期である子どもたちに配慮したメニューであることはもちろん、安心して食べてもらえるよう、衛生管理、食物アレルギーの対応、誤飲などの事故予防に関する対策も必要です。

また食育も大切な仕事です。食育とは、食に関するさまざまな体験や楽しく食べる体験を通して、食への関心をはぐくみ、食を営む力をつけること。1日の大半を過ごす保育園での食の役割は大きいため、栄養士の働きが期待されています。

実際にしていた仕事内容

実際に筆者が行っていた仕事内容は、

・調理(給食、離乳食、おやつ)
・食器の洗浄、片付け、清掃
・献立作成
・発注、在庫管理
・衛生管理
・食育

などがありました。

調理や洗浄などの調理作業が7割程度、事務作業は3割程度といった具合です。

午前中は調理作業が中心で、給食や離乳食を分担して作ります。午後はおやつ作りと片付けを分担して行い、一段落したら事務作業、といった形で仕事をしていました。

事務作業は、献立作成、発注、衛生管理に関する帳票作成のほかにも、毎月保護者へ配布する給食だよりも仕事のひとつです。

また食育の内容は保育園によりさまざまですが、子どもたちと一緒に季節の野菜の皮むきをしたり、給食の時間にお話ししたりといった取り組みを保育士と共同して行っていました。

保育園で働くやりがいや楽しさ

保育園で働くやりがいや楽しさは、何といっても子どもたちとの関わりでした。保育園で働いたことのない方でも、イメージしやすいかもしれませんね。実際に私が感じたやりがいや楽しさをご紹介します。

食育は子どもたちと触れ合える楽しい時間

まず挙げられるやりがいのひとつに、食育に携われることがあります。

先ほどお伝えした通り、乳幼児期の食育はとても大切なもの。食育を通して子どもたちに変化がみられるようになると、喜びもひとしおです。「苦手だったけど一口食べられたよ!」「とうもろこしってこんな風に皮がついているんだね!」と、子どもたちから感想が聞かれると、本当にやりがいを感じていました。

また食育は栄養士と子どもがふれあえる貴重な時間で、とても楽しいひと時でした。

「おいしい」の笑顔は疲れも吹き飛ぶ

保育園での仕事は楽しい部分が多かったとはいえ、やはり仕事ですので大変な部分もありました。

そんなとき、子どもたちから「おいしかったよ!」「お家でも作ってもらったよ!」など、飛び切りの笑顔でお話を聞くと、疲れもどこかへ吹き飛んでしまいます。

働いていた保育園は、給食室が外から覗きやすいようになっていたので、子どもとコミュニケーションがとりやすく、毎日の楽しみになっていました。

栄養士業務以外の子どもとの関わりも楽しい!

保育園で働いていると、栄養士業務だけでなく保育や行事の一部に関わることもあります。

運動会や発表会の準備などを手伝うこともあり、当日に裏方のお手伝いをすることも。栄養士の仕事ではないかもしれませんが、行事は保育園全体で行うものでしたので、手伝うのは自然なことでした。

運動会や発表会では、いつもと違う子どもの様子が見られ、仕事ではありますが楽しく行事に参加していました。勤務年数が長くなると、小さかった子が成長した姿を見られるため、頑張っている姿を見ると親さながらにジーンとしてしまうものです。

栄養士の仕事とは関係ありませんが、このような子どもの姿を見られるのも、保育園で働く楽しさのひとつでした。

保育園で働く大変さ

やりがいや楽しさがある一方で、大変な部分はやはり避けられません。私が感じた大変さについていくつかお伝えします。

調理作業は大変

保育園で働く場合、少ない人数で給食を作ることが多いため、栄養士でも調理作業は避けられません。事務作業に比べると体力を使う仕事ですので、慣れるまで大変さを感じていました。

時間までに給食を作り終えないといけないため、午前中は時間との勝負。とくに手が込んだメニューの日は、ピリピリとした雰囲気になってしまうこともありました。

ほかにも、夏は暑くて冬は寒く、また力仕事で筋肉痛になることも……。そして化粧や髪の毛をセットしても汗でぐちゃぐちゃになるなど、たくさんの「厨房あるある」を経験しました。

このように大量調理は大変ではありましたが、良い面もありました。献立作成などの仕事や転職の際に役立つ経験となったため、とても心強かったです。また自分が作った料理を子どもたちがおいしそうに食べてくれるのは、とてもうれしいものでした。

また1~2年経つ頃には大量調理にすっかりと慣れ、大変さを感じることも少なくなっていました。

「安全な給食の提供」はプレッシャーになることも

給食は味がおいしいことはもちろんですが、安全な給食を提供するのが何より大切です。

食中毒予防などの衛生管理を始め、年齢にあわせて食材の大きさを考慮して誤飲事故を予防したり、食物アレルギー児へ別メニューを提供したりと、さまざまな安全対策を行う必要がありました。

とくに食物アレルギーの対応は命に関わることもあるため、間違いがないようにしなければならず、調理作業中は気が抜けません。栄養士は責任のある立場になることが多いため、プレッシャーに感じることもありました。

このような対策については、厚生労働省が公表している「保育所における食事の提供ガイドライン」や「大量調理施設衛生管理マニュアル」に詳しく記載されていますので、保育園でどのような対策が行われているか知りたい方は、一度目を通してみると良いかもしれません。

参考

>>保育所における食事の提供ガイドライン

>>大量調理施設衛生管理マニュアル

コミュニケーション能力が必要

保育園で働くなら保育士や保護者ともコミュニケーションをとる必要があります。

私は新卒で働き始め、若かったということもあり、とくに保護者との会話は緊張の連続でした。保護者に対しては食物アレルギーや離乳食の聞き取りなどが主でしたが、思ってもいない質問が飛んできてアタフタとしてしまったこともありました。

慣れればスムーズに話せるようになりますし、人によっては緊張せずに話せる方もいるかもしれませんが、人見知りをしてしまう方だと、私のように初めは苦労するかもしれません。

保育園栄養士を辞めたいと感じたとき

保育園を辞めたいと感じたときは、人間関係や保育園の方針などで困ったことがあったときでした。

いつもは人間関係にストレスが少なくても、トラブルがあるとしばらく重い空気が流れることも。またミスをしてしまい注意を受けたときも「逃げ出したい!」なんて思うこともありました。

また食育や給食に関して、当然ですが、自分がやりたいことがすべてできるわけではありません。つい熱い気持ちを持って「どうしてやりたいことができないんだ!」と思ってしまったこともありました。

やりたいことを主張する前に、園の方針を理解して、園長や保育士とよくコミュニケーションをとることが大切だと今では反省しています。

人間関係や保育園の方針などが気になる場合、就職を考えている保育園を見学しておくと、雰囲気をつかむことができますよ。

保育園で働くのはどんな人におすすめ?

保育園で働いていた経験から、保育園で働くのはどんな人におすすめできるか考えてみました。

・子どもが好きな人
・調理が好きな人
・食育など乳幼児期の栄養に興味がある人

このような人は、保育園での仕事にやりがいや楽しさを見つけられそうです。

また多くの保育園は日祝日や年末年始が休園になります。病院や施設など365日給食を提供する職場に比べ、保育園は休日が固定されやすいのも魅力のひとつです。友人や家族と休みを合わせたいという方にはぴったりではないでしょうか。

保育園栄養士はやりがいを感じられやすい仕事

保育園を退職した後、さまざまな職場で働きましたが、保育園での元気いっぱいの子どもたちの笑顔は今でも忘れられません。大変な部分もありますが、やりがいや楽しさを感じられやすい働き先だと思っています。

子どもが好きな方、やりがいを求めたい方は、保育園栄養士として働くことを選択肢のひとつに入れてみてください。

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広田 千尋

広田 千尋

管理栄養士
病院や保健センター、保育園などに13年間勤務した後に独立。現在はフリーランスとしてコラム執筆やレシピ作成を中心に活動中。インターネット上にたくさんの情報があふれるなか、専門家として正しい情報をわかりやすく伝えている。

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