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上肢の筋活動にも影響あり? 足底機能の重要性について

公開日:2016.10.10 更新日:2016.10.24

上肢の運動を効率よく行うために意識したいのが、下肢の安定性です。特に、足底はメカノレセプターと呼ばれるセンサーがあるといわれており、全身のバランスを保つために大切な役割を担っています。人が安定した行動をとるために必要な足底機能について、感覚受容器の視点からその重要性を見直し、適切な運動の効果について考えてみましょう。

上肢筋活動は下肢筋活動の保障下で行われる

上肢と下肢の関係については、先行随伴性姿勢調節(APA)を理解するうえでも非常に興味深いものです。1967年にBalen’kiiらによって行われた先行研究によると「立位で一側上肢を素早く水平位前方へ挙上すると、主動作筋である三角筋に先行して、同側の大腿二頭筋に筋収縮が出現する」という報告があります。また、Bouissetらは、「一側上肢を屈曲すると、同側の半腱様筋や大殿筋、反対側の大腿筋膜張筋に先行的な筋収縮がある」を報告しています。
このようなことから、人が安定した行動をとる基本要素として、足趾、足底でしっかりと立脚し、基盤となる地面を足で保持していることが大切だとわかります。リハビリでも活用されるディジョックトレーニングはこの足底の感覚を重要視し、それを維持・改善することを目標のひとつに設定しています。上肢の筋活動には、先立った下肢の筋活動が必要なのです。

足底メカノレセプター

日本には古来、足半(あしなか)という、足指と踵(かかと)が出る草履(ぞうり)が存在し、武士は戦場において、草鞋(わらじ)から足半に履き替えていたといわれています。ここぞというときには足趾でしっかりと地面をつかみ、身体を安定させて、上肢運動を効率よく遂行させていたというわけです。足半を使用する理由には、地面をつかんで安定性を得るためだけではなく、裸足に近い状態となることで、足底の皮膚が直接地面に触れるようにする意味もあったようです。
足底には運動遂行と状況変化に対する情報源である、多数のメカノレセプターが存在します。メカノレセプターは接地した足底部が身体の微妙な反応を、床反力を介して力学的情報として受け取ることで、刻々と変化する身体や地面の状況に対応します。さらに足底が受ける刺激が抗重力筋の緊張を誘発して、自動的・無意識的に立位での動作を維持し、上肢を解放しているのです。
また、東京医科歯科大学の大久保らの研究「足せき圧受容器が重心動揺に及ぼす影響」では、間隔を変えて小球を敷き詰めた床面に、開・閉眼で立った場合の重心動揺を測定しました。結果、間隔が小さいほど、開・閉眼の動揺の差が小さくなり、視覚情報が遮断された状況下では、足底部のメカノレセプターからの情報が身体動揺の調整に重要であると結論づけました。

足底練習の効果

では足底を鍛えると、具体的にどのような効果が期待できるのでしょうか。
例えば、高齢者の転倒から考えてみましょう。高齢者の転倒歴群と非転倒歴群を比較すると、バランス、筋力、柔軟性において、足筋力、股・足関節の柔軟性に差が見られます。足部の筋力や関節の柔軟性を向上させることで、高齢者の転倒防止を期待できると考えられます。具体的な運動としては、足指歩行、ビー玉移動、タオルギャザーなどを4~6週間、継続して続けることで、筋力の向上が報告されています。

動作の基礎となる足底機能

「何ごとも基礎や土台が大事」といわれますが、自然な状態で立位を保つだけでも基礎となる足底の感覚改善はとても大切です。上肢のパフォーマンスがなかなか向上しない場合、体幹や下肢、そして足底にも注目して、リハビリを実施してみてはいかがでしょう。

 

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