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発達障がい児への言語習得に活用したい応用行動分析(ABA)

公開日:2016.10.21 更新日:2016.11.08

言語聴覚士が関わる分野のひとつに、発達障がい児や自閉症児を対象とした療育があります。言葉への不安を抱える子どもたちに対し、活動するプログラムとして役立つのが応用行動分析(ABA:Applied Behavior Analysis)です。ABAを用いた言語療育事例を参考にしながら、現場での活用方法を紹介します。

通常学級への入学も可能にするABA

ABAによる療育は、1987年の米国のロバース博士(Dr.Ivan Lovaas)による実践研究の報告によって注目をされるようになりました。2~3歳の自閉症児19人に週40時間の早期集中療育を施したところ、そのうち9人(48%)が知的面で正常域に達し(療育開始前は2人だけ)、かつ自閉症の前歴を知らない学校当局者の手で小学校普通学級入学が認められたとあります。
当時は、週40時間の実践とあり、1日平均で5.7時間。近年では週25時間(1日平均3.6時間)でも著しい効果が出るとの報告もあります。結果につながる効果の高い方法ですが、実際には言語聴覚士1人だけで行える時間の長さではありません。家庭や保育園などの協力を得ながら、連携によって行われる言語療育といえるでしょう。

効率的な言語習得を可能にするABA

ABAは科学的な根拠に基づいた応用行動学であり、療育をはじめとする人間社会におけるさまざまな問題の解決に役立ちます。その基本原理は、快・不快の感情を使ったものです。伸ばしたい行動には、ほめたり、ごほうびを与えたりして伸ばし、控えてほしい行動に対しては、ごほうびを一切与えず、むしろ不快を与えることによって行動を抑えるという手法がベースです。
例えば、ある行動に対して本人の喜ぶようなごほうびを与え続けることで、行動と快感情とが結びついてきます。行動によって得られるごほうびが喜びにつながり、行動そのものを思い出すだけで喜びの感情が湧き、さらに次の行動につながるというわけです。これを「正の強化」といいます。
反対に、やってほしくない行動をするたびに不快な罰を与えます。行動と罰とが結びつき、不快な感情が起こるようになります。これを「負の強化」といいます。また、やってほしくない行動をしたときは無視し、やってほしい行動をしたときはごほうびをあげる、という方法もあります。これは、ふさわしい行動をすることと快感情を結びつけ、望ましくない行動をふさわしい行動へと変化させることを試みる「代替行動分化強化」というものです。このように行動と感情とを結びつけ、言語指導をするのがABAを用いた言語療育です。

「明日も来たい!」と思われる療育の時間

ABAは子どもの興味や意欲を大切にし、言語を習得することを喜びにつなげる方法です。子どもが言語を使えるようになればなるほど、うれしいことが待っているわけですから、自ら積極的に言語を獲得していくようになります。ABAは机の上での課題を基本としています。ゲーム感覚で楽しめる訓練を取り入れるとよいでしょう。
例えば机にお椀を用意し、子どもに積み木を持たせて「入れて」と伝えます。まだ言葉の意味がわからない子どもは、手に持った積み木を好きに動かして遊びます。そうするうち、偶然にもお椀に積み木が入ったときがチャンスです。言語聴覚士はそこですかさず、行動に対するほめ言葉をかけながらお菓子を渡すといった“ごほうび”を与えます。数回繰り返すうちに、「入れて」という言葉と、「お椀に積み木が入ること」が同じであると理解できるようになるのです。

家族や保育園などとも連携して

ABAによる効果を期待するためには、家族や周囲からの協力が欠かせません。家族が無理なく協力できるよう、納得できる説明を行いましょう。
実践する家庭のなかには、どちらか一方の親はABAに積極的だけれども、もう一方は理解がないということも少なくありません。その場合、家族全員の理解が得られるようなサポートを行うことも療育の一環です。また、保育園のような施設に協力を依頼する場合、家族の相談役になって、よい結果となるようフォローしていくことも忘れずに行いましょう。

言語聴覚士が家族のよき相談相手となり、会って話すだけで気持ちが落ち着くような関係となれば、療育の時間がもっと楽しく、もっと有意義なものになります。周囲との連携によって週25~40時間にものぼる言語療育の時間が現実的なものとなれば、言語習得の大きなステップとなることを伝えていきましょう。

 

【参考URL】

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