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飲み込みに影響する「味覚障害」対処法2017.01.23

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高齢社会化によって増加傾向にあるのが、嚥下機能の低下。嚥下のプロである言語聴覚士が関わる症状のなかでも、多い症状ではないでしょうか。嚥下障害がおこる理由はさまざまですが、単なる機能の低下だけではなく、口腔内の環境が影響することも少なくありません。なかでも見逃せないのが「味覚」と「飲み込み」の関係です。おいしくないから食べられない、というのは誰にとっても悲しいこと。患者さんにしっかり食べてもらうために、嚥下機能に関わる味覚の影響について考えてみましょう。

飲み込みに影響する味覚

甘味、酸味、塩味、苦味、うま味を味わうためにある味覚。五感のひとつとして認識されるものですが、実は、嚥下力や食欲にも影響すると言われています。味覚障害によって味がわからない、食事が楽しめないといった理由から、飲み込む力、食べる力が低下してしまうというわけです。

味覚障害と診断される患者さんのうち、約75%は味覚の低下、あるいは味がまったくわからない状態にあります。また、口腔内に何もないのに塩味や苦味を感じたり、何を食べてもまずく感じてしまったりするケースもあります。加齢とともに味蕾の機能が低下するため、近年では60歳代後半から70歳代をピークに味覚障害を訴える患者さんが増加し、味覚障害の半数近くを65歳以上の人が占めています。そのほか、薬剤によって味覚障害がおこる場合も多く、高齢者の3人に1人は薬剤性の味覚障害ともいわれています。原因となる薬剤はわかっているだけでも150種類以上。必要なお薬を服用しないわけにはいきませんので、生活の中で対処する必要があります。

味覚障害に関わる日常生活からの要因

味覚障害を引きおこす要因は個人によって異なりますが、偏った食生活を続けると、味覚の低下をおこしやすくなります。理由の一つが、亜鉛の不足です。
亜鉛の量が不足すると、味蕾の新陳代謝が低下し味覚障害につながることがあります。薬剤による影響の場合も、実は、亜鉛をキレートしているのが大きく影響しています。
味覚障害を改善するためには、亜鉛を摂取していくことが大切です。ミネラルの一つである亜鉛は体内で合成できないため、食品から摂取しなければなりません。
亜鉛が多く含まれるものとして、カキ、豚レバー、牛肉、卵黄、松の実やゴマ、海藻などが挙げられます。また、ハムやウインナーといった加工食品に使われるリン酸塩は亜鉛の吸収を阻害するため、できるだけ摂取を避けた方がよいでしょう。
また、口腔乾燥症や舌炎などによって舌苔が厚くなったり、舌苔の色が変わったりした場合にも味覚障害がおこることがあります。そうした意味でも、定期的な口腔ケアはとても重要です。このほか、味覚と密接に関係している嗅覚の低下も影響します。鼻炎がある、鼻づまりがひどいといった場合には、鼻腔の疾患にも目を向ける必要があります。

味覚に関わる疾患

日常生活からの要因以外にも、味覚障害に関わる疾患が数多くあります。例えば、貧血もその一つ。貧血になると舌の表面が赤くつるつるした状態になり、味覚が低下しやすくなります。また、糖尿病も注意すべき疾患の一つでしょう。糖尿病によって腎臓の機能が低下し、尿への亜鉛排泄量が増加することで、亜鉛不足からの味覚障害がおこります。腎臓機能低下だけでなく、消化管疾患によって亜鉛の吸収障害がおこれば、これもまた味覚障害につながります。そのほか、顔面神経麻痺や聴神経麻痺、脳梗塞、脳出血、頭部外傷といった要因も考えられるため、確認が必要です。

味覚障害改善のためにできること

生活習慣の問題の要因となる疾患へのアプローチや、亜鉛の充足を行うことで味覚障害の改善が期待できます。では、薬剤が影響した場合にはどうすればよいでしょうか?

抗がん剤、中枢神経系用剤など薬剤の副作用として「苦味を感じる」「味がしない」と感じている患者さんに対して、まず取り組むべきは口腔ケアでしょう。口腔内が汚れていると味の感じ方が変わってしまうため、舌苔を含め口腔内を綺麗にしてから食事を始めるように指導します。
リハビリで行う唾液分泌のトレーニングやマッサージはもちろんですが、食前にレモン水や薄い緑茶を飲むのも効果的だとされています。
食事の味つけは、はっきりしたものが好まれる傾向にあります。だからといって、濃い味にしてしまうと塩分・糖分過多になりかねません。だしをきかせる、ゴマや柚子など香りが楽しめる食材や酢を利用する、うまみを活かす、香辛料や香味野菜を使い味に変化を付ける、低温で美味しく食べられるメニューにするといった工夫を取り入れてみましょう。食事面で大切なのは、家族や管理栄養士と連携をとって見直しを進めること。
症例別の具体例としては、「味が濃過ぎる」と訴える患者さんには、薄味かだしのみの調理を行うこと。化学調味料を使用せず、天然のだしを利用しましょう。甘味に敏感になり、「何でも甘く感じる」という場合は砂糖やみりんを料理に使用しないようにしましょう。塩・しょうゆ・みそなどで味付けし、酸味をうまく利用するといいでしょう。肉類に苦味や金属味を感じる場合には、別の食品(魚、卵、大豆と大豆製品)でのたんぱく質摂取を心がけます。特定の食品、例えばハムやソーセージで苦味を強く感じたり、干物が塩味を強く感じたりする場合には、障害とならないように控えた方がよいでしょう。

味覚を支えるサポートを

言語聴覚士は嚥下のプロ。だからこそ、飲み込みに関わる要因について幅広い知識をもっていたいものです。食事を嫌がる患者さんは、もしかしたら味覚障害によって食事が苦痛になっているのかもしれません。歯科との連携による舌苔のケアや管理栄養士との連携による食事改善で、少しでも楽しく食事がとれるように働きかけたいですね。

 

【参考URL】

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