化粧療法(メイクセラピー)とは?患者さんへの効果や主な就職先について解説
公開日:2017.02.03 更新日:2024.06.04
認知症や高齢となった女性の患者さんは、身だしなみを整えることができない人も少なくありません。身なりから自信を失い、精神状態に悪影響を及ぼすこともありえます。
女性にとって、美しさは元気と勇気を与えてくれる心のエッセンス。
今回は、「化粧療法(メイクセラピー)」の詳細や効果についてお伝えします。
目次
化粧療法(メイクセラピー)とは?
化粧療法(メイクセラピー)とは、メイクアップを通じて心理的な癒しや自己表現を促進する方法です。このセラピーのコンセプトは、外見を変えることで内面にもポジティブな変化をもたらすというもの。自分を磨く行為は自尊心を高め、ストレスの軽減や心の安定に繋がります。
メイクセラピーは、ただ単に化粧品を顔に塗るという行為を超え、個人の内面と向き合い、自己受容や自己表現の手助けをする役割を果たします。そのため結果的に心身の健康に繋がる療法といわれています。
メイクセラピストとは?
メイクセラピストとは、メイクアップの専門知識を持ちながら、心理学やカウンセリングの技術を取り入れたセラピーを提供するプロフェッショナルです。
化粧品を用いて外見を美しく見せるだけでなく、個人の内面にも焦点を当て、心理的なサポートを行います。これによって、患者さんのの自己肯定感を高めると同時に、日々の生活において自信を持って行動できるように導く役割を担っています。
単に技術的なスキルだけでなく、人々の心に寄り添うことを重視しています。そのため、化粧品の色や質感を選ぶ際にも、患者さんの個性や心理的な状態を考慮に入れ、その人だけのオーダーメイドのメイクを提供することができます。
またメイクセラピストになるためには、メイクアップの技術を学ぶことはもちろん、心理学やカウンセリングの知識を身につける必要があります。人の話を聞き、理解し、共感することができるコミュニケーション能力も不可欠です。
メイクセラピストは、美と心の両面から人々の幸福に貢献する、非常に重要な役割を果たしている専門家といえるでしょう。
メイクセラピストの主な就職先
メイクセラピストの主な就職先として以下の場所が挙げられます。
・エステサロン
・皮ふ科・形成外科
・コスメ販売員
などがあげられます。
上記はあくまで一例であり、個人のニーズに合わせて多方面で活用することができます。美容と心のケアの両面から人々の幸せをサポートするメイクセラピストは、多くの分野で重宝される専門職といえるでしょう。
化粧療法(メイクセラピー)で期待できる効果4選
化粧療法(メイクセラピー)で期待できる効果はいくつかありますが、主に以下のことが挙げられます。
・ストレスの軽減
・幸福感の増加
・自己表現の促進
順番に見ていきましょう。
自尊心の向上
化粧療法(メイクセラピー)は、外見を整えるだけでなく、自尊心を高める力も秘めています。自己の外見に手を加えることで、自分への価値観が再構築され、自尊心が高まるのです。
ストレスの軽減
化粧は、ストレス解消に一役買うリラクゼーション法でもあります。化粧療法(メイクセラピー)では、化粧を施す過程がリズムを持ち、それが自然とストレスを軽減してくれます。
幸福感の増加
自分自身の外見に自信を持つことで、幸福感が増すことはよく知られています。化粧療法(メイクセラピー)は、自分自身を変える力を与え、それが幸福感につながります。
自己表現の促進
化粧品を使うことで、表現の幅は無限に広がります。化粧療法(メイクセラピー)は、自己表現の一部となり、自分自身の中にあるクリエイティビティを引き出す手助けとなるのです。
化粧療法(メイクセラピー)を行う際のポイント
化粧療法(メイクセラピー)を行う際のポイントとして次の3つが挙げられます。
・グループで化粧療法をおこなう
・プロのアドバイスを参考にする
それぞれ詳しく解説していきます。
患者さんとの密なコミュニケーションが大切
化粧といっても、一方的なものでは患者さんの満足度は高まりません。化粧には個人の好みや要望があり、それを引き出すためには患者さんとの密なコミュニケーションが求められます。患者さんが理想とする仕上がりを聞き、本人が心から望むイメージに近づけるように化粧することが大切です。こうした関わりも心のケアにつながり、ウキウキした気分を引き出すことにつながります。
さらに「化粧療法」によって、リハビリを活性化させることも期待できます。化粧をした患者さんに「素敵ですね」と声をかけることで、ポジティブなコミュニケーションがとれるようになり、作業療法士との関係性にも良い変化が生まれるのです。これまでリハビリへの意欲が低かった人でも、やる気が出るようになるケースも多いようです。
グループで化粧療法をおこなう
「化粧療法」はマンツーマンになりがちですが、グループで行うのもおすすめです。女性同士でにぎやかに化粧をすれば、患者さん同士のコミュニケーションも深まるのではないでしょうか。こうして見た目の変化やコミュニケーションによって気持ちが満足することで、徘徊(はいかい)や物を隠すなど問題行動の減少につながるといわれています。
プロのアドバイスを参考にする
「化粧療法」を行う場合、注意したいのがそのスキルです。場合によっては患者さんのほうが詳しく、不満をもたれるようでは残念な結果になることも。そこで試したいのが、プロの美容部員によるケアです。
アドバイスに従って患者さん自身がメイクやスキンケアを行うのはもちろん、作業療法士にとってもコツを教えてもらう良い機会です。若い作業療法士の場合は、高齢者に合ったメイク法がわからず、患者さんからはかえって不快に感じられてしまうこともありえます。そのため、美容部員などプロのアドバイスを参考にするとよいでしょう。
「化粧療法」はイベントとしても華々しく、盛り上がりやすいのがうれしいところ。患者さんの意欲を高めるためにも、定期的に開催してみてはいかがでしょうか。
化粧療法(メイクセラピー)で患者さんの毎日を豊かなものに
女性の意欲を引き出す「化粧療法」。身だしなみへの関心をなくしていた患者さんが、「化粧療法」を通して美しさへの意欲に目覚める可能性は充分にあります。
美しくあろうとする気持ちが希望となり、リハビリに励む人が増えることも考えられます。
「化粧療法」による見た目の変化やコミュニケーションは、きっと患者さんの毎日を豊かなものに変えてくれることでしょう。
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