教育現場で働く言語聴覚士の役割とは
公開日:2015.04.09 更新日:2015.04.20
言語聴覚士の第1回国家試験は1999年3月に行われました。言語聴覚士協会によると現在は、2377人がさまざまな分野で活躍しています。今回は、子どもと関わる言語聴覚士に焦点を当ててみましょう。
言語聴覚士が関わる小児の分野
言語聴覚士は、成人と小児のリハビリテーションを行います。小児では、発達障害や言語障害、運動障害、言語障害、聴覚障害など、その対象は多岐にわたります。また病院などの医療機関以外に、療育センターや教育機関でリハビリテーションを行うとともに、研究所や大学で言語聴覚士の養成に関わる言語聴覚士もいます。小児の分野では、保護者支援も大切な役割のひとつ。子どもとのコミュニケーションの取り方や子どもの状態を少しずつ保護者に伝えていきます。医療分野では、医師や看護師、理学療法士、作業療法士、ソーシャルワーカーなどと連携して、一緒に子どものことを考え、寄り添うことが重要です。
教育現場での役割
言語聴覚士協会によると、言語聴覚士の75%以上が病院などの医療現場で働き、次いで8.8%が老人福祉施設、8.1%が福祉施設に勤務しています。教育機関で働く割合は1.9%であり、全体をみるととても少ないのが現状です。
教育現場で働く言語聴覚士は、教員の良きアドバイザーとして子どもの状態像を的確に把握するという役割を果たします。発達検査や言語検査、聴力検査などの評価を行い、保護者にアドバイスをすることもあります。また、ときには、教職員や一般の方に向けて研修を担当することもあります。
教職員に伝えるときの工夫
教育現場のなかで働く言語聴覚士は、教職員と関わります。そのなかで、医療に関する内容をわかりやすく伝えるよう、心がける必要があります。なるべく専門用語を使わず、わかりやすい言葉に置き換え、ときには、図や絵などの視覚的な手段を使う工夫も効果的です。担任の先生と連携して子どもの様子を一緒に把握し、専門的な視点のアドバイスも交えつつ、子どものもっている可能性を伸ばす方法を見出しましょう。
これらの取り組みは、結果として言語聴覚士の役割を理解してもらうことにもつながります。
教育の現場で言語聴覚士が働くためには
国家資格となったことで、言語聴覚士という職業の知名度も上がっています。職域が広がり、特別支援学校も対象となりました。医療現場以外でも働く機会が増えた一方で、周囲から一層の理解を得て、各機関での連携を図ることが必要です。さらに言語聴覚士の専門性が拡大すれば、教育現場はより働きやすい職場へと近づくでしょう。教育現場で働く言語聴覚士が増えることに期待します。
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