リハビリ助手はきつい?仕事内容や向いている人などについて解説
公開日:2024.06.27
文:rana(理学療法士)
リハビリ業務をサポートする役割を担う「リハビリ助手」。実際にリハビリを行うのは医療系国家資格をもったセラピストですが、スムーズに業務を進めるためにはリハビリ助手のサポートが欠かせません。
今回はリハビリ助手について、仕事内容や働く場所、向いている人などについて現役理学療法士が解説します。
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リハビリ助手とは?
リハビリ助手とは、リハビリの補助や業務のサポートをする職種です。
主にリハビリを提供している病院や施設で活躍し、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などのセラピストが円滑にリハビリを進められるように、補助的な役割を果たします。
リハビリ助手は、特別な資格がなくても働くことができ、業界未経験者でも就職可能です。
医療系のなかでも比較的チャレンジしやすい職種といえるでしょう。ただし、リハビリ助手には向き、不向きがあります。向かない人は仕事内容がきついと感じることがあるかもしれません。
リハビリ助手の仕事内容
では、リハビリ助手は具体的にどのような仕事を担当するのでしょうか。主な仕事内容は以下の通りです。
・事務作業・雑用
・リハビリ機器の操作
・患者さんの案内やサポート
順番に詳しく紹介していきます。
リハビリのアシスタント
リハビリ助手の主な仕事は、セラピストのアシスタントとして補助的な役割をこなすことです。具体的にはリハビリに必要なクッションやタオルなどを用意したり、エアロバイクの設定をしたりするといった業務があります。
あくまで助手の立場であり、患者さんに直接治療をしたり、指導をしたりすることはできません。セラピストの指示の元、補助的な役割をこなすのがリハビリ助手の役割です。
事務作業・雑用
リハビリ業務の一環となる事務作業や雑用も、リハビリ助手の仕事です。たとえば、リハビリカルテの準備や予約表の作成などの業務を担当することになるでしょう。
パソコン作業も多いので、文章作成や表作成といった基本的な操作が行える程度の事務的技術は必要になります。また、職場によっては、電話対応や備品補充なども業務範囲とされる場合があります。
リハビリ機器の操作
リハビリで使用する機器類の操作も、リハビリ助手が担当します。整形外科クリニックや病院には、マイクロウェーブや低周波といったリハビリ機器が設置されており、実際のリハビリ前に患者さんに取り付けなければなりません。
施設によって機種等が異なりますが、多くの場合、取り付けてスイッチを押すだけの機器がほとんどです。未経験者でもすぐに慣れるでしょう。ただし、出力の強さや設定が指示通りなのかを間違えないように注意する必要があります。
患者さんの案内やサポート
来院した患者さんをリハビリ室まで案内したり、声をかけて誘導したりするのもリハビリ助手の仕事です。
特に初めて来院する方や、慣れない高齢の方は不安や戸惑いを抱えています。患者さんに寄り添ったコミュニケーション力や、状況に合った対応力が求められるでしょう。
リハビリ助手が働く場所
リハビリ助手の職場は、医療・介護系の施設が中心です。リハビリ助手の主な就職先をまとめました。
・整形外科クリニック
・老人保健施設
順番に見ていきましょう。
総合病院
リハビリ助手が必要とされる勤務先として、代表的なのは、リハビリテーション科のある総合病院です。回復期病院では、多くのセラピストが在籍し、日々、さまざまなリハビリを提供しています。スムーズに業務を進めるためにも、リハビリ助手のサポートが欠かせません。主に書類業務や雑用が中心となりますが、多くの患者さんに気を配りながら、医師やセラピストの指示のもと、正確に作業をこなしていく確実性と注意力が求められるでしょう。
整形外科クリニック
整形外科クリニックも、リハビリ助手が活躍する職場です。主に、リハビリ機器の取り付けを中心とした業務を担当します。整形外科クリニックには多くの患者さんがリハビリを受けるために来院するため、患者さんごとの対応や雑務に追われて、忙しくなることもあります。直接患者さんと接する機会が多いため、コミュニケーション能力を求められるでしょう。
老人保健施設
リハビリ助手として老人保健施設に勤務し、介護の仕事と兼任する働き方もあります。リハビリの雑用や事務作業などだけでなく、利用者さんのお世話も担当するため、仕事内容は多岐にわたります。しかし、病院や整形外科クリニックに勤務する場合よりも、比較的ゆっくりとしたペースで仕事が進めやすい場合が多いでしょう。
リハビリ助手に向いている人
どのような人がリハビリ助手に向いているのでしょうか。リハビリ助手に向いている人の特徴についてまとめました。
コミュニケーション能力が高い人
リハビリ助手はセラピストと同様に、患者さんと直接関わる機会が多くあります。時には、患者さんから直接なにかを依頼されたり、相談を受けたりすることも。また、セラピストや他の医療職と連携を図りながら、業務をこなす必要があります。そのため、人と関わることが好きでコミュニケーション能力の高い人に向いている職種といえます。
人のサポートが好きな人
リハビリ助手は、助手的な立場にあり、周囲のサポートを引き受ける役割があります。そのため、誰かが困っていれば積極的に手を差し伸べたり、声をかけたりできる前向きな気持ちが求められます。縁の下の力持ちとして働くことにやりがいを感じる人に向いている仕事といえるでしょう。
周りの気配りができる人
リハビリ中のセラピストは患者さんに集中しており、周りに目が向きにくいことがあります。患者さんやセラピストの困りごとをできるだけ早めに解決できるように、気配りできる能力も必要です。周囲に目を配り、その時必要なサポートを提案できる人は、リハビリ助手に向いています。
リハビリ助手に向いていない人
一方で、リハビリ助手に向かない人もいます。具体的な特徴についてまとめました。
人と接するのが苦手な人
人と接することが苦手な人はリハビリ助手に向いていません。なぜなら、リハビリ助手の仕事は患者さんやスタッフとのコミュニケーションが欠かせないからです。施設によっては毎日、数十人の患者さんと接することもあります。人との対話や連携が苦手な人は相当苦痛に感じてしまうかもしれません。
周りに気を配れない人
リハビリ助手は、状況を把握しつつ、その都度、的確な対応が求められます。視野が狭く、自分の仕事だけに集中しがちな人や、突発的な状況が発生するとパニックに陥りがちな人には、リハビリ助手の仕事が向かないかもしれません。
主体性をもって仕事をしたい人
リハビリ助手はあくまでセラピストの補助的な役割を担う職種です。自分の意見を主張する機会は少なく、自分が中心となってリハビリを進める仕事はありません。そのため、主体性をもって仕事をしたい、自分の意見を主張したいと思う人には向いていないでしょう。
リハビリ助手の仕事を理解してスムーズな連携を
リハビリ助手はセラピストと関わりの深い職種です。特別な資格を取得していなくても医療系の仕事につけるため、チャレンジしやすいという特徴があります。とはいえ、リハビリ助手に向かない人もいるので、自分に合った働き方ができるかどうかを検討することが大切です。リハビリ助手の役割を理解し、やりがいをもって働けるように取り組んでみてはいかがでしょうか。
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rana(理学療法士)
総合病院やクリニックを中心に患者さんのリハビリに携わる。現在は整形外科に加え、訪問看護ステーションでも勤務。 腰痛や肩痛、歩行障害などを有する患者さんのリハビリに日々奮闘中。 業務をこなす傍らライターとしても活動し、健康、医療分野を中心に執筆実績多数。
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