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医療・介護現場でよく耳にする「見当識」とは?見当識障害の症状や適切な関わり方について解説

公開日:2024.07.04

医療・介護現場でよく耳にする「見当識」とは?見当識障害の症状や適切な関わり方について解説

文:かな(作業療法士)

医療や介護の現場でよく使われる「見当識」という言葉。正しい意味を知っていますか?

見当識とは自分の置かれている状況を理解する能力のことです。

病気によって低下してしまうことがあり、関わり方に注意が必要となります。この記事では見当識障害の症状や関わり方、リハビリについて解説します。

見当識とは?病気との関係は?

見当識とは、時・場所・人(周りの人)といった自分の置かれている状況を理解する能力を指します。見当識における時・場所・人とは、以下のような例を指します。

・ 時:日にち・時間・季節などの認識
・場所:今いる場所が私的な場所か公的な場所かという認識・所在地の認識
・人:家族・友人・近所の人などの認識

見当識は認知症と関連が強く、アルツハイマー病・脳血管性認知症・レビー小体型認知症などにより、見当識が保たれなくなる(時・場所・人を認識できなくなる)ことがあります。この状態を見当識障害と呼びます。

見当識障害で起こりうる症状

医療・介護現場でよく耳にする「見当識」とは?見当識障害の症状や適切な関わり方について解説

一般的に見当識障害では、時・場所・人の順に分からなくなります。よくある症状としては以下の通りです。

今が何月何日か、何時なのか分からない。季節も分からない。今が何年か分からないので年齢も分からない。季節が分からないので服装がミスマッチになる。

場所

今いる場所がどこなのか分からない。家にいるのか病院にいるのか分からない。トイレの場所が分からなくて間に合わず失禁してしまう。外出しても今いる場所が分からなくなり迷子になってしまう。

目の前にいる人が誰か分からない。家族に会っても、家族だと認識できない。反対に他人をみて自分の子だということもある。

このように今がいつなのか、どこにいるのか、周りの人は誰なのかが分からなくなるため、患者さん本人は困惑したり不安になったりしてしまいます。

見当識障害の方への関わり方のポイント

見当識障害がある患者さんは、周囲の状況が理解できず、不安を抱えています。そのため、相手を否定したり、間違いを正すように強く諭したりするのはNG。

できるだけ見当識を保てるような声かけを行い、不安を感じさせない環境を作ることが大切です。関わり方のポイントを解説します。

できるだけ環境を変えないようにする

見当識障害があると、環境の変化によって症状が悪化しやすいといわれています。

入院や引っ越しといった大きな変化だけでなく、部屋の模様替えでも影響する場合があるため、注意が必要です。そうはいっても入院・入所などが避けられない時もあるでしょう。そんな時は、使い慣れたものや思い出の品などを持ちこむと良いでしょう。

日常の会話に時の情報を入れる

見当識障害のある方には、さりげなく会話のなかに時や場所の要素を盛り込んでみましょう。

例えば「今日は3月3日でひな祭りです」「今から昼ごはんですね」など、時間や日時・季節感が分かるように話すことで、周囲の状況を優しく伝えられます。

場所の案内を作る

見当識障害があると、病院や施設だけでなく、自宅にいても、どこに何があるのか分からなくなるものです。

例えば、病院や施設なら自室や食堂の場所など分からなくなり、迷ってしまうことがあります。同様に自宅においても、今どこにいるのか分からずに、不安を抱えます。

特に注意したいのが、トイレの場所の認識です。場所が分からないがゆえに失禁につながる可能性があるため、張り紙や目印をつけるなど分かりやすくしておきましょう。

時計やカレンダーを見えるところに置く

見当識障害では時間や日時が分かりにくくなりますが、時計やカレンダーがあることで認識しやすくなります。

紙のカレンダーの場合は、過去の日にバツ印をつけると、今日の日付が分かりやすいでしょう。また、テレビや新聞を見えるところに置くことで、情報に触れながら日時の把握を促すのがよいでしょう。

否定せず不安の軽減に努める

見当識障害では、病院にいるのに家だといったり、家族に会ったのに分からなかったりすることがよくあります。

しかし、間違えたことを言っても否定しない、訴えがあればよく聞く、傾聴することが大切です。また、場所が分からないのであれば、安全な場所であることを伝えるなど不安の軽減に努めるとよいでしょう。

見当識障害に対するリハビリ「リアリティオリエンテーション」

医療・介護現場でよく耳にする「見当識」とは?見当識障害の症状や適切な関わり方について解説

見当識障害へのリハビリ方法の1つに、「リアリティオリエンテーション(以下、R0)」があります。

対象となるのは、短期記憶の障害があるものの長期記憶はある程度保たれている患者さんです。時や場所といった今の状況の認識を促すことで患者さんの不安を軽減する効果が期待できます。

ROには、グループに対して行う「クラスルームリアリティオリエンテーション」と、個別に普段のコミュニケーションのなかで行う「24時間リアリティオリエンテーション」があります。それぞれの特徴は以下の通りです。

クラスルームリアリティオリエンテーション

少人数のグループに対して定期的に行う。場所や時間はできるだけ固定する。1回30分程度実施する。

24時間リアリティオリエンテーション

どのスタッフでも日時問わず行うもので、日頃のコミュニケーションのなかで見当識に関する情報を織り交ぜて伝える。いつもの会話のなかで実施できることから取り入れやすい。

いずれの場合でも、対象となる患者さんのストレスとならない範囲で取り入れてみましょう。

見当識障害のある方への関わり方を工夫しよう

見当識障害があると、時・場所・人が分からなくなり混乱や不安を招きやすいもの。

そのため、周囲の関わり方に工夫が必要です。できるだけ自然なかたちで現実への認識を促したり、環境設定をしたりすることで、患者さんの不安を和らげる効果が期待できます。

見当識障害で困っている患者さんがいたら、関わり方を工夫してみましょう。

rana

かな(作業療法士)

作業療法士/呼吸療法認定士・福祉住環境コーディネーター2級・がんのリハビリテーション研修修了
身体障害領域で15年以上勤務。特に維持期の患者さんの作業療法、退院支援に携わってきました。家では3人の子ども達に振り回されながら慌ただしい日々を送っています。趣味は読書とお菓子作り。

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