リハビリ職は無資格でも働ける?仕事内容やデメリットなどを解説
公開日:2024.08.05
文:rana(理学療法士)
リハビリに携わる主な職種には、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などが挙げられますが、いずれも国家資格が必要です。では、無資格ではリハビリ職に就くことはできないのでしょうか。
今回は、資格がないけれどリハビリ職に就きたい方に向けて、無資格の働き方について現役理学療法士が解説します。
目次
リハビリ職は無資格でも働ける?
結論からいうと、リハビリ職は仕事内容によっては無資格でも働けます。ただし広い意味でのリハビリ職であって、理学療法や作業療法といった専門的な治療を提供できるわけではありません。
リハビリに携わる仕事は、直接患者さんを治療するだけではなく、事務作業や自主トレーニングを見守るといった業務もあります。そうしたサポート的な役割を担当する範囲であれば、セラピストの資格がなくても働けます。
無資格でもできるリハビリの仕事
では、無資格でリハビリの仕事を担当する場合には、どのような働き方があるのでしょうか。具体的な職種として代表的なものを2つ紹介します。
リハビリ助手
リハビリ助手は、リハビリのサポートや事務作業などをこなす職種です。
理学療法士や作業療法士などがリハビリで使用する機器をセッティングしたり、患者さんをリハビリ室へ案内したりするのが主な業務です。
また、患者さんから次回のリハビリ予約を受けたり、その日にリハビリした患者さんのリストを作成したりする業務もリハビリ助手が担当します。患者さんに直接対応する業務も多くありますが、基本的にセラピストの指示に従って働くことになるでしょう。
リハビリ助手は「未経験者でも可」とされている求人も多くみられます。
トレーナー
トレーナーは患者さんが自主的に行うトレーニングを見守ったり、指導したりする職種です。患者さんに直接指導するため、ある程度、リハビリに関する知識が求められます。
無資格であっても働けますが、医療系国家資格の取得を目指す学生や、スポーツや競技経験がある方を優遇して採用されるケースがほとんどです。
無資格でリハビリ職になるデメリット
無資格でもリハビリ職に就くことはできますが、無資格のままではデメリットもあります。
給料が低い
無資格の場合、理学療法士や作業療法士などの資格保有者と比べると、給料が低いのがデメリットです。
理学療法士や作業療法士であれば、リハビリを実施した時間に応じて病院は保険請求により収入が得られますが、無資格ではそうした請求ができません。
雇用先としてはリハビリ助手やトレーナーを採用しても、基本的に収入につながらないため、基本給自体を低く設定されていることがほとんどです。
昇給の機会も少ないため、無資格でリハビリ職を続けるとしても、家族の生活をリハビリ職の給料だけで支えるのは少々厳しいかもしれません。
患者さんを治療できない
リハビリ助手やトレーナーはあくまでサポート的な役割であり、直接、患者さんを治療することができません。リハビリを提供できるのは医師の指示を受けた理学療法士や作業療法士、言語聴覚士のみであり、無資格者は対象とされないのです。
同じリハビリの現場で働くとしても、セラピストのように直接リハビリに携われないもどかしさを感じてしまうかもしれません。
求人が少ない
リハビリ助手やトレーナーの求人自体が比較的少ないこともデメリットに挙げられます。
リハビリ職の求人は、資格を持つセラピストの募集がほとんどです。求人が出てもすぐに埋まってしまいやすく、自分の希望するタイミングで働けないことが多いでしょう。
資格がないとリハビリ職に就くこと自体にハードルがあります。
リハビリ職におすすめの資格
リハビリ職として働きたいのであれば、資格取得を検討してみましょう。リハビリ職を目指す人におすすめしたい資格をいくつか紹介します。
いずれも定められた養成校で3~4年学んだ後に、国家試験に合格する必要があります。
理学療法士
理学療法士は、主に身体機能に障がいがある人に対して、運動機能の回復や基本動作能力の向上を目的にリハビリを提供する職種です。運動療法や徒手療法などを用いて、患者さんのリハビリに携わります。
作業療法士
作業療法士は、主に身体や精神に障がいがある人に対して、心身機能の回復を促し、日常生活や社会復帰を目指すことを目的にリハビリを提供する職種です。
食事や着替えなどの日常生活動作訓練、手の細かい作業動作の訓練などにより、患者さんのリハビリに携わります。
言語聴覚士
言語聴覚士は、言葉によるコミュニケーションや嚥下に障がいを抱える人に対して、コミュニケーション能力や口腔機能の向上を目的にリハビリを提供する職種です。
患者さんの「話す」「聞く」「食べる」能力に特化した専門的なリハビリを実施します。
セラピストを目指すなら無資格で現場経験を積むのもおすすめ
将来的にセラピストを目指しており、すでに養成校に通っている、資格取得の予定があるといった場合には、無資格のうちからリハビリ助手やトレーナーとして働き、現場経験を積むのがおすすめです。
筆者も資格取得前は、夜間の理学療法士養成校に通いながら、昼間は整形外科のトレーナーとして働いていました。養成校で学んだ内容を、職場で患者さんに実践できる恵まれた環境が得られ、より深い学びができました。
実習や資格取得後の臨床にも、リハビリ助手やトレーナーとしての経験が活かせます。チャンスがあれば、資格取得前に働いてみるのもよいかもしれません。
無資格でリハビリ職に就くならキャリアプランを明確にすることが大切
無資格でリハビリ職に就くことは不可能ではありません。しかし、有資格者と比べるとデメリットがあるのも事実です。
将来的にセラピストの資格取得を目指すのであれば、無資格のうちからリハビリ職に触れ、現場経験を積むのもよいでしょう。
資格取得の予定がなく、無資格のままでリハビリ職を続けたい場合には、自分の将来や置かれている状況を踏まえながら、今後の働き方やキャリアプランを考えてみてはいかがでしょう。
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rana(理学療法士)
総合病院やクリニックを中心に患者さんのリハビリに携わる。現在は整形外科に加え、訪問看護ステーションでも勤務。 腰痛や肩痛、歩行障害などを有する患者さんのリハビリに日々奮闘中。 業務をこなす傍らライターとしても活動し、健康、医療分野を中心に執筆実績多数。
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