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クローヌスの止め方とは?原因のほか家庭でできる対策と医療機関での治療も紹介

公開日:2024.09.06

クローヌスの止め方とは?原因のほか家庭でできる対策と医療機関での治療も紹介

文:加藤真太郎(理学療法士)

クローヌスは、筋肉が意思に反してガクガクと動いてしまう現象です。主に中枢神経系の障害によって引き起こされるといわれています。クローヌスは日常生活動作の安定性に影響を与えるだけではなく、精神的なストレスにもなります。

この記事では、クローヌスの原因や生活への影響などを解説し、症状を軽減させる方法も紹介します。クローヌスに悩む方やそのご家族のために役立つ情報を記載していますので、ぜひ最後までご一読ください。

クローヌスとは

クローヌスとは、自分の意思とは関係なく筋肉が反復的に収縮と弛緩を繰り返す異常な運動現象のことです。通常であれば、腕や足などの筋肉は意識的にコントロールできますが、病気やケガにより脳や脊髄などの中枢神経系に障害が起きるとコントロールが難しくなります。

筋肉は伸ばされるような伸張刺激が加わると、「伸張反射」という現象が起きます。座っているときに、膝の下を叩くと、足がピョーンと持ち上がる反応がありますが、これが伸張反射です。

伸張反射は、通常はわずかな刺激では起きませんが、中枢神経系に障害があるとちょっとした刺激でも反応が出てしまう場合があります。この反射が連続的に起きてしまっているのがクローヌスです。

クローヌスは足関節や膝関節で多く、足関節でのクローヌスは貧乏ゆすりのような動きがみられます。意識的に止められないため、座位や立位が不安定になる場合があります。
クローヌスが出たままでは転倒や転落のリスクがあるため、介助が必要な場合もあります。

クローヌスになる原因

クローヌスの止め方とは?原因のほか家庭でできる対策と医療機関での治療も紹介

クローヌスの原因の1つといわれているのが筋肉の「痙縮(けいしゅく)」です。痙縮とは、手や足の筋肉が異常に緊張している状態をいいます。痙縮は、脳卒中や頭部外傷、脊髄損傷、脳性まひなどの中枢神経系の障害の症状の1つです。

筋肉が異常に緊張している状態だと、わずかな伸張刺激でも伸張反射が起きてしまうためクローヌスが出現してしまうのです。

ただ、クローヌスや痙縮の原因はまだ明らかになっていない部分も多くあります。

クローヌスが現れることによる生活の影響

クローヌスが現れると、座っていたり立っていたりするときに足が勝手にガクガクと動いてしまうため生活に影響が出ます。

そこで次からは、クローヌスが生活にどのような影響を与えるのかを解説します。

動作の安定性の低下

クローヌスのなかでも、足関節で起こるクローヌスは動作の安定性に大きな影響を与えます。

また、座ったときに足が床についた刺激でクローヌスが起こると座位の安定性にも影響します。

立位や歩行でも同様です。立ち上がったときの刺激で足がガクガクしてしまえば、落ち着くまで動き始められず、バランスを崩して転倒する危険性もあります。

日常生活を送るうえで、立ったり歩いたりすることは欠かせない動作です。クローヌスによって動作が安定しないと、何を行うにも介助が必要となり、自立度が低下してしまいます。

生活の質の低下

クローヌスによる生活動作の制限は生活の質を低下させるだけではなく、不快感や精神的なストレスにもなります。

クローヌスによって筋肉が頻繁に収縮すると、筋肉の疲労や痛みなどの不快感を伴う場合があります。また身体的な不自由により、日常生活に制限があるため精神的なストレスが加わります。

クローヌスの確認方法

足がガクガクしている原因が、クローヌスかどうかを確認する方法があります。クローヌスは膝関節と足関節に多くみられるため、それぞれの確認方法を紹介します。

膝関節クローヌスの確認方法

膝関節クローヌスの確認方法は次のとおりです。

1. 仰向けで膝を伸ばした姿勢にする
2. 親指と人差し指で膝蓋骨をつまむ
3. 膝蓋骨を強く下方に押し下げる

「3」のときに膝蓋骨が上下に連続的に動いたら、「クローヌスがある」と判断します。

足関節クローヌスの確認方法

足関節クローヌスの確認方法は次のとおりです。

1. 仰向けで軽く膝を曲げた状態にする
2. 足首を反る方向に足底から素早く押す

「2」のときに足関節が連続的にガクガクと動いたら、「クローヌスがある」と判断します。

クローヌスを止める対処法

クローヌスの止め方とは?原因のほか家庭でできる対策と医療機関での治療も紹介

クローヌスを止める対処法もあります。足関節クローヌスの場合は、貧乏ゆすりのようにガクガクしている動きを上から押さえつけるようにします。しばらくするとクローヌスが収まるはずです。

ガクガク動いてしまっている動きを止めるだけなので、特別な技術は必要ありませんが、勢いよく強い力で押さえつけると痛みやケガにつながる可能性があるため、ゆっくりと、徐々に力を加えて押さえつけるようにしてください。

クローヌスを軽減させる方法

クローヌスは中枢神経系の問題であるため、基本的には医療機関で適切な治療やリハビリを受ける必要がありますが、家庭でも行えることがあります。

家庭でできること

家庭でできるクローヌスを軽減させる方法は、「筋肉の柔軟性の確保」と「丁寧に動かす心がけ」です。

クローヌスは筋肉の異常な緊張が原因の1つで、これは筋肉が伸びにくい状態でもあります。そこで、クローヌスが起きる原因となっている筋肉のストレッチを行うといいでしょう。

日常生活で主に問題になるのは足関節クローヌスで、この原因となっている筋肉は下腿三頭筋です。介助者が足首を反る方向にゆっくり動かし、抵抗感を感じるところで止めることで、下腿三頭筋のストレッチになります。

ストレッチは本人が痛みを感じない程度の強さで、20~30秒程度止めていてください。反動をつけてストレッチしてしまうとクローヌスを誘発するので注意してください。ゆっくり丁寧に動かすのがポイントです。

また介助者が、足を床に下ろしたり靴を履かせたりする場合は、ゆっくりと丁寧に動かすように心がけてください。クローヌスはわずかな伸張刺激で誘発されてしまうため、丁寧に介助をすることで、クローヌスの誘発を軽減できます。

医療機関でできること

医療機関では、主に次のものが行われます。

装具

足関節の安定性を高める装具の装着が行われ、筋肉の過度な緊張を抑えます。立ち上がりや歩行時のクローヌスが起きる頻度が減少するので、日常生活での動作が楽になります。

ボツリヌス療法

ボツリヌス毒素を直接筋肉に注射をする治療方法で、痙縮を緩和するために効果的な治療法といわれています。この注射をすることで、痙縮で固くなっている筋肉が柔らかくなり、クローヌスが起きる頻度が軽減する可能性があります。

ボツリヌス療法は効果的ですが、定期的な注射が必要で、治療費もそれなりにします。また、どの医師でも行える治療ではないため、ボツリヌス療法が行える病院を探す必要があります。希望する方は、まずはかかりつけの医師に相談してみましょう。

物理療法

物理療法は、筋肉の過度な緊張や痛み・不快感を軽減させる効果があります。具体的には、温熱療法や電気刺激療法などがあります。

日常生活に大きな支障が出ている場合はかかりつけ医に相談を

クローヌスは、筋肉が反復的に収縮と弛緩を繰り返す異常な運動現象であり、脳や脊髄などの中枢神経系の障害により起こります。座位や立位の安定性に影響するだけではなく、精神的なストレスにもつながります。
クローヌスを完全になくすことは難しいですが、適切な対処法を実践すれば出現する頻度は軽減できるはずです。
クローヌスによって日常生活に大きな支障が出てしまっている場合は、かかりつけ医に相談しみてください。

加藤真太郎

加藤真太郎

理学療法士/ダイエットインストラクター/姿勢改善アドバイザー
回復期の病院で8年間勤務し、その後は養成校の教員として働いている。副業として介護・医療分野を中心にライター業、筋トレ関連のブログ運営を行っている。プライベートでは3児の父親であり、日々子育てと仕事に奮闘している。

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