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理学療法士が免許取り消しされる事例とは?条件や行政処分の種類を解説

公開日:2024.11.13

理学療法士が免許取り消しされる事例とは?条件や行政処分の種類を解説

文:内藤 かいせい(理学療法士)

理学療法士はなにかしらの問題を起こした場合、法令によって免許が取り消される場合があります。しかし、具体的にどのような条件なのかよく知らない方も多いのではないでしょうか。

この記事では、理学療法士の免許取り消しをはじめとした、行政処分の内容やその事例についてご紹介します。理学療法士の法令を知ることで、自身の行動をあらためるきっかけとなるでしょう。

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理学療法士が免許取り消しになる条件

ここでは「理学療法士及び作業療法士法」で定められている、欠格事由(免許取り消しの条件)をみていきましょう。

(欠格事由)
【第四条】次の各号のいずれかに該当する者には、免許を与えないことがある。
1. 罰金以上の刑に処せられた者
2. 前号に該当する者を除くほか、理学療法士又は作業療法士の業務に関し犯罪又は不正の行為があつた者
3. 心身の障害により理学療法士又は作業療法士の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの
4. 麻薬、大麻又はあへんの中毒者

引用:理学療法士及び作業療法士法(昭和四十年法律第百三十七号)

このように、理学療法士に限らず厳正な対処が求められるようなケースが起こった場合に免許が取り消されることがあります。

理学療法士に対する処分の種類

理学療法士が免許取り消しされる事例とは?条件や行政処分の種類を解説

理学療法士に対する処分は免許取り消しだけでなく、「行政指導」や「名称使用停止」などの種類もあります。ここでは、それぞれの処分の詳細について解説します。

行政指導(厳重注意)

行政指導(厳重注意)は、免許の取り消しや業務停止などの重い罰則はなく、問題行為に対する警告としての注意にとどまります。理学療法士が引き起こした問題の対応のなかでは、軽い処分といえるでしょう。

厳重注意を受けた理学療法士は普段どおり業務を続けられますが、再び問題を起こさないように注意を払う必要があります。今後の行動次第では、より重い処分につながる可能性もあるため、行政指導であっても真摯に受け止めることが大切です。

名称使用停止

名称使用停止の処分を受けると、一定期間「理学療法士」という名称を使用できなくなります。この処分はつまり、理学療法士としての業務を行えなくなることを指しています。名称使用停止は、行政指導よりも重大な違反や不正行為があったケースで起こる処分です。

名称使用停止の期間は違反の内容によって異なりますが、数か月から1年程度がおもな目安です。処分を受けた理学療法士は、停止期間中に自身の行動を振り返り、再発防止に努めることが求められます。

免許取り消し

免許取り消しは、理学療法士に対する処分のなかでもっとも重い内容です。この処分が下されると、理学療法士としての資格を完全に失い、業務を行えなくなります。理学療法士として業務を再開するためには、再び国家試験を受験しなければいけません。

ただし、違反行為の内容によっては再受験自体が認められない場合もあります。免許取り消しは個人のキャリアだけでなく、理学療法士全体の信頼性にも影響を与える可能性があることを理解する必要があります。

理学療法士が免許取り消しになるまでの流れ

理学療法士が免許取り消しされる事例とは?条件や行政処分の種類を解説

理学療法士が免許取り消しになるまでの流れは、以下のとおりです。

1. 理学療法士が「理学療法士及び作業療法士法」の欠格事由に該当するような問題を起こす
2. 医道審議会によって審議される
3. 審議内容をもとに厚生労働省によって処分が下される

医道審議会とは、医療従事者の資格に関する重要事項を審議するための機関です。理学療法士の場合、問題行為が発覚すると、まずは医道審議会で処分内容が検討されます。このように、理学療法士の免許取り消しは、複数の段階を経て慎重に決定されています。

過去の理学療法士の免許取り消し事例

ここでは、過去に理学療法士の免許取り消しをはじめとした、行政処分が行われた事例についてご紹介します。

2023年1月24日

・名称使用停止(8か月):1件(道路交通法違反、過失運転致傷1件)
・ 名称使用停止(1年):1件(公職選挙法違反1件)

2021年3月11日

・ 免許取り消し:1件(準強制わいせつ1件)
・名称使用停止(3か月・作業療法士):1件(島根県迷惑行為防止条例違反1件)

2018年3月15日

・名称使用停止(6か月):1件(住居侵入1件)
・名称使用停止(3か月):2件(建造物侵入、長崎県迷惑行為等防止条例違反1件、名誉毀損1件)

2017年3月14日

・行政指導:1件
・名称使用停止(3か月):2件
・高知県青少年保護育成条例違反、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反
・公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条約(広島県)違反

2017年までの行政処分に関しては、免許取り消しは1件のみです。そのため、免許取り消しとなるケースは割合として少ないといえるでしょう。

出典:厚生労働省|医道審議会(理学療法士作業療法士倫理部会)

理学療法士の免許取り消し後の再取得はできる?

理学療法士の免許取り消し後の再取得については、「理学療法士及び作業療法士法」の第七条に記載されています。

(免許の取消し等)
【第七条(3)】
第一項の規定により免許を取り消された者であつても、その者がその取消しの理由となつた事項に該当しなくなつたとき、その他その後の事情により再び免許を与えるのが適当であると認められるに至つたときは、再免許を与えることができる。この場合においては、第六条の規定を準用する。

引用:理学療法士及び作業療法士法(昭和四十年法律第百三十七号)

このように、法律上では免許の再取得は可能です。しかし、第七条にあるとおり「取り消しの理由になった事項に該当しなくなった」という場合に限ります。この内容に該当するケースは珍しいといえるため、基本的に再取得は難しいと考えられます。

また、免許取り消し自体の事実は残るので、職場からの信頼を得ることは容易ではありません。そのため、実質的に理学療法士として働くことは難しいと考えられるでしょう。

そのほかの理学療法士の罰則について

「理学療法士及び作業療法士法」では、行政処分以外の罰則についても記載されています。
具体的な罰則内容は以下のとおりです。

内容 罰則
第二十条 国家試験の試験事務担当者として、不正行為をした場合 1年以下の懲役または50万円以下の罰金
第二十一条 第十六条(守秘義務)に違反した場合 50万円以下の罰金
第二十二条 次のいずれかに該当した場合
●名称使用停止中に理学療法士(作業療法士)の名称を使用した場合
●第十七条(名称の使用制限)の規定に違反した場合
30万円以下の罰金

出典:理学療法士及び作業療法士法(昭和四十年法律第百三十七号)

理学療法士の免許取り消し事例や条件を把握しておこう

理学療法士が「理学療法士及び作業療法士法」の欠格事由に該当すると、行政処分が下される場合があります。処分は行政指導や名称の使用停止、免許の取り消しがあり、問題の規模や状況によって内容が変わります。

このような処分を下されるような状況を回避するためには、理学療法士として問題を起こさないように心がけることが重要です。

内藤かいせい

内藤 かいせい

理学療法士として回復期病院と訪問看護サービスに従事し、脳血管疾患や運動器疾患などの幅広い症例を経験する。リハビリで患者をサポートするとともに、全国規模の学会発表にも参加。 新しい業界にチャレンジしたいと決意し、2021年に独立する。現在はWebライターとして活動中。これまでの理学療法士の経験を活かして、医療や健康分野で多くの執筆・監修に携わっている。

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