おばさんでも理学療法士として働ける?今後も働き続けるポイントをご紹介
公開日:2024.11.15

文:内藤 かいせい(理学療法士)
理学療法士として働き続けるなかで、おばさんになってもこの仕事を続けられるのか心配になる方もいるのではないでしょうか。理学療法士は資格自体に年齢の決まりはないものの、年を経ると苦労する場面が増えます。一方で、いくつかの工夫をしておくことで、いつまでも理学療法士として働き続けることが可能です。
この記事では、年を重ねた世代の理学療法士が仕事で苦労するポイントや働き続けるポイントをご紹介します。理学療法士として働くコツを知ることで、今後のキャリアを考えるきっかけとなるでしょう。
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理学療法士はおばさんになっても働ける?
結論からいうと、年齢関係なく理学療法士として働き続けられます。理学療法士の資格自体に、年齢制限はありません。そのため、多くの場合は一般的な定年と同じく60〜65歳前後まで働くことが可能です。
実際に、おばさん・おじさんの世代でも活躍している理学療法士は多くいます。筆者が通っていた養成校では、40代で入学して理学療法士の免許を取得した方もいます。このように、理学療法士は年齢関係なく十分に働ける職業といえるでしょう。
おばさん理学療法士のメリット

年を重ねた理学療法士には、若い方にはないようなメリットもあります。ここでは、年を重ねた理学療法士のメリットについて解説します。
患者さんから信頼されやすい
年を重ねた世代の理学療法士は、患者さんから信頼されやすいという大きなメリットがあります。年を重ねることで患者さんとの年齢差が縮まり、共感や理解が得やすくなるからです。高齢者の患者さんが多い現場では、若い世代の理学療法士よりも親近感を持たれやすく、コミュニケーションがスムーズに進むことも多いといえます。
また、年齢を重ねた理学療法士は落ち着いた雰囲気があり、それが患者さんに安心感を与えることもあります。この信頼のされやすさは、リハビリの効果を高めるうえで重要な要素です。
これまでの経験を活かせる
年を重ねている分、これまでの経験を活かした活躍ができます。長年の臨床経験を積み重ねてきているため、物事に対して柔軟に対応可能です。たとえば、患者さんの症状や状態を的確に判断し、最適なリハビリプランを組みやすくなります。また予期せぬ事態が起きても、冷静に対応しやすくなります。
若手の理学療法士に指導や助言をする立場にもなれるため、チーム全体のスキルアップにも貢献できるでしょう。このように、年を重ねた世代の理学療法士は長年培ってきた経験を活かすことで、現場で重要な役割を果たせるのです。
おばさんが理学療法士として苦労するポイント

年を重ねた世代の理学療法士にはメリットがある一方で、苦労するポイントもいくつかあります。ここでは、年を経るにつれて苦労しはじめるポイントを詳しく解説します。
力仕事
理学療法士は患者さんに対して介助する場面が多く、力仕事の側面があります。そのため、年齢を重ねると体力的に厳しく感じることがあります。とくに重度の麻痺がある患者さんや、体重が重い患者さんにリハビリする際は、それなりの体力と力が必要です。
このように、若いころは難なくこなせていた作業も、年齢とともに負担に感じる場面が増えていきます。
転職
理学療法士として年齢を重ねると、転職の難易度が高まる可能性があります。一部の職場では若い世代の雇用を優先する傾向があるため、転職活動がスムーズにいかないケースがあります。とくに体力を必要とするような職場では、若手の採用を好む傾向があるでしょう。
一方で、経験豊富な理学療法士を求めている職場も多く存在します。なかにはベテランを探している場所もあるので、必ずしもすべての職場の転職が不利というわけではありません。自身の経験を活かせる分野や、体力的な負担が比較的少ない職場を選ぶことで、スムーズな転職が可能です。
周囲とのコミュニケーション
理学療法士は比較的若い世代が多い職場環境なので、年齢を重ねると周囲とのコミュニケーションに課題を感じることがあります。若いスタッフが増えると、価値観や考え方の違いから、意思疎通がスムーズにいかない場面が出る可能性があります。また若手スタッフの手本になろうとして、それがプレッシャーとなる場合もあるでしょう。
しかし、業務や交流を通して周囲とのコミュニケーションをうまくとれれば、チーム全体の連携強化につながります。若手スタッフの新しい発想や技術を学ぶ一方で、自身の豊富な経験を伝えることで、お互いに学びあえる関係を築けます。
おばさんが理学療法士として働く4つのポイント
年を重ねた世代がこれからも理学療法士として働き続けるためには、以下のポイントをおさえることが重要です。
1. 管理職になる
2. 専門性を高める
3. 力仕事が少ない職場で働く
4. 臨床以外の仕事に就く
ここでは、それぞれのポイントについて詳しく解説します。
1.管理職になる
1つ目は、管理職になることです。昇進して管理職になれば、臨床業務から離れて部門全体のマネジメントや運営に携わる機会が増えます。これにより体力的な負担が軽減され、年齢を重ねても働きやすくなります。
また管理職になることで、理学療法士としての価値も高まるでしょう。組織全体を見渡す視点や、経営的な側面からの判断力が求められるため、より幅広い知識や能力を身につけられます。管理職を目指す場合は、今の職場で昇進できる機会があるか確認してみましょう。今の職場での昇進が難しいのであれば、転職を検討するのも1つの手段です。
2.専門性を高める
2つ目は、専門性を高めることです。専門性を高めることで理学療法士としての価値が高まり、必要な人材として重宝されやすくなります。専門性を高めるには、特定の分野や領域にフォーカスして勉強するのがおすすめです。具体的に、専門性を高める方法は、以下のとおりです。
● 専門的な資格の取得(認定理学療法士、専門理学療法士など)
● 学会や研修会への参加
● 研究論文や専門書による学習
● 症例研究の実施や学会発表
自分の興味のある分野を見つけ、そこに特化した専門知識を磨けば、理学療法士として長く活躍できます。
3.力仕事が少ない職場で働く
3つ目は、力仕事が少ない職場で働くことです。力仕事が少ない職場に就ければ、体力の心配も少なくなるでしょう。例として、急性期や回復期の病院では積極的なリハビリを行うため、力仕事が多い傾向にあります。
一方で、維持期に対応した施設では、安全に生活するためのリハビリが中心となるので、力仕事は少ない傾向にあります。今の職場での業務が体力的にきついと感じる場合は、転職も検討してみましょう。
4.臨床以外の仕事に就く
4つ目は、臨床以外の仕事に就くことです。理学療法士の資格を活かせる臨床以外の仕事には、以下があげられます。
● 教育機関の教員
● 研究機関での研究員
● 医療機器メーカーでの開発や営業職
● 健康関連企業でのコンサルタント
● 福祉用具の専門職
臨床以外の仕事に就くことで、体力的な負担を軽減しつつ、理学療法士の経験を社会に還元できます。興味のある分野があれば、新たなキャリアにチャレンジしてみるのもよいでしょう。
おばさんでも理学療法士として働くことは可能
年を重ねた世代の理学療法士は、体力的な面や若いスタッフとのギャップなどの大変な面があります。一方で、患者さんからの信頼を得やすく、これまでの経験を活かしたリハビリを提供しやすいメリットもあります。
理学療法士として長く働き続けるためには、管理職になったり、専門性を高めたりすることも重要です。ぜひ今回の記事を参考にして、理学療法士で働き続けるための工夫を実践してみましょう。

内藤 かいせい
理学療法士として回復期病院と訪問看護サービスに従事し、脳血管疾患や運動器疾患などの幅広い症例を経験する。リハビリで患者をサポートするとともに、全国規模の学会発表にも参加。 新しい業界にチャレンジしたいと決意し、2021年に独立する。現在はWebライターとして活動中。これまでの理学療法士の経験を活かして、医療や健康分野で多くの執筆・監修に携わっている。
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