理学療法士はブランクがあっても働ける?復職しやすい理由とおすすめの職場を解説
公開日:2024.11.20 更新日:2025.09.05

文:内藤 かいせい(理学療法士)
理学療法士として職場復帰する際に、ブランクがあっても働けるのか心配になる方もいるのではないでしょうか。理学療法士は、ブランクがある方でも働きやすい待遇や制度があるため、復職しやすい職種といえます。
この記事では、理学療法士としてブランクがあっても働きやすい理由や、おすすめの職場をご紹介します。具体的な理由を知ることで、安心して職場復帰ができるでしょう。
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目次
理学療法士はブランクがあっても働きやすい4つの理由
結論からいうと、理学療法士はブランクがあっても働きやすい職種といえます。その理由として、おもに以下の4つがあげられます。
1.復職支援が設けられている
2.理学療法士の需要が高い
3.ブランクOKの職場が多い傾向にある
4.職場側にとってもメリットがある
ここでは、それぞれの理由を詳しく解説します。
1.復職支援が設けられている
1つ目は、理学療法士には復職支援が設けられている点です。これは、各地域の理学療法士協会が提供する復職支援制度によるものです。
この制度は、結婚や出産などでキャリアにブランクが生じている方を対象としています。
ブランクのある理学療法士が、少しでも自信を持って職場復帰できるように、さまざまな支援を行っています。
支援内容は地域によっても異なるので、詳しく知りたい方はお住まいの理学療法士協会のホームページを確認してみてください。
2.理学療法士の需要が高い
2つ目は、今後も理学療法士の需要が高くなると予想されるからです。
この背景には、日本の急速な高齢化があげられます。政府の統計によると、65歳以上の高齢者の割合(高齢率)が年々増加しており、2030年には総人口の30%を超えると予測されています。
昭和から平成にかけての高齢率が約10%であったことを考えると、いかに高齢者が増加しているのかがわかるでしょう。
このような高齢化の影響によって、医療・介護分野での理学療法士の需要が高まるとされています。そのため、たとえブランクがあったとしても、復職しやすい職場は多いと考えられます。
3.ブランクOKの職場が多い傾向にある
3つ目は、ブランクOKの職場が多い傾向にある点です。理学療法士の求人サイトを見ると、「ブランクOK」という表記を記載している職場も少なくありません。
この理由としては、以下が考えられます。
・理学療法士の需要が高く、人材不足だから
・経験者として即戦力だから
・柔軟な勤務形態を提供できる職場が増えたから
このように、ブランクがあっても受け入れてくれる職場は多く存在します。職探しの場合は、「ブランクOK」の表記も参考にしてみてください。
4.職場側にとってもメリットがある
4つ目は、職場側にとってもブランク明けの理学療法士を採用するメリットがある点です。その理由として、「トライアル雇用助成金」制度があげられます。
トライアル雇用助成金とは、離職期間が1年以上ある方をトライアル採用した事業主に対して、国から助成金が支給される制度のことです。
この制度では、まず3か月間のトライアル雇用の契約を結び、その期間が過ぎて双方の合意があれば、そのまま正規雇用に移行可能です。
職場にとって助成金を受けられるだけでなく、経験豊富な理学療法士を採用しやすくなります。理学療法士側にとっても、お試し期間があることで復帰しやすいメリットがあります。
ブランク明けの理学療法士の不安点と解決策

ブランクがあっても働きやすい理学療法士ですが、それでも復帰の際に不安に感じる方もいるでしょう。ここでは、ブランク明けで考えられる不安点とその解決策について解説します。
知識・技術面での不安
臨床から離れると、知識や技術面で不安を感じる方は多いでしょう。
しかし、理学療法の根幹となる解剖学や運動学などの基礎知識は、時代が変わっても大きく変化することは少ないと考えられます。
最新の治療法や医療機器の使用方法など、新しい知識を習得する必要はあるものの、それらは復帰してから少しずつ学べばよいのです。
採用する側もその点を理解したうえで採用しているので、決して焦ることはありません。じっくりと時間をかけて、以前の感覚を取り戻すことが大切です。
体力的な不安
理学療法士の仕事には、患者さんの介助や移動補助など、体力を使う場面が多くあります。ブランクが長くなると、体力面での不安を感じる方も少なくありません。
しかし、ブランク明けの理学療法士に対しては、多くの職場で配慮がなされています。たとえば、体力的に負担の少ない患者さんの担当を優先させる、1日のリハビリ回数を調整するなどの対応がとられます。
このような配慮があるため、無理なく仕事に復帰が可能です。
それでも体力に自信がないと思う方は、まずはパートやアルバイトからはじめるという選択肢もあります。体力が戻ってきたら、勤務日数や時間を少しずつ増やしてみましょう。
ライフスタイルでの不安
ブランク明けの復職では、仕事と家庭生活の両立に不安を感じる方も多いでしょう。とくに子育てや介護などの家庭の事情がある場合は、フルタイムでの勤務が難しいと感じるかもしれません。
しかし、前述したように、多くの職場ではパートやアルバイトなどの非常勤での雇用も採用されています。これらの勤務形態であれば、自分のライフスタイルにあわせて稼働時間や日数を調整可能です。
たとえば、子どもの保育園の送迎にあわせて9時〜15時の勤務にしたり、週3日に調整したりできます。復職の際は、仕事と家庭生活の両立ができるような職場を探してみましょう。
ブランクがあるときにおすすめの勉強方法
ブランクがある理学療法士は、臨床現場で必要な知識や技術をどのように学び直すべきなのでしょうか。ここでは、おすすめの勉強方法をご紹介します。
スキマ時間に書籍や文献をチェックする
ブランク期間中に理学療法士としての知識を取り戻すには、スキマ時間に書籍や文献をチェックすることがおすすめです。
通勤時間や家事の合間など、ちょっとしたスキマ時間を活かすことで、忘れていた知識を思い出しやすくなります。
とくに解剖学や運動学などの基礎知識は変化が少ないため、テキストを読み返すだけでも大きな効果があるでしょう。
既存の知識だけでなく、最新の治療法や研究成果を知るきっかけにもなります。毎日少しずつ勉強を継続すれば、ブランク明けの不安解消につながります。
勉強会に参加する
勉強会への参加もおすすめです。勉強会では最新のリハビリ手法や臨床知識について学べるだけでなく、現役の理学療法士との交流も図れます。
とくに少人数制の勉強会では、講師に直接質問できる機会も多く、ブランク期間中に生じた疑問を解消しやすいでしょう。
近年ではオンラインの勉強会も充実しているため、子育てや家事で外出が難しい方でも自宅で気軽に参加できます。
学習時間をある程度確保できる方は、勉強会への参加を検討してみましょう。
実技練習をする
実技練習も、ブランクを埋めるための方法として重要です。臨床に復帰する際は、知識だけでなくリハビリ技術も必要となります。
理学療法士は仕事で身体をよく動かすので、ブランク期間が長いほど技術が鈍りがちです。
おすすめの練習方法としては、同僚や友人に協力してもらい、リハビリの基本的な手技を定期的に行うことです。
たとえば、業務前後の30分間で実技練習をすれば、仕事やプライベートにも大きな支障は出ないでしょう。
実技練習をする際は、互いに患者役とセラピスト役を交代しながら行えば、フィードバックも得られます。
ブランク明けの理学療法士におすすめの職場
ブランク明けでは、どのような環境の職場がよいのでしょうか。ここでは、ブランク明けの理学療法士におすすめの職場について深掘りしてみましょう。
非常勤のある職場
前述したように、ブランク明けの理学療法士にとって、非常勤での復職がおすすめです。非常勤であれば勤務時間や日数を自分のペースにあわせて調整できるため、無理なく仕事を続けられます。
非常勤として働きつつ、最新の医療情報や技術を学ぶ時間も確保できます。
そのため、ブランク期間中に不安に感じていた知識や技術の後れを取り戻せるでしょう。
体力的な不安や家庭の関係で、いきなり正社員として働くことが難しい場合は、非常勤からの復帰を検討しましょう。
子育てがしやすい環境の職場
子どもがいる理学療法士は、子育てしやすい環境の職場を探してみましょう。子育てしやすい職場の特徴としては、以下のとおりです。
・院内保育所や託児所が設置されている
・育児休暇や短時間勤務などの制度が充実している
・子どもの急な体調不良や病気などに対する理解がある
このような特徴のある職場では、仕事と家庭の両立がしやすく、ブランク明けの不安を軽減できます。
また子育てがしやすい職場を探す際は、求人情報だけでなく、実際に働いている方の口コミや評判を参考にするのもおすすめです。
体力的に余裕が生まれやすい職場
体力的に余裕が生まれやすい職場を選ぶことで、スムーズに復職できます。そのような条件に当てはまる職場としては、以下のとおりです。
・デイサービス
・訪問リハビリテーション
ここでは、それぞれの職場の特徴についてみていきましょう。
通所リハビリテーション(デイケア)
デイケアとは、利用者が施設に滞在して個別リハビリと集団リハビリを受けられる通所型サービスです。リハビリ以外にも、食事や入浴などのサービスがあるのも特徴です。なかには、リハビリに特化したデイケアも少なくありません。
デイケアの利用者は比較的自立度が高く、重度な移乗介助や身体介護が必要な場面が少ない傾向にあります。そのため、体力面で不安を感じるブランクのある方でも無理なく働けるでしょう。さらに、医師や看護職員が常駐しているため、利用者の急な体調変化にもすぐ対応できます。
デイサービス
デイサービスはデイケアと同じように、食事や入浴などの生活支援を受けられる通所型サービスです。デイサービスで提供するリハビリは、厳密には「機能訓練」という形式で行われます。デイケアのような専門的なリハビリよりも、日常生活動作の維持や向上を目的とした基本的な運動指導が中心です。
デイサービスを利用する方は重度な身体介助を要す場面も少ない傾向にあり、ブランク明けの理学療法士におすすめといえます。パートや短時間勤務の選択肢も豊富で、家庭との両立を図りながら働けます。
訪問リハビリテーション
訪問リハビリは、利用者の自宅を訪問し、実際の生活環境にあわせたリハビリを提供するサービスです。訪問リハビリは移動が必要なため、医療機関や介護施設と比較して1日のリハビリ回数が少ない傾向にあります。また、生活期に該当する利用者が多く、自立度も高い傾向にあります。
採用形式も幅広く、利用者一人ひとりとじっくり向き合えることもあり、ブランクのある方でも働きやすい環境といえるでしょう。残業が発生しにくい職場も多く、ワークライフバランスをうまくとりながら働けます。
得意分野を活かせる職場
得意分野を活かせる職場も、ブランクがある理学療法士にとっておすすめです。自分の得意分野であれば、不安が少なくスムーズに職場復帰しやすくなります。以前の臨床の感覚も取り戻しやすく、患者さんに対しても適切なリハビリを提供できるでしょう。
たとえば、整形外科疾患の経験が豊富な方であれば整形外科クリニックが適しています。得意分野を活かせる職場を選ぶことで、理学療法士としての復職を成功しやすくなるのです。
スタッフの人数が多い職場
スタッフの人数が多い職場もおすすめです。スタッフの人数が多ければ、体調不良や家庭の都合で急な休みが必要になった場合でもフォローを受けやすくなります。また、先輩セラピストからアドバイスも受けやすく、治療方法や患者対応について相談ができます。
スタッフが少ない職場ではフォローを受けにくく、負担が大きくなる場合もあるでしょう。職場選びの際は、スタッフの人数についてもチェックしてみてください。
複数のサービスを提供している職場
複数のサービスを提供している職場も、ブランクのある理学療法士にとってメリットとなります。複数サービスを提供していれば、状況に応じて部署間の異動ができます。そのため、現在働いている部署が大変だと感じたら、職場を辞めることなく働き方を変えられるのです。
たとえば、施設内のリハビリが難しいと感じたら訪問リハビリに変更する、という柔軟な働き方が可能です。「この職場で働けるのかな……」と不安に思う方は、ぜひ複数のサービスを提供している職場も検討してみてください。
理学療法士はブランクがあっても復職しやすい
理学療法士は需要が高く、復職支援も充実しているため、ブランクがあっても職場復帰しやすいといえます。復職にあたって、体力面や技術面などの不安を持つ方もいるでしょう。
しかし、職場側もその点を考慮してくれたり、自分にあった雇用形態で働いたりすることで、ある程度の不安を解消可能です。ぜひ今回の記事を参考にして、理学療法士としてスムーズな復帰を目指してみてください。
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参考

内藤 かいせい
理学療法士として回復期病院と訪問看護サービスに従事し、脳血管疾患や運動器疾患などの幅広い症例を経験する。リハビリで患者をサポートするとともに、全国規模の学会発表にも参加。 新しい業界にチャレンジしたいと決意し、2021年に独立する。現在はWebライターとして活動中。これまでの理学療法士の経験を活かして、医療や健康分野で多くの執筆・監修に携わっている。

監修:寺澤 慶大(てらさわ よしひろ)
2007年に長野医療技術専門学校(現在の長野医療大学)を卒業。
長野県松本市にある一之瀬脳神経外科で10年、長野県松本市にある武内整形外科クリニックで5年勤務。
また、介護分野領域でも4年程度の経験あり。
その他、自費診療での施術やスポーツトレーナー等もおこなう。
現在は前述した武内整形外科クリニックでリハビリ科科長として勤務している。
理学療法士という仕事は「体力仕事」というイメージも強く、ブランクがあると職場復帰が難しいと考える人も多いというのが実情です。しかし、理学療法士の職域は広く、自分に合った職場環境を根気よく探せば、理想の職場に出会うことは決して難しいことではありません。まずは実際に職場に見学にいってみましょう。きっとあなたにピッタリの職場を見つけることができるはずです。
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