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478呼吸法とは?心と身体をリラックスさせる4つの手順と注意点

公開日:2018.04.20 更新日:2021.09.03

478呼吸法とは?ガチガチに固まった筋肉をやわらげよう!

文:中山 奈保子
作業療法士(教育学修士)

「478呼吸法」とは、心と身体をリラックスさせるとてもシンプルな呼吸法です。正しい腹式呼吸を意識して横隔膜を上手に使うことにより、リラックス効果以外にも全身の血流改善や、姿勢改善、体幹の強化などの効果が期待できます。

今回は478呼吸法のやり方や注意点を中心に、腹式呼吸や筋肉との関係についても解説していきます。

478呼吸法とは?眠れない夜や緊張状態でもリラックスできる働き

「478呼吸法」は、アメリカの医師アンドルー・ワイル博士が提唱 している呼吸法(意図的に一定のリズムや間隔で行う呼吸)のひとつです。呼吸法には日本で古くから伝わる「丹田呼吸法」や、ヨガで用いられる「カパラバディ呼吸法」など、他にもさまざまな種類があります。

ワイル博士は、呼吸法にはストレスや不安の軽減、気分転換、活力の回復など、さまざまな作用があると説いています。なかでも478呼吸法は「くつろぐ呼吸法」として知られており、深い呼吸によって心身の興奮や緊張を和らげ、リラックスした状態に導いてくれるもの。

疲れているのになかなか寝つけないときなど、交感神経を鎮める目的で行うのに適しているほか、情動や衝動のコントロールに効力を発揮したという報告もあります。そのため、ストレスが多いといわれる対人援助職に従事している方にも、おすすめの呼吸法です。

疲れているときや、ストレスや不安を感じているときは、無意識のうちに呼吸が浅くなる傾向があります。浅い呼吸の継続は、酸素不足による慢性疲労や集中力の低下、睡眠の質などにも影響します。ほんのわずかな時間、自分の呼吸に意識を向けるだけでも、深い呼吸ができていないことに気づくかもしれません。

まずは「自分の呼吸に意識を向ける」ことを習慣にし、呼吸法を上手に取り入れてみましょう。

478呼吸法のやり方は簡単!たったの4ステップ

478呼吸法とは?ガチガチに固まった筋肉をやわらげよう!

478呼吸法は、1回1分程度で行えるシンプルで手軽な呼吸法です。

<4-7-8呼吸法のやり方>
① 準備をする
② 鼻から息を吸う(4拍カウント)
③ 息を止める(7拍カウント)
④ 口から細く息を吐き切る(8拍カウント)

それぞれの項目を詳しく見ていきましょう。

(1) 準備をする

楽な姿勢をとり(座位か仰向け)、舌先を上の歯の裏に触れながら奥歯の噛み締めを緩め、できるだけリラックスした状態を整えます。その後、口から「ふぅー」と息を吐ききります。

(2) 鼻から息を吸う(4拍カウント)

息を吐き切ったら口を閉じ、心の中で1から4まで数えながら鼻から息を静かに吸い込みます。

(3) 息を止める(7拍カウント)

息を止めて肺にためた空気を保持しながら、1から7まで数えます。このとき、全身に酸素を行きわたらせることをイメージしてみましょう。

(4) 口から細く息を吐き切る(8拍カウント)

続いて、ゆっくりと「ふぅーーーーー」と音を立てながら、細く長く息を吐きます。1から8まで数える間に、息を吐ききりましょう。

478呼吸法を正しく実行するポイント

(2)~(4)までを1サイクルとして、4サイクル繰り返して1回終了です。休憩中や入眠前、イライラした気分を落ち着かせたいときなど、リラックスが必要なタイミングで1日に2回ほど実施しましょう。

478呼吸法を正しく実行するポイントは、息を吸い込むときは鼻から静かに、息を吐くときは口から「ふぅー」と音を立てて行うこと。厳密に「秒」でカウントする必要はないので、息が続かない方は数えるスピードを速めて、苦しさを感じない程度に行います。

ただし、カウントを早くしても、「吸う」「止める」「吐く」のリズムは「4・7・8」の比率を保つことが肝心です。

478呼吸法を行うときの注意点

478呼吸法はたくさん行えば良いわけではありません。

始めてから最初の1カ月は1日4回以内、その後も多くて1日8回くらいが適切とされています。慣れないうちは、1日に何度もやりすぎないほうがいいでしょう。

また、横隔膜の使い方が不十分で、主に胸(肋骨)で呼吸をする「胸式呼吸」のまま478呼吸法を続けてしまうと、1回の呼吸による換気量が下がり、「過呼吸」のような状態に陥ってしまう可能性があります。

万が一、動悸、めまい、手足のしびれなど、過呼吸の兆候が少しでも見られたらすぐに中止し、呼吸を浅くしましょう。

もし患者さんに478呼吸法を試してもらう場合は、横隔膜が十分に働いているかどうか確認する必要があるでしょう。呼吸に伴ってみぞおちと肋骨の下段が広がってくるかどうか手をあてて確認したり、呼吸中に両肩がすくんで力が入っていないかチェックしたりすることをおすすめします。

478呼吸法のリラックス効果とは?正しい腹式呼吸がポイント

478呼吸法とは?ガチガチに固まった筋肉をやわらげよう!
478呼吸法では意識的にゆっくりと深い呼吸を行うので、リラックス以外にもさまざまな効果が期待できます。

効果の要となるのが、「横隔膜の運動」です。そして横隔膜をじゅうぶんに運動させる呼吸が「腹式呼吸」です。

横隔膜は、私たちが呼吸(呼気:息を吐く・吸気:息を吸う)を繰り返す際、絶えず働く筋肉のなかでも特に活躍する筋肉です。筋肉といっても、胸部と腹部の間を隔てるように覆う「ドーム状の厚い膜」で、呼吸に伴い大きく伸び縮みします。息を吸うと肺のふくらみと肋骨の広がりに伴い膜がお腹の方へ(強く押し下げるように広がる:遠心性収縮)下降し、息を吐くと元の位置へと(緩んで再び元の位置へ収まる:求心性収縮)上昇します。

腹式呼吸によって横隔膜をゆっくり丁寧に動かすと、横隔膜に集まる自律神経機能を司る神経が適度に刺激され、心拍の安定や体温の調整など生命保持に欠かせない機能を保つよう働きかけます。

また、横隔膜の運動は、腹部に収まる臓器をマッサージのように程よく圧迫し、血流が促されることにより臓器の働きが活性化されます。

血液循環が良くなれば、肺における二酸化炭素と酸素のガス交換もより効率よく行われるため、肺機能の向上につながります。胃腸運動(蠕動運動)が高まり、たとえば便秘の解消にも効果が期待できます。

ゆっくりした腹式呼吸により、脳の前頭前野の血流が増加したという研究報告もあります。不安やストレスを軽減させるセロトニン神経の働きが促され、記憶・注意・意欲など、認知機能に影響する可能性も指摘されています。

このように「腹式呼吸による意識的な横隔膜の運動」は、心身にさまざまな影響をもたらします。普段から呼吸をするときは横隔膜の動きをイメージするなどして、働きを高めることに意識を向けてみると良いかもしれません。

正しい呼吸を意識することで、姿勢改善・腰痛予防に

478呼吸法とは?ガチガチに固まった筋肉をやわらげよう!
478呼吸法のような深い呼吸で横隔膜を正しく働かせることにより、より機能的かつ安定した姿勢を保持する力を高めることも期待できます(脊柱、体幹筋の強化 )。猫背や巻肩になりがちの方は、横隔膜を鍛えることで正しい姿勢を保持しやすくなるでしょう。

これは、横隔膜が脊柱や骨盤を支え姿勢:体幹を保持する筋肉(腹横筋、大腰筋、腰方形筋)と隣接しているためです。

正しい姿勢の保持は、歩く・立つなどの基本動作はもちろんのこと、食べる、話す、道具をつかうなど、日常のあらゆる動作、活動を安全に効率よく行うために欠かせない要素です。

腰痛がある方の多くに横隔膜の弱さや易疲労性、浅い胸式呼吸がみられ、吸気に伴う横隔膜の下降幅が狭いといった問題があるといわれています。

478呼吸法を正しく身につければ、仕事の合間や寝る前のリラックスタイムなどに簡単に行えます。心から健康と思える身体づくりのために、478呼吸法を取り入れてみてはいかがでしょうか。

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参考文献

バイオフィードバック研究・2020 年・47 巻・第 2 号
【心理学系】呼吸法とリラクセーション―心拍変動バイオフィードバックによる呼吸法の評価―
(福井大学 梅沢章男)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjbf/47/2/47_43/_article/-char/ja

東海学園大学研究紀要
呼吸法はなぜ健康によいのか?
心拍変動バイオフィードバック法からみた自律神経メカニズムと心理学的効果
(榊原雅人)
http://repository.tokaigakuen-u.ac.jp/dspace/handle/11334/303

日本アスレティックトレーニング学会誌 第5巻第1号 27-34(2019)
呼吸機能と体幹,横隔膜の関係性について
(大貫 崇)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsatj/5/1/5_27/_pdf/-char/ja

中山 奈保子

中山 奈保子

作業療法士(教育学修士)。1998年作業療法士免許取得後、宮城・福島県内の医療施設(主に身体障害・老年期障害)に勤務。
現職は作業療法士養成校専任教員。2011年東日本大震災で被災したことを期に、災害を乗り越える親子の暮らしを記録・発信する団体「三陸こざかなネット」を発足し、被災後の日常や幼くして被災した子どもによる「災害の伝承」をテーマに執筆・講演活動を行っている。

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