理学療法士は整骨院で働ける?柔道整復師との共通点や違いについて解説
公開日:2025.01.07 更新日:2025.03.28

文:rana(理学療法士)
理学療法士が働く医療施設は、病院やクリニック、介護施設など多岐にわたります。
施術を提供する施設として、整骨院や接骨院などもありますが、どのような違いがあるのでしょうか。
また、柔道整復師が勤務することが多い整骨院で、理学療法士も働くことができるのでしょうか。
この記事では理学療法士が働ける場所や柔道整復師との共通点、違いについて現役理学療法士が解説します。
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理学療法士は整骨院で働ける?
結論からいうと理学療法士は、整骨院で働くことが可能です。しかし、理学療法を実施するためには医師の指示が必要です。
整骨院には医師がいないため、患者さんに理学療法を提供することはできません。そのため、理学療法士として働くのではなく、受付や助手といった無資格でもできる業務を担当することになります。
理学療法士はあくまで医師からの指示がないと理学療法を用いたリハビリを提供できないので、残念ながら整骨院は理学療法士の資格を活かせない職場といえます。
保険医療機関と整骨院の違い

病院やクリニックなどの保険医療機関と整骨院では、治療対象や目的が異なります。そのため、整骨院では病院のように保険が使えない場合もあります。
両者にはどのような違いがあるのでしょうか。保険医療機関と整骨院の違いについてまとめました。
保険医療機関とは
保険医療機関とは、厚生労働大臣から指定された健康保険で診察を受けられる病院やクリニックを指します。
保険医療機関に従事するのは厚生労働大臣の登録を受けた医師でなければならず、そこに所属する理学療法士などのセラピストは、医師の指示を受けてリハビリを提供しています。
患者さんは保険証を提示することで、1~3割負担で診療や治療、リハビリを受けられます。
地域にある〇〇病院、〇〇整形外科といった医療施設は、基本的に保険医療機関であり、多くの理学療法士が活躍しています。
なお、保険医療機関で働いている柔道整復師の治療は、原則として健康保険の適応となりません。
ただし、一般社団法人日本運動器科学会で行われている研修会を受講し、運動器リハビリテーションセラピストとして認定されれば健康保険の適応となります。
また、柔道整復師の施術は、一定の条件下で『受領委任払い』制度を利用することで、患者が一部負担金のみで施術を受けられるようになります。
この場合、柔道整復師は地方局長や都道府県知事と協定を結び、患者が必要書類にサインする手続きが必要です。
整骨院とは
整骨院は柔道整復師が働く施術所で、基本的に保険医療機関ではありません。
そのため、健康保険が適応されるのは一部のものに限られており、病院やクリニックのように保険が使えない場合もあるのです。
整骨院で健康保険が使えるのは急性または亜急性期に生じた以下の症状になります。
・打撲
・捻挫(肉離れも含む)
日常生活で生じた腰痛や肩凝り、病気による痛みや痺れ、過去の怪我による痛みなどは健康保険の適応となりません。
また、整骨院で行われる行為は「施術」と呼ばれ、保険医療機関の「治療」とは区別されており、医師の診断がなくても実施可能となっています。
理学療法士と柔道整復師の共通点

体の不調に介入する職種として理学療法士と柔道整復師は共通点も多くあります。理学療法士と柔道整復師の共通点についてまとめました。
国家資格である
理学療法士、柔道整復師ともに国家資格であり、国の法律に基づいて特定の職業に従事できる専門家として証明される資格です。
- 国家資格とは、国の法律に基づいて、各種分野における個人の能力、知識が判定され、特定の職業に従事すると証明される資格。法律によって一定の社会的地位が保証されるので、社会からの信頼性は高い。
一定の社会的地位が保証されているため、民間資格よりも信頼度が高いのが特徴です。
徒手を用いて施術をする
理学療法士、柔道整復師ともに徒手療法を用いて対象者に介入します。
方法はマッサージ、モビライゼーション、筋膜リリース、ストレッチなど多岐にわたり、職種によってどのような方法を選択するかについては、線引きされていません。術者の得意な手技を用いて疼痛軽減や機能回復を図ります。
資格取得には養成校に通う必要がある
どちらの資格も取得のために、指定された養成校に3〜4年間通わなければなりません。決められたカリキュラムを修了することで国家資格の受験資格が得られ、合格すれば資格が取得できます。
理学療法士と柔道整復師の違い
共通点も多い理学療法士と柔道整復師ですが、それぞれ専門分野が異なります。理学療法士と柔道整復師の違いについてまとめました。
開業権の有無
柔道整復師には開業権があり、国家資格を活かして自分の治療院を立ち上げることができます。一方、理学療法士には開業権がなく、資格を用いた独立開業はできません。
近年、独立開業する理学療法士も増えていますが、保険適応が認められていないため、独立開業による理学療法の提供は禁止とされます。
ただし、理学療法の提供以外であれば、理学療法士も開業が可能です。理学療法を提供しない自費診療のボディサロンや整体院、セミナー団体などが主になります。
施術内容
理学療法士は主に運動療法、物理療法、徒手療法を用いて患者さんの機能回復、動作能力向上を目的にリハビリに携わります。
一方、柔道整復師は整復法、固定法、後療法を用いて、急性または亜急性の骨折、捻挫、打撲などの治癒を目的として施術をします。
理学療法士は患部だけではなく、動作や日常生活など全体を捉えるのに対して、柔道整復師は患部に特化しているというのが両者の違いといえるでしょう。
医師の指示が必要どうか
理学療法士が、理学療法を用いたリハビリを実施するには、医師の指示が必須です。
一方、柔道整復師は骨折や脱臼など、許容範囲内であれば医師の指示がなくても自身の判断で施術が可能です。
業務を遂行するにあたって医師の指示が必要かどうかは理学療法士と柔道整復師の大きな違いといえるでしょう。
理学療法士と柔道整復師の特徴を理解したうえで働き方を考えよう
理学療法士と柔道整復師、どちらも医療系の職種で共通点も多いものの、活躍する場所や施術内容など、さまざまな違いもあります。整骨院で働きたい、整骨院を開業したいと考えるなら、柔道整復師の資格があった方が有利でしょう。
すでに理学療法士の資格があり、整骨院でのリハビリや治療に携わりたいと考えているのであれば、ダブルライセンスの取得もしくは、理学療法以外での働き方を考える必要があります。それぞれの特性や業務範囲を理解したうえで、どのような仕事をしたいのか考えてみてはいかがでしょうか。
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rana(理学療法士)
総合病院やクリニックを中心に患者さんのリハビリに携わる。現在は整形外科に加え、訪問看護ステーションでも勤務。 腰痛や肩痛、歩行障害などを有する患者さんのリハビリに日々奮闘中。 業務をこなす傍らライターとしても活動し、健康、医療分野を中心に執筆実績多数。
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