セラピストとカウンセラーの違いとは?目指す方法や必要な資格も解説
公開日:2025.01.10
文:かな(作業療法士)
セラピストとカウンセラーの仕事は混同されがちで、違いがわからない人もいらっしゃるかもしれません。
それぞれに厳密な定義はありませんが、セラピストは医療現場でリハビリに関わる仕事やリラクゼーションに関連する仕事が中心で、カウンセラーは、心理面の相談や助言を行う仕事が多い傾向にあります。
今回は、2つの違いや、それぞれの仕事を目指す方法などについて紹介します。
セラピストとカウンセラーの意味や違い
セラピストやカウンセラーは混同されがちで、定義も曖昧ですが、一般的には異なる職業を示す場合が多いようです。
具体的には、セラピストは医療・健康面から心身を癒す職業を、カウンセラーは相談にのる、助言をする職業を指す傾向がみられます。
以下でそれぞれの具体的な職業の例を紹介します。
セラピストとは
セラピストは心身の癒し・治療を提供する職業を指す場合が多い傾向にあります。ジャンルも幅広く、医療系であれば、理学療法士・作業療法士・柔道整復師・あん摩マッサージ師・はり師・きゅう師が該当し、医療機関が主な職場となります。
また、医療機関で働く場合には医療系国家資格が必要です。
美容やリラクゼーション系ではリラクゼーションセラピスト、アロマセラピストなどが該当するでしょう。こちらは民間資格があるものの、資格がなくても働ける場合もあります。
カウンセラーとは
さまざまなジャンルでカウンセラーと呼ばれる職業はあるものの、一般的には心理療法・精神療法といった心理カウンセリングを行う職業を指す場合が多い傾向にあります。
具体的には、公認心理士や臨床心理士、産業カウンセラー、スクールカウンセラーなどが該当するでしょう。必要な資格は国家資格や民間資格などさまざまであり、働く場所も多様です。
セラピストになる方法
前述したセラピストのうち、医療系のセラピストを目指す場合には国家資格を取得する必要があります。そのため、養成校に入学して卒業し、国家試験に合格しなければなりません。
一例として理学療法士・作業療法士になるまでのプロセスを紹介しましょう。
<理学療法士・作業療法士になるには>
高校卒業後、養成校(4年生大学・短大・専門学校)に入学し、解剖学・生理学をはじめ、内科・整形外科・脳神経外科などの疾患について学びます。
所定の単位を修了し、実習に合格して卒業となったら、国家試験の受験資格を得られ、合格すれば国家資格を取得できます。
アロマセラピストやエステティシャンなどのセラピストを目指す場合は、専門の資格を取得、もしくは専門学校などで学ぶほか、実際の職場で経験を積みながら資格取得を目指せるなど、なる方法はさまざまです。
カウンセラーになる方法
カウンセラーといっても、その種類は幅広く、なり方や資格もさまざまです。
国家資格である公認心理士、公的資格である臨床心理士や産業カウンセラーなどは耳にする機会も多いでしょう。よく聞かれるカウンセラーとして、代表的な種類と仕事の概要、資格取得の方法をまとめました。
資格の種類 | 仕事の概要 | 資格取得の方法 | |
---|---|---|---|
公認心理士 | 国家資格 | 対象者の心理状態の観察や分析、相談・助言・援助など | 4年生大学や大学院で必要な単位を取得し、国家試験に合格する(ただし、受験資格の取得は複数あるため、公式HPを要確認) |
臨床心理士 | 公的資格 | 心理査定・心理面接・地域援助 | 日本臨床心理士資格認定協会指定の大学院を終了して、資格試験に合格する(ただし、複数の受験資格があるため、公式HPを要確認) |
産業カウンセラー | 公的資格 | 働く人のメンタルヘルス対策・職場環境改善・キャリア形成など | 日本産業カウンセラー協会が指定する講座を終了して、資格試験に合格する(学歴は必須ではない) |
スクールカウンセラー | 固有の資格はなし | 児童や生徒の相談・助言・査定・研修など | 固有の資格なし。公認心理士・臨床心理士・精神科医、もしくはこれらと同等以上の知識と経験を有するもの |
セラピストとカウンセラーのどちらになりたいか迷ったら
セラピストもカウンセラーも数多くの職業があり、複数の職業に興味があると、どれを目指そうか迷う人も多いでしょう。
セラピストやカウンセラーの適性は重複する部分が多くあります。そのため、迷ったときは、それぞれの職業について詳しくリサーチする、職業体験に行くのがおすすめです。迷ったときにチェックしておきたいポイントを紹介します。
各職業について詳しく調べる
医療系セラピストの場合、理学療法士や作業療法士、柔道整復師、言語聴覚士などがあります。例えば、作業療法士は、身体的なリハビリを対象とする場合が多いものの、精神科のリハビリに携わることも可能です。
カウンセラーではないものの、精神疾患をもつ方を対象とした仕事をしたいなら、選択肢の1つとしてもよいかもしれません。筆者の周りの作業療法士でも、精神科で勤務したいから作業療法士を目指した、という人もいました。
職業体験や見学を活用する
学生であれば、学校で職業体験が提案されることがあります。カウンセラーの場合は、職業体験は難しいと推測されますが、医療系セラピストの職場体験は比較的機会が多く見られます。気になる人は積極的に参加するとよいでしょう。
美容系のセラピストを目指す場合にも、職場体験の選択肢にあれば、関連する施設の見学や体験をしてみるのがおすすめです。
セラピストとカウンセラーの違いを知り、自分の目指す職業を探そう
セラピストとカウンセラーは印象が似ているため、混同されがちです。セラピストは医療や美容の分野で人を癒す場合が多いのに対し、カウンセラーは心理面からアプローチする場合が多いのが違いといえます。
それぞれの職業になる方法は異なるため、興味がある人は気になる職業について詳しく調べることが大切です。可能なら職業体験に行くのもおすすめです。仕事内容や業界の雰囲気を知る機会を増やしながら、自分に合った仕事を見つけてみましょう。
参考
厚生労働省|公認心理士の資格取得方法について
日本臨床心理士資格認定協会|臨床心理士資格認定事業
日本産業カウンセラー協会|産業カウンセラー試験について
厚生労働省|スクールカウンセラー活用自業実施要領
かな(作業療法士)
作業療法士/呼吸療法認定士・福祉住環境コーディネーター2級・がんのリハビリテーション研修修了
身体障害領域で15年以上勤務。特に維持期の患者さんの作業療法、退院支援に携わってきました。家では3人の子ども達に振り回されながら慌ただしい日々を送っています。趣味は読書とお菓子作り。
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