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管理栄養士にしかできないことは?必要なスキルや役割、今後活躍するためのポイント

公開日:2025.01.16

管理栄養士にしかできないことは?必要なスキルや役割、今後活躍するためのポイント

文/下田由美(管理栄養士)

管理栄養士の仕事は、食事提供だけにとどまりません。栄養士と同じ仕事をすることもありますが、管理栄養士にしかできないこともあります。

栄養士から管理栄養士へステップアップすることで、専門的な知識を活かして、さまざまな分野で活躍することができるのです。

とはいえ、管理栄養士の役割や求められるスキルが気になる方もいるでしょう。

今回は、管理栄養士の役割や必要なスキル、長く活躍するためのポイントについて解説します。

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管理栄養士にしかできないこと

管理栄養士は、食と栄養の専門家として、子どもから大人まで幅広い方々の健康をサポートします。栄養士ができる仕事に加えて、より専門的な栄養指導や栄養管理、栄養ケアマネジメントなどの業務などが可能です。

管理栄養士になると、病院の栄養指導や介護施設の栄養ケアマネジメントを行うことで、診療報酬や介護報酬が算定できるようになります。栄養士が栄養指導をしても、国から報酬を得ることはできません。

また、健康増進法において、特定給食施設では管理栄養士の設置義務が設けられていることもあります。病院や施設などで特別な栄養管理が必要な場合、管理栄養士の配置が必須です。

管理栄養士と栄養士には明確な違いがある

管理栄養士にしかできないことは?必要なスキルや役割、今後活躍するためのポイント

管理栄養士と栄養士は、栄養士法で定められた国家資格ですが、下記のような違いがあります。

管理栄養士

厚生労働大臣の免許を受けた国家資格。健康な方のほかに、病気を患っていたり特別な配慮が必要な方を対象とした業務が可能。

栄養士

都道府県の免許を受けた国家資格。健康な方のみが対象となる。

上述の通り、管理栄養士と栄養士は、免許の交付先や栄養指導を行う対象者が異なります。

管理栄養士の仕事内容

管理栄養士は、病気の方の栄養指導から、健康な方の食生活改善まで、一人ひとりの状態に合わせた栄養ケアを行います。ここでは、管理栄養士の主な仕事内容について紹介します。

食育:子どもの健やかな成長を支える

管理栄養士は、子どもたちや親への食育活動を行います。食育とは、食事の大切さや食に関する正しい知識を学び、自ら健康的な食生活を選択できる力を養うことです。

食材や料理に興味をもってもらえるように、収穫体験や調理実習などのイベントを計画することもあります。実施場所は学校だけでなく、幼稚園や保育園などさまざまです。

栄養指導:食事に関する専門的なアドバイスを提供する

栄養士の資格があれば栄養指導を行うことはできますが、管理栄養士になるとより専門的なスキルを活かした栄養指導に携わることが可能です。

対象者から食事内容をヒアリングし、食事量や食べ方などの問題点を見つけて、正しい知識を提供します。糖尿病や腎臓病など、特別な配慮が必要な方には、病院やクリニックで食事療法の始め方(献立の作り方や調理時の注意点)などについてアドバイスします。

また、管理栄養士を取得すると、公認スポーツ栄養士の資格取得を目指せるため、アスリートの栄養指導を行うケースもあります。

給食管理:対象者の状態に合わせた食事・栄養管理を行う

管理栄養士は現場の責任者として、栄養バランスを考えた献立作成や食材などの発注業務、調理スタッフへの指導を行うことがあります。

また、食事制限に対応した食事以外にも、離乳食やアレルギー対応食、嚥下食などを提供することで、安心して食事ができるようサポートします。なお、病院や施設の規模によっては管理栄養士を必ず置かなければなりません。

特定保健指導:生活習慣病の予防や改善を目指す

病院やクリニック、健診センターなどで行われる特定保健指導も、管理栄養士の仕事です。特定健診で生活習慣病のリスクが高いと判断された方に向けて、医師や保健師、管理栄養士が食事や運動などのアドバイスを行います。

栄養バランスの改善や、具体的な食生活の改善方法などを提案し、健康的な生活を送れるように支援するのが目的です。

管理栄養士の役割

管理栄養士は、「どんな食事がいいのか」「何をどれくらい食べたらいいのか」など、一人ひとりの悩みに合わせて的確にアドバイスをします。

例えば、現代ではライフスタイルの変化にともない、外食やコンビニ食など、選択肢の幅が広がりました。その結果、糖尿病や肥満などの生活習慣病も増加傾向にあります。管理栄養士は特定保健指導に携われるため、生活習慣病の予防や改善に貢献できるのが特徴です。

また、管理栄養士は、栄養士の資格に加えて、国家試験に合格した食と栄養の専門家です。栄養士は給食管理が中心業務ですが、管理栄養士はより専門的な知識と技術を活かして、疾病のある方や高齢者など、特別な配慮が必要な方のサポートをする役割もあります。

管理栄養士に求められるスキルや専門性

管理栄養士にしかできないことは?必要なスキルや役割、今後活躍するためのポイント

管理栄養士にしかできないことがある分、求められるスキルや専門性はより高まります。ここでは、管理栄養士が把握しておくべきスキルや専門性について解説します。

栄養に関する専門的な知識

管理栄養士として、最新情報や新たな知識は常に学び続ける必要があります。栄養に関する情報は日々変化していくため、昔の常識が通用しないことも少なくありません。

身体状況や栄養状態に応じて栄養ケアを行うためには、栄養についての深い知識が必要です。専門家として正しい知識を伝えるためにも、セミナーや研修へ参加したり、書籍で学んだりするなど、積極的に情報収集しながら、知識をアップデートしていきましょう。

コミュニケーション能力

栄養指導する場合、対象者の食事内容や食習慣などについて、ヒアリングする力も重要です。相手の悩みを理解し、適切な提案をする必要があります。

ただし、管理栄養士の話す内容が専門的すぎると、知識の押しつけになってしまい、行動変容にはつながりません。対象者に正しく理解してもらうためには、専門用語を噛み砕いてわかりやすく伝えることが大切です。

また、病院や施設などでは、医師や看護師などのスタッフや家族と連携しながら栄養ケアを行うことがあります。対象者の年齢層も幅広いため、コミュニケーション能力も必要です。

職場に応じた専門性

管理栄養士の仕事は、病院、学校、食品メーカーなど、働く場所によって求められるスキルや知識が異なります。病院では患者さんへの栄養指導が中心ですが、学校では子どもたちの食育やアレルギー対応などが多くなります。食品メーカーでは、新商品の開発や品質管理など、専門的な知識が不可欠です。

このように、管理栄養士は働く場所に応じて、専門性の高い知識とスキルを習得することが重要です。

長く活躍できる管理栄養士になるために心がけること

管理栄養士の仕事は、人々の健康に貢献できるやりがいのある仕事です。ここでは、管理栄養士として長く活躍するために心がけたいポイントを紹介します。

食への探究心や向上心をもつ

管理栄養士は、食べることが好きで栄養素について知識を深めたいと思う方が多い傾向があります。食への探究心や向上心をもつことで、栄養指導などの管理栄養士業務との相乗効果が期待できます。

また、現代は人生100年時代といわれており、末永く健康でいることが充実した日々を送る上で重要です。健康でいるためには正しい食生活を継続することが欠かせません。管理栄養士として人々の健康をサポートできるよう、日々スキルアップしながら、自己研鑽に励むことが大切です。

また、食に関するガイドラインなどは都度更新されるため、最新の情報を常に把握するよう心がけましょう。

自分の言動に責任をもつ

管理栄養士が少ない現場では、責任者として業務を任されることがあります。配膳ミスやトラブルなどが起きた際は、謝罪しなければならないことも少なくありません。

提供する食事が利用者さんの健康に直接関わるという点で、高い責任感とプロ意識が求められるからです。自分の言動に責任をもち、誤解を与えないよう注意しましょう。

また、現場をまとめる立場として、年上のスタッフに指導することもあります。チームで栄養サポートを行うときは、他職種のスタッフや家族とのコミュニケーションも必要です。

管理栄養士の言葉には影響力があるため、相手の気持ちに寄り添いながら適切な声かけができるよう心がけましょう。

問題解決能力を高める

管理栄養士は、食事に関するさまざまな問題に直面します。利用者さんの栄養状態の改善や食に関する悩みへの対応など、日々新たな課題が生まれます。

これらの問題を解決するためには、客観的に物事を把握する力や、論理的思考、柔軟な対応力が必要です。

問題解決能力を高めることで、利用者さんのニーズを的確に捉えられるようになり、より質の高い栄養指導が提供できるでしょう。その結果、長く活躍できる管理栄養士へと成長することができます。

食と栄養のスペシャリスト!管理栄養士はさまざまな分野で活躍できる

管理栄養士にしかできないことは、専門性の高い栄養指導や栄養管理、栄養ケアマネジメントなどがあげられます。また、2008年から始まった特定保健指導に携わるには、管理栄養士の資格が必要です。

栄養士は給食管理が多くなりがちですが、管理栄養士の資格を取得することで、高度な栄養指導が可能となり、活躍できる場も増えます。

とはいえ、栄養に関する情報は、時代とともに変化します。そのため、栄養の最新情報を学び、知識をアップデートすることが欠かせません。また、業務を円滑に進めるために、良好なコミュニケーションが図れるよう心がけましょう。

下田由美(管理栄養士)

下田由美(管理栄養士)

管理栄養士として約10年間、病院、施設、保育園で幅広い年代の「食と健康」に携わってきた。そのなかで「食」と「心」は密接に関係していると気づく。現在は、「食はココロとカラダを元気にする」をモットーに管理栄養士ライターとして活動中。健康や栄養に関する記事執筆や監修、レシピづくりなどを行っている。空手道初段、県大会ベスト3の実績あり。

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