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チーム医療における理学療法士の役割とは?多職種連携のポイントも解説

公開日:2025.01.17

チーム医療における理学療法士の役割とは?多職種連携のポイントも解説

文:内藤 かいせい(理学療法士)

チーム医療において、理学療法士にはどのような役割があるのか詳しく知りたい方はいませんか?患者さんに対してよりよいケアを提供するためには、多職種で連携しながらサポートするチーム医療の体制が欠かせません。

理学療法士もそのなかの1人として、ほかの医療職と協力してリハビリを実施することが重要です。

この記事では、チーム医療の重要性や理学療法士の役割についてご紹介します。理学療法士の位置付けを把握しておくことで、より効率的なケアを提供できるでしょう。

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チーム医療とは?

チーム医療とは、複数の医療職が連携して患者さんの治療やケアを行う体制のことです。多職種がそれぞれの知識や技術を活かすことで、患者さんに対して効率的なケアを提供できます。

この体制が導入された背景には、医療の高度化や複雑化があります。従来の医療は、医師を中心とした体制で構築されていましたが、その形式だとほかの医療職の主体性が損なわれる原因となっていました。

チーム医療の体制を導入することで縦の関係性が生まれず、すべての医療職がフラットな立ち位置となりました。

多職種のそれぞれの強みを十分に活かせる環境によって、より質の高い医療サービスの提供が可能になるのです。

なぜチーム医療が重要なのか?

チーム医療における理学療法士の役割とは?多職種連携のポイントも解説

チーム医療が重要である理由として、患者さんに対してより質の高い医療を提供できる点があげられます。

多職種が協力することで、患者さんの状態を多面的に評価し、適切な治療計画の立案が可能です。チーム医療によって多職種が連携すれば、それぞれの専門性を活かしたアプローチで、患者さんに対して効果的に支援できます。

また、多職種間で情報共有が行われるため、医療ミスの防止にもつながるでしょう。定期的に患者さんの状態や治療経過について情報を共有できれば、より安全な医療を提供できるのです。

チーム医療における理学療法士の役割

理学療法士は、身体機能の回復や動作の獲得などを専門とする職種です。

具体的には、座る・立つなどの基本動作を獲得するために、運動療法や物理療法などのリハビリを提供しています。チーム医療における理学療法士のおもな役割は、以下のとおりです。

● 身体機能の評価
● 適切なリハビリ計画の立案
● 生活環境にあわせた動作指導
● 福祉用具の選定

このように、患者さんのリハビリだけでなく、生活環境にあわせたアプローチを行うことも重要です。

ほかの医療職のチーム医療での役割

チーム医療における理学療法士の役割とは?多職種連携のポイントも解説

理学療法士以外の医療職には、どのような役割があるのでしょうか。ここでは、チーム医療に関わるおもな医療職の役割についてご紹介します。

作業療法士

作業療法士は、患者さんの動作の回復と社会復帰を支援するリハビリ職です。おもに応用的な動作や、社会参加に必要な動作の回復に焦点を当てています。

日常生活での応用的な動作の具体例としては、以下のとおりです。

● 料理
● 掃除
● 趣味活動
● 仕事に必要な動作

作業療法士は同じリハビリ職である理学療法士や言語聴覚士と連携しながら、効果的なリハビリを提供します。

言語聴覚士

言語聴覚士は、以下のような機能が低下している患者さんにリハビリを提供する職種です。

● 言語
● コミュニケーション
● 摂食・嚥下機能

理学療法士と作業療法士が身体的なアプローチをする職種だとしたら、言語聴覚士は脳や口腔内などの内部的な支援をする職種といえるでしょう。

患者さんの症状を詳しく検査・評価したうえで、低下した機能に応じたリハビリ計画を立案します。

また、患者さんの円滑なコミュニケーションをサポートすることで、他職種との情報共有や治療への理解を促進する橋渡し役も担っています。

医師

医師は、チーム医療において中心的な役割を果たしている職種です。診断から治療方針の決定、患者さんの状態確認まで、医療チーム全体をリードする立場にあるといえるでしょう。

具体的には、患者さんの症状や検査結果を総合的に判断し、適切な治療方針を決定します。

さらに、必要に応じて患者さんやご家族への病状説明や治療方針を共有します。

このように、医師は他職種の強みを活かしつつ、患者さんに質の高い医療を提供できるよう、チーム全体をまとめる役割を担っているのです。

看護師

看護師は、患者さんに対する専門的な処置や体調管理などを行う職種です。具体的な役割は、以下のとおりです。

● 患者さんの日常生活のケア
● 症状の観察
● 医師の指示にもとづく治療の実施

そのほかにも、患者さんやご家族の不安や悩みに寄り添い、精神的なサポートもしています。また、チーム全体の調整役として、各職種間の連携をスムーズにする橋渡し役も担っています。

薬剤師

薬剤師は、チーム医療において医薬品の専門家として欠かせない存在です。医師の処方箋にもとづいて調剤を行うだけでなく、患者さんの服薬指導や副作用の管理などの重要な役割を担っています。また患者さんの以下のような情報を、必要に応じて他職種に共有します。

● 体質
● アレルギー歴
● 服薬状況

このように、薬剤師は医薬品に関する情報を提供し、患者さんの健康をサポートする職種です。

MSW

医療ソーシャルワーカー(MSW)とは、患者さんやご家族が抱える社会的な問題の解決をサポートする職種です。以下のような、医療と福祉の両面から支援を行っています。

● 経済的な不安
● 退院後の生活環境の調整
● 介護サービスの利用

また、患者さんの社会復帰に向けて、地域の福祉サービスと連携することもあります。このように、患者さんが退院後に細かいサポートを受けるためには、MSWの存在が重要です。

チーム医療で重要なポイント

理学療法士がチーム医療でケアを円滑に進めるためには、どのような工夫をすべきなのでしょうか。ここでは、チーム医療で重要となるポイントについて解説します。

コミュニケーションを密にとる

まず、他職種とのコミュニケーションを密にとることです。患者さんに対してよりよいケアを提供するためには、他職種との積極的な情報交換が欠かせません。コミュニケーションがとれないとチーム医療としての強みを活かせず、適切なケアを提供しにくくなります。

また、患者さんやご家族との信頼関係を築くことも大切です。患者さんや家族と積極的にコミュニケーションをとることで、自宅環境や潜在的な課題などが明確となります。

理学療法士としての専門性を高める

理学療法士としての専門性を高めることも重要です。これはチーム医療に限らず、理学療法士としての役割を十分に果たすためには、高い知識と技術が必要です。医学や治療技術は日々進歩しており、最新の知識やスキルを習得することで、よりよいケアにつながります。

専門性を高めるためには、以下のような取り組みを行いましょう。

● 学会や研修会への参加
● 専門的な資格の取得
● 論文のチェック
● 勉強会の実施

専門性が高まれば理学療法士としての価値が上がり、どのような職場でも即戦力として活躍できます。

チーム医療における理学療法士の役割を把握しよう

チーム医療は、多職種がチームとなって患者さんに対して治療やケアを提供する体制です。

医師や看護師はもちろん、理学療法士もチーム医療の一員として重要な役割を担っています。チーム医療を円滑に進めるためには、他職種の特徴を把握したうえで、コミュニケーションを積極的にとることが重要です。

また、患者さんに適切なリハビリを提供するには、理学療法士としての専門性を高めることも欠かせません。ぜひ今回の記事を参考にして、理学療法士のチーム医療としての役割を意識してみましょう。

内藤かいせい

内藤 かいせい

理学療法士として回復期病院と訪問看護サービスに従事し、脳血管疾患や運動器疾患などの幅広い症例を経験する。リハビリで患者をサポートするとともに、全国規模の学会発表にも参加。 新しい業界にチャレンジしたいと決意し、2021年に独立する。現在はWebライターとして活動中。これまでの理学療法士の経験を活かして、医療や健康分野で多くの執筆・監修に携わっている。

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