言語聴覚士になるには「手話」が必要?手話を学ぶべき理由と勉強方法を解説
公開日:2025.02.06 更新日:2025.03.28

文:tokoshi(言語聴覚士)
日本では「手話は言語」と障害者基本法で定められています。そのため、手話は話す・聞くの専門職である「言語聴覚士」の領域であり、習得は必須ではないかと感じている方も多いのではないでしょうか。
確かに手話が使えることは、言語聴覚士にとって大きな強みとなります。しかし、実際にどの程度の手話スキルが求められるのか、学ぶべき理由やメリットは何なのか、具体的な勉強方法も気になるところです。
本記事では、言語聴覚士にとっての手話の必要性やメリット、効果的な勉強方法について解説します。
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言語聴覚士は手話ができて当たり前?手話の必要性
結論からお伝えすると、手話スキルは言語聴覚士にとって、必須ではありません。もちろん、習得していれば言語聴覚士として大きな武器になります。
言語聴覚士が手話を活用するのは、主に「聴覚障害の患者さんとコミュニケーションを取る時」です。
しかし、言語聴覚士として働く職場には、聴覚領域以外にも、言語障害や嚥下障害が主となる「成人領域」や、発達障害が中心の「小児領域」などがあります。
それらを専門とする場合、手話を活用する機会は少ないでしょう。実際に筆者も「成人領域」を専門としていますが、手話を使ってコミュニケーションを取ることはほとんどありません。
このように、「言語聴覚士は全員手話が必要」というわけではなく、専門とする領域によっては必要性が低いケースもあるのです。
とはいえ、手話ができることは「将来のキャリア選択を広げる強み」になります。そのため、進路がまだ決まっていない方や、複数の領域に挑戦したいと考えている方は、学生のうちに手話を学んでおくと将来の選択肢が広がるでしょう。
言語聴覚士が「手話を学ぶ」メリット

言語聴覚士が手話を学ぶことで、聴覚障害を持つ患者さんとの直接的な意思疎通が可能になり、信頼関係が構築しやすくなります。
コミュニケーションの幅が広がること以外にも、手話を学ぶメリットは多岐にわたります。
続いて、コミュニケーション面以外で言語聴覚士が手話を学ぶべきメリットを見てみましょう。
メリット1.専門性が向上する
言語聴覚士は、患者さんのコミュニケーションをサポートする専門職ですが、手話を学ぶ過程で、「聴覚障害者の抱える日常の困難」や「心理的な課題」についても理解を深められます。
結果として、聴覚障害を抱える患者さんやそのご家族への共感や配慮につながり、信頼関係の構築に大きく役立つでしょう。
メリット2.キャリアの選択肢が広がる
将来的に「他職種への転職」を考える際にも、手話スキルが有利に働く可能性があります。
たとえば、「聴覚障害者支援」や「手話通訳士との連携を必要とする分野」などでは必須となるため、新たな分野に挑戦したい時に強みとしてアピールできます。
このように言語聴覚士という職種に限らず、キャリアの幅を広げるスキルとして、手話を学ぶことには大きなメリットがあるといえます。
メリット3.専門職としての信頼性が高まる
聴覚障害の患者さんにとって、手話を理解できる専門家による支援は、安心感につながります。
また、手話スキルがあることで、同僚や他の医療・福祉スタッフからも「専門性が高い」と評価されやすく、チーム内での信頼も得やすくなるでしょう。
言語聴覚士が手話を勉強するための3つの方法

言語聴覚士が手話を学ぶメリットは多くありますが、具体的にどのような方法で手話を学べばよいのでしょうか。最後に、言語聴覚士が手話を効率的に勉強するための方法を紹介します。
1.専門の講座やセミナーで学ぶ
手話の基礎から応用まで体系的に学べる講座やセミナーに参加することで、効率的にスキルを習得できます。また、手話通訳士といった専門家から直接指導を受けることで、実践的に学べるでしょう。
さらに、養成校によっては、手話通訳士を講師に迎えた授業や「全国手話検定」の取得ができるカリキュラムを提供しているところもあります。
こうしたカリキュラムを取り入れている養成校を選ぶと、より充実した学習が可能となります。
2.手話サークルやボランティアに参加する
手話サークルやボランティア活動に参加することも、手話スキルを高める良い機会となります。
実践的な学びになり、日常的な会話の流れや表現方法が自然と身につきやすい環境です。また、ボランティア活動を通じて実際に聴覚障害者の方と直接コミュニケーションを取ることで、手話のテンポや細かな動きなど、座学だけでは学べないスキルを習得できるでしょう。
3.オンライン学習で学ぶ
オンライン学習であれば、自分の予定に合わせて学習を進められます。
最近では、動画講座やアプリなど、場所を問わず手話を学べるコンテンツが増えているため、積極的にこうした教材を活用し、自分のペースで学習を進められるとよいでしょう。
キャリアの選択肢を広げるために「手話」を習得しよう
言語聴覚士にとって手話を学ぶことは、聴覚障害を持つ患者さんとのコミュニケーションを円滑にし、信頼関係を築くための大きな武器となります。
領域によっては手話の必要性が低い場合もありますが、手話を学ぶことで、専門性が高まり、キャリアの選択肢が広がるといったメリットがあります。
手話を学ぶ方法には、専門講座やボランティアへの参加、オンライン学習などがあるため、あなたに合った方法で手話を学んでみてはいかがでしょうか。
参考
内閣府ホームページ「障害者基本法の一部を改正する法律【概要】 平成23年7月29日成立」
一般財団法人 全日本ろうあ連盟「手話言語に関する見解」

tokoshi
言語聴覚士
回復期で失語症と高次脳機能障害を中心としたリハビリ業務に携わる。その後転職し、看取り施設で「最期の食事」を言語聴覚士として支援。現在は訪問リハビリやデイサービスでリハビリをしながらライターとしても活動しています。
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