登録理学療法士とは?取得方法やメリットについて解説
公開日:2025.02.01 更新日:2025.02.03

文:rana(理学療法士)
日本理学療法士協会が実施した2022年の生涯学習制度改定により「登録理学療法士制度」が新設されました。しかし、どのような制度なのか、詳しく理解していない方も多いのではないでしょうか。従来までの新人教育プログラムや認定・専門理学療法士と登録理学療法士の制度は異なるため、理学療法士としては押さえておきたいところです。この記事では登録理学療法士について取得方法やメリットなどについて現役理学療法士が解説します。
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目次
登録理学療法士とは
登録理学療法士とは、日本理学療法士協会が設けている生涯学習制度において、新設された資格です。継続的な学習により、理学療法士としての質を担保することを目的として2022年に設立されました。
登録理学療法士は5年間の研修を経て取得できる資格で、資格を保持するには5年ごとの更新が必要です。理学療法士は、多様化するニーズに応え続ける仕事であり、継続した研鑽が求められます。そのような背景から登録理学療法士を「理学療法士の義務教育」と位置付けています。
登録理学療法士と新人教育プログラムとの違い

以前は、「新人教育プログラム」という教育制度がありました。これは、新人向けの研修として実施されていましたが、2021年度で制度が終了し、それを受け継ぐ形で「登録理学療法士」が新設されました。ただし、登録理学療法士の資格には、新人教育プログラムにはなかった「5年ごとの更新」が設けられており、より長期的な研鑽を積まなければなりません。
また、以前の新人教育プログラムでは、最短で1年間で全課程の修了が可能でしたが、登録理学療法士は最短でも5年かかります。研修期間の長さに比例して、資格取得に必須となるコマ数も大幅に増えており、新人教育プログラムを修了するよりも取得が困難になっています。
その背景には、さらに質の高い理学療法士の育成が求められていることがあるかもしれません。
登録理学療法士と認定・専門理学療法士との違い
「認定・専門理学療法士」は、「登録理学療法士」の上位資格に位置付けられています。つまり、登録理学療法士を取得していないと、認定・専門理学療法士は取得できないのです。
登録理学療法士が有する知識やスキルをさらに専門的に極めたスペシャリストが認定・専門理学療法士といえるでしょう。
登録理学療法士の取得方法

登録理学療法士の資格取得には、前期と後期に設けられた研修の受講が必要です。前期の履修に2年、後期は3年の実務経験が求められます。
なお、前期・後期研修として、以下のカリキュラムが設定されています(2024年11月時点)。
| 前期研修 | ・座学22コマ(33時間) ・実地研修32コマ(48時間) |
|---|---|
| 後期研修 | ・座学51コマ(76.5時間) ・3年間の実務経験 |
なお、2022年以前に理学療法士を取得している場合、新人教育プログラムの進捗度によって登録理学療法士の資格取得要件が異なります。すでに取得した単位に応じて、前期の必要コマ数は次のように変動します。
| 取得単位数 | 前期の必要コマ数 | 後期の必要コマ数 |
|---|---|---|
| 0単位 | 54コマ | 51コマ |
| 1~10単位 | 48コマ | 51コマ |
| 11単位以上 | 42コマ | 51コマ |
また、以下の条件を満たしている場合は研修を受けずに、登録理学療法士として認められます。
・2013年〜2017年度に入会し、新人教育プログラムを修了して220ポイント以上の生涯学習ポイントを取得している
・2012年度に入会した会員で、新人教育プログラムを修了している
上記を満たしていないけれど、新人教育プログラムを修了している場合は、前期・後期のコマ数が軽減されます。前期は一律で32コマ、後期は取得した生涯学習ポイント数によって以下のように変動します。
| 取得している生涯学習ポイント | 必要コマ数(後期) |
|---|---|
| 50ポイント未満 | 47コマ |
| 50ポイント以上80ポイント未満 | 43コマ |
| 80ポイント以上110ポイント未満 | 37コマ |
| 110ポイント以上220ポイント未満 | 18コマ |
これから登録理学療法士の資格取得を目指す場合、自身が新人教育プログラムで取得した単位数や、生涯学習ポイントを整理したうえで、研修受講を申し込むようにしましょう。
登録理学療法士を取得するメリット
登録理学療法士を取得すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。登録理学療法士を取得するメリットについてまとめました。
専門知識が身につく
登録理学療法士を目指す過程で多くのカリキュラムを受けるため、より専門的な知識が身につきます。個人では追求が難しい内容や最新の知見を得られるため、理学療法士としての知識や技術のアップデートにつながるでしょう。
認定・専門理学療法士を目指せる
登録理学療法士を取得すれば上位資格である認定・専門理学療法士を目指せます。認定・専門理学療法士を取得すれば、選択した分野におけるスペシャリストとして周りからも一目置かれる存在になれるでしょう。
転職に有利になる
登録理学療法士を取得しておけば、取得していない理学療法士との差別化ができます。そのため、転職にも有利に働くでしょう。理学療法士として研鑽に励んでいるアピールにもなり、転職先にも好印象を与えられるはずです。
登録理学療法士の現状
2022年度からスタートした登録理学療法士ですが、日本理学療法士協会が公表する資料によると、2024年3月末時点で、資格取得者は全国で62,917人とされています。
ただ、筆者の周りでは取得している理学療法士が少ないように感じています。なかには制度について詳しく把握していない理学療法士もいました。
これから増加する可能性が高いものの、ベテラン勢にはやや取得にハードルが高いような印象です。というのも、取得までに時間がかかり、更新も容易ではない条件になっているにも関わらず、具体的な給料面に反映されにくいからです。とはいえ、今後は、需要が高まり、資格取得が主流になるかもしれません。自身の研鑽やキャリアアップを目的に、取得を目指すのも選択肢の1つといえます。
登録理学療法士の資格取得で、キャリアアップにつなげよう
登録理学療法士は、理学療法士としての専門性を証明できる資格です。将来を見据えたキャリアアップや理学療法士として成長を考えているならまずは登録理学療法士の取得を目指してみてはいかがでしょうか。
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参考
前期研修について|公益社団法人日本理学療法士協会
認定・専門理学療法士制度について|公益社団法人日本理学療法士協会
生涯学習制度について|公益社団法人日本理学療法士協会
生涯学習制度について|公益社団法人日本理学療法士協会
生涯学習制度について|公益社団法人日本理学療法士協会

rana(理学療法士)
総合病院やクリニックを中心に患者さんのリハビリに携わる。現在は整形外科に加え、訪問看護ステーションでも勤務。 腰痛や肩痛、歩行障害などを有する患者さんのリハビリに日々奮闘中。 業務をこなす傍らライターとしても活動し、健康、医療分野を中心に執筆実績多数。
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