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変形性膝関節症のおすすめのリハビリ内容は?生活上での注意点も解説

公開日:2025.02.04 更新日:2025.02.05

変形性膝関節症のおすすめのリハビリ内容は?生活上での注意点も解説

文:内藤 かいせい(理学療法士)

変形性膝関節症とはどのような疾患なのか、どのようなリハビリを行うのか知りたい方はいませんか?変形性膝関節症の治療では、保存療法の1つであるリハビリが重要な役割を果たしています。

この記事では、変形性膝関節症のリハビリ内容や実施中の注意点をご紹介します。どのようなリハビリがあるのかを知ることで、変形性膝関節症の治療を効率的に進めるきっかけとなるでしょう。

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変形性膝関節症とは?

変形性膝関節症は、膝の関節にある軟骨がすり減ることで起こる疾患です。膝の軟骨は関節の衝撃を吸収したり、動きをスムーズにしたりする働きがあります。その軟骨がすり減ることで骨同士がぶつかり、痛みや腫れが現れるのです。

発症初期では、立ち上がりや歩きはじめなどで膝の痛みが現れはじめます。症状が進行すると、痛みが悪化して正座や階段の上り下りなどの動作が困難になることもあるでしょう。さらに末期になると、安静にしていても痛みが現れます。

このように、変形性膝関節症の症状が進行すると、少しずつ日常生活に支障をきたしやすくなります。

変形性膝関節症の原因

変形性膝関節症のおすすめのリハビリ内容は?生活上での注意点も解説

変形性膝関節症の原因は、おもに加齢にともなう関節軟骨の老化があげられます。関節軟骨が老化することで弾力性が低下し、すり減りやすくなるのです。そのほかにも、以下のような原因も考えられます。

● 肥満による膝にかかるストレスの増加
● 遺伝的要因(もともとO脚の方)
● 膝のケガからの派生

また、男性よりも女性のほうが好発しやすく、比率としては「1:4」とされています。

変形性膝関節症の治療法

変形性膝関節症の治療では、おもに「保存療法」と「手術療法」が行われています。ここでは、それぞれの治療法について詳しく解説します。

保存療法

変形性膝関節症の治療では、まず保存療法からはじめるのが基本です。保存療法には以下のような治療があり、これらを組み合わせて症状の改善を目指します。

● 薬物療法
● 運動療法
● 装具療法
● 生活指導

鎮痛剤やヒアルロン酸ナトリウム注射などによって膝の痛みをおさえつつ、運動によって低下した筋力の強化を図ります。筋力を高めることで膝関節の安定性が高まり、痛みの軽減につながるのです。装具療法ではおもに膝サポーターを装着し、関節の固定性を高めます。

また、普段の生活で膝を痛めないような動作を指導することも重要です。このような保存療法を行い、痛みの軽減・悪化予防を図ります。

手術療法

保存療法で十分な効果が得られない場合や、膝の痛みが悪化している場合は手術による治療が検討されます。変形性膝関節症に対する代表的な手術としては、「骨切り術」と「人工関節置換術」などがあります。

骨切り術とは、膝を作っている脛骨(すねの骨)の一部を切り取り、関節の位置を正常に戻す手術法です。関節を正常の位置にすることで、膝にかかる負担の軽減が期待できます。人工関節置換術とは、膝関節を人工物に入れ替える手術法で、変形が強い場合に選択されます。膝自体を入れ替えるため、症状の根本的な改善が期待できる方法といえるでしょう。

どのような手術を行うかは、その方の年齢や症状の程度などを考慮して、医師と相談しながら決定します。

変形性膝関節症のリハビリ内容

変形性膝関節症のおすすめのリハビリ内容は?生活上での注意点も解説

変形性膝関節症の症状改善のためには、リハビリの実施が重要です。ここでは、変形性膝関節症に対して行われるリハビリ内容について解説します。

筋トレ

筋トレによって膝関節の周囲の筋肉を強化することで、痛みの軽減が期待できます。具体的な筋トレ内容は、以下のとおりです。

【スクワット】
スクワットは足全体の筋肉を鍛えられるトレーニングです。
1. 立った状態で足を肩幅程度に開く
2. 足の向きを前にする
3. 足より前に出ないように、姿勢をまっすぐにして膝をゆっくり曲げる
4. 膝を90度ほど曲げたらもとに戻る
5. 3〜4の手順を10〜15回×2〜3セット行う

【パテラセッティング】
パテラセッティングは、太ももの筋肉である「大腿四頭筋」を鍛えるトレーニングです。膝を大きく動かさない筋トレなので、痛みがある方でも行いやすいのが特徴です。
1. あお向けになる
2. 膝を伸ばして、膝裏にタオルやクッションを置く
3. 膝裏のタオルやクッションを下に押しつけるイメージで膝に力を入れる
4. 力を抜く
5. 3〜4の手順を10〜15回×2〜3セット行う

【ボール潰し】
ボール潰しは、太ももの内側についている「内転筋」を鍛えるトレーニングです。内転筋の強化によって膝の安定性向上につながります。
1. イスに座り、膝の間にボールを挟む
2. ボールを潰すイメージで足に力を入れる
3. 5秒ほど力を入れ続けたら、力を抜く
4. 2〜3の手順を10〜15回×2〜3セット行う

有酸素運動

筋トレだけでなく、有酸素運動もおすすめです。有酸素運動は、心肺機能を高めて体力の向上につながります。さらに脂肪燃焼効果が高いため、減量によって膝にかかる負担軽減にもなるでしょう。

有酸素運動としておすすめなのが、ウォーキングや水泳などです。これらの運動は、比較的膝の負担がかかりにくいので、無理なく続けやすいです。有酸素運動を行う際は、1回20〜30分、週に2回以上行うのが推奨されます。なによりも継続して行うことが重要なので、まずは自分が続けられるペースでチャレンジしてみましょう。

ストレッチ

ストレッチによって硬くなった膝まわりの筋肉をほぐすことも大切です。具体的なストレッチ方法は、以下のとおりです。

【太もも前面のストレッチ】
1. うつ伏せになる
2. 手で片方の足首を持ち、膝を曲げる
3. 可能な範囲で曲げたら20秒ほどキープする
4. 反対の足で行う

【膝裏のストレッチ】
1. イスに浅く座って片足を伸ばす
2. 伸ばした片足に向かって身体を傾ける
3. 身体を傾けた状態を20秒ほどキープする
4. 反対の足で行う

【ふくらはぎのストレッチ】
1. 壁や手すりの前に立つ
2. 壁や手すりで身体を支えつつ、片足を後に引く
3. 後ろに引いた側のふくらはぎを伸ばす
4. 20秒ほどキープしたら反対の足で行う

変形性膝関節症のリハビリや生活上での注意点

変形性膝関節症の方は、リハビリや生活でどのような注意点があるのでしょうか。ここでは、おもな注意点について解説します。

膝を深く曲げない

変形性膝関節症の方は、膝を深く曲げる動作はできるだけ避けましょう。膝を深く曲げると関節にかかる負担が大きくなり、症状の悪化につながります。とくに、和式トイレでの深いしゃがみ込みや正座する方は注意が必要です。

膝を深く曲げないようにするためには、洋式トイレに変える、イスを中心とした生活にするなどの工夫をするとよいでしょう。リハビリはもちろん、普段の生活で膝に負担をかけないように意識することが大切です。

強い痛みが出るような動作を行わない

膝に強い痛みが出るような動作を避けましょう。痛みをガマンして無理に動かそうとすると、関節の損傷を悪化させてしまう恐れがあります。

ただし、痛みがあるからといってまったく動かさないのも逆効果です。長期間の安静は筋力低下を招き、かえって症状を悪化させる原因となります。そのためリハビリの際は、痛みのない範囲で無理なく運動を続けることが大切です。

変形性膝関節症に対するリハビリ以外の工夫点

リハビリ以外にも、普段の生活で工夫することで、変形性膝関節症の症状軽減が期待できます。例として、日常生活での環境整備や福祉用具の使用があげられます。階段や段差の多い場所に手すりを設置すれば、膝への負担を軽減できます。

また歩行時に杖を使用すれば、膝にかかる荷重が分散されるでしょう。このように、リハビリ以外での工夫を取り入れることで、痛みに悩まされずに生活を送りやすくなります。

変形性膝関節症のリハビリを習慣にしよう

変形性膝関節症は膝の軟骨がすり減る疾患のことで、症状の進行によって痛みの増加につながります。変形性膝関節症の改善のためには、リハビリの継続が重要です。

痛みを軽減するには、筋トレや有酸素運動などの運動がおすすめです。ぜひ今回の記事を参考にして、リハビリを習慣にしてみましょう。

内藤かいせい

内藤 かいせい

理学療法士として回復期病院と訪問看護サービスに従事し、脳血管疾患や運動器疾患などの幅広い症例を経験する。リハビリで患者をサポートするとともに、全国規模の学会発表にも参加。 新しい業界にチャレンジしたいと決意し、2021年に独立する。現在はWebライターとして活動中。これまでの理学療法士の経験を活かして、医療や健康分野で多くの執筆・監修に携わっている。

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