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脊柱管狭窄症のリハビリ内容は?普段の生活での注意点も解説

公開日:2025.02.23

脊柱管狭窄症のリハビリ内容は?普段の生活での注意点も解説

文:内藤 かいせい(理学療法士)

脊柱管狭窄症と診断され、リハビリが必要になったものの、どのようなことをすべきかよくわからない方もいるのではないでしょうか。脊柱管狭窄症は痛みやしびれをともなう疾患であり、症状の悪化を予防するにはリハビリが重要です。

この記事では、脊柱管狭窄症の特徴や自宅で行えるリハビリ内容をご紹介します。リハビリ内容や注意点を把握することで、自宅でも症状の改善に努めるきっかけとなるでしょう。

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脊柱管狭窄症とは?

脊柱管狭窄症とは、「脊柱管」が狭くなることで神経が圧迫される疾患です。脊柱管とは、背骨の中にある神経の通り道のことです。脊柱管狭窄症によって神経が圧迫されると、痛みやしびれなどのさまざまな症状が現れます。

とくに腰部は日常生活で大きな負担がかかりやすいため、腰部脊柱管狭窄症として発症するケースが多いのが特徴です。

脊柱管狭窄症の症状

脊柱管狭窄症のリハビリ内容は?普段の生活での注意点も解説

脊柱管狭窄症では、神経が圧迫される部位によってさまざまな症状が現れます。たとえば、腰部の脊柱管狭窄症の場合はおもに下半身の痛みやしびれなどが生じます。

なかでも代表的な症状が、「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」です。間欠性跛行とは、歩き続けると足の痛みやしびれが強くなって歩けなくなり、休むと軽快する症状のことです。症状が進行して間欠性跛行が悪化すると、歩くのも一苦労になるので、日常生活に大きな支障をきたす恐れがあります。

そのほかにも、感覚異常や排尿障害などの神経症状が現れることもあります。

脊柱管狭窄症の原因

脊柱管狭窄症の原因はさまざまで、代表的なものは以下のとおりです。

● 加齢による背骨の変形
● 腰を使う作業の繰り返し
● 肥満
● 脊柱管付近の靭帯の肥厚
● 圧迫骨折や側弯症などによる背骨の変形

このような原因によって背骨にストレスがかかると、脊柱管が狭くなり、狭窄症の発症につながるのです。また、喫煙や糖尿病なども発症要因の1つとされています。

脊柱管狭窄症は50〜80代に好発し、とくに女性よりも男性に多くみられる傾向にあります。

脊柱管狭窄症の治療法

脊柱管狭窄症のリハビリ内容は?普段の生活での注意点も解説

脊柱管狭窄症の治療法としては、おもに「保存療法」と「手術療法」が選択されます。ここでは、それぞれの治療法について解説します。

保存療法

脊柱管狭窄症の症状が軽い場合、まずは保存療法による治療が行われます。保存療法で行われる治療は、以下のとおりです。

● 薬物療法
● 装具療法
● 運動療法(リハビリ)

薬物療法では、痛みやしびれをやわらげることを目的に、鎮痛剤や湿布などが処方されます。装具療法では、コルセットを装着して背骨の固定性を高め、負担軽減を図ります。運動療法によって背骨の筋力や柔軟性を高めて、症状の改善を目指すことも大切です。

このように、これらの治療法を組み合わせて行って様子をみます。

手術療法

保存療法で十分な改善がみられない場合や、症状が進行している場合には、手術療法が検討されます。手術にはおもに「除圧術」と「固定術」の2種類があり、症状や状態にあわせて選択されます。

除圧術は、神経を圧迫している原因である骨や靭帯などを取り除く手術です。身体への負担が比較的少なく、合併症のリスクも低いため、多くのケースでこの方法が選択されます。固定術は、脊椎にネジを入れて背骨を固定する手術です。背骨の不安定性が強い場合はこちらの手術が行われ、除圧術と併用することも少なくありません。

自宅でできる脊柱管狭窄症のリハビリ内容

脊柱管狭窄症の予防のためには、自宅でどのようなリハビリをすればよいのでしょうか。ここでは、自宅でできるリハビリについて解説します。

ストレッチ

硬くなった筋肉の柔軟性を高め、背骨にかかるストレスを軽減するには、ストレッチが重要です。脊柱管狭窄症におすすめのストレッチは、以下のとおりです。

【腰を丸めるストレッチ】
1. あお向けになる
2. 両膝をつけながら丸め、両手で抱える
3. 両膝を胸にできるだけ近づける
4. 20秒ほどキープする

腰を丸めて、腰部周辺の背部筋を伸ばすストレッチです。

【股関節を伸ばすストレッチ】
1. 片足を後に引き、片膝立ちになる
2. 背筋を伸ばした状態で前方に体重を乗せる
3. 20秒ほどキープする
4. 反対の足で行う

股関節前面にある、「大腿四頭筋」や「腸腰筋(ちょうようきん)」などの筋肉を伸ばすストレッチです。これらの筋肉は骨盤や背骨についているため、ストレッチすることでそれらの骨の動きを良好に保ちます。

筋トレ

筋トレによって体幹筋の筋力をつけることで、背骨が安定して負担の軽減につながります。おすすめの筋トレは、以下のとおりです。

【ドローイン】
ドローインは、腹部のインナーマッスルを鍛えるトレーニングです。

1. あお向けになって両膝を立てる
2. お腹に力を入れながら口でゆっくり吐く
3. 息を吐ききったら、息を吸う
4. 2〜3の手順を10回×2〜3セット行う

【お尻上げ】
お尻上げは、お尻の筋肉や背筋を鍛えるトレーニングです。

1. あお向けになって両膝を立てる
2. 股関節がまっすぐになるようにお尻を上げる
3. ゆっくりもとに戻る
4. 2〜3の手順を10回×2〜3セット行う

これらのリハビリは、痛みのない範囲で行ってください。すでに医療機関へ受診している、または治療を行っている場合、ストレッチや筋トレを行う際は必ず医師に確認してから行いましょう。

脊柱管狭窄症の方がリハビリや日常生活で注意すべき点

リハビリ中や普段の生活では、どのような点に注意すべきなのでしょうか。ここでは、脊柱管狭窄症の方が注意したいポイントを解説します。

姿勢に注意する

脊柱管狭窄症の症状の悪化を防ぐには、正しい姿勢を意識することが重要です。たとえば、前かがみの姿勢は脊柱管への圧迫は軽減されるものの、背中の筋肉に持続的に負荷がかかり、症状の悪化につながる恐れがあります。

立ち姿勢はもちろん、座っているときも背筋をまっすぐに伸ばし、あごを引くことを心がけましょう。姿勢を意識することで腰の負担を軽減するだけでなく、肩こりや腰痛などの身体の不調予防にもなります。

長時間の立ち作業・歩行を避ける

脊柱管狭窄症の症状である間欠性跛行を防ぐために、長時間の立ち作業や歩行は避けることが大切です。立ち作業や歩行を続けると神経への圧迫が強まり、下肢のしびれや痛みが悪化する恐れがあります。

できるだけ痛みが強くなる前に休憩をとり、イスに座って身体を休めましょう。とくに外出時は歩行距離が長くなりがちなので、こまめに休憩を挟むことが重要です。

痛みが現れたら安静になる

リハビリ中に痛みやしびれが現れたときは、すぐに安静にすることが大切です。無理にリハビリを続けると症状を悪化させる原因となり、回復を遅らせてしまいます。

痛みが出たら、前述したようにイスに座って休憩しましょう。その際に腰を軽く曲げた姿勢で休むことで、脊柱管が広がり、神経への圧迫がやわらぎます。症状が落ち着くまでは激しい運動や長時間の活動は避け、無理のない範囲でリハビリを続けましょう。

脊柱管狭窄症のリハビリで症状改善を目指そう

脊柱管狭窄症は脊柱管が狭くなって神経が圧迫される状態のことで、痛みやしびれなどの症状が現れるのが特徴です。脊柱管狭窄症の治療としては、まずは保存療法が行われ、症状が強い場合は手術を検討する必要があります。

普段の生活では不良姿勢を避け、症状が強くなったら安静にすることが重要です。ぜひ今回の記事を参考にして、脊柱管狭窄症の症状改善を目指しましょう。

内藤かいせい

内藤 かいせい

理学療法士として回復期病院と訪問看護サービスに従事し、脳血管疾患や運動器疾患などの幅広い症例を経験する。リハビリで患者をサポートするとともに、全国規模の学会発表にも参加。 新しい業界にチャレンジしたいと決意し、2021年に独立する。現在はWebライターとして活動中。これまでの理学療法士の経験を活かして、医療や健康分野で多くの執筆・監修に携わっている。

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