パーキンソン病のリハビリメニューとは?自宅で行える内容をご紹介
公開日:2025.02.25

文:内藤 かいせい(理学療法士)
パーキンソン病のリハビリでは、どのようなことをすればよいか知りたい方はいませんか?パーキンソン病の症状を遅らせるためには、リハビリの継続が重要です。そのため、自宅でも行えるようなリハビリメニューを把握しておくと、取り組みやすくなります。
この記事では、パーキンソン病のリハビリメニューや自宅内で工夫すべきポイントをご紹介します。リハビリを継続的に実施することで、パーキンソン病の悪化予防につながるでしょう。
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パーキンソン病に対する治療法
パーキンソン病とは、神経に問題が生じる「神経変性疾患」の1つで、身体が動きにくくなる、指が震えるなどの特徴的な症状が現れます。ここでは、パーキンソン病にはどのような治療が行われるのかについて解説します。
運動療法
運動療法は、パーキンソン病の症状の進行を遅らせて、日常生活の質を維持するための重要な治療法です。おもな運動療法としては、以下のとおりです。
● 関節可動域訓練
● バランス訓練
● 呼吸訓練
● 嚥下訓練
● 動作訓練
このような運動療法によって身体機能の維持を図ります。実際に、運動療法の実施は身体機能やQOL(生活の質)の改善に有効であることがガイドラインでも示されています。これらは後述する薬物療法と組み合わせて、症状が落ち着いているタイミングで実施することがおすすめです。
薬物療法
運動療法だけでなく、薬物療法によって内部からパーキンソン病の症状をおさえることも重要です。パーキンソン病に用いられる代表的な薬は、以下のとおりです。
● ドパミンアゴニスト
● MAOB阻害薬・COMT阻害薬
● 抗コリン薬
パーキンソン病の症状は、脳内の「ドパミン」と呼ばれる、身体の動きに関わる物質を作り出す細胞の減少が原因で生じるとされています。これらの薬はそれぞれメカニズムは異なるものの、ドパミンを補う作用が期待できます。副作用に留意しつつ、それぞれの症状にあわせた薬を適切なタイミングで服用することが大切です。
手術療法
パーキンソン病の治療は基本的に運動療法と薬物療法によって行われますが、もう1つの選択肢として手術療法があげられます。おもな手術法としては、「破壊術」と「脳深部刺激療法(以下:DBS)」があげられます。
破壊術は、ドパミンの生成を阻害している部位を破壊して、パーキンソン病の症状改善を図る方法です。DBSとは、脳内の特定部位に電極を入れ込み、電気刺激を与えることで神経の活動を正常化させてドパミンの生成を促す方法です。
いずれの手術も一定の基準を満たす必要があるため、すべてのパーキンソン病に行えるわけではありません。また、手術によるリスクが生じる恐れもあるため、医師とよく相談したうえで実施することが重要です。
自宅でできるパーキンソン病のリハビリメニュー

自宅でリハビリを行う際、どのようなことをすればよいのでしょうか。ここでは、自宅でできるパーキンソン病のリハビリメニューについて解説します。
関節可動域訓練
パーキンソン病を発症すると筋肉や関節の柔軟性が低下しやすくなります。そのため、ストレッチをはじめとした可動域訓練で柔軟性を高めることが重要です。具体的な内容としては、以下のとおりです。
● 両手を組んでできるだけ上げる
● 両手を組んで上げた後、身体を左右に倒す
● 胸を広げるイメージで両手を真横に広げる
● イスに座って身体を前に曲げながら、手を足に近づける
● 身体を左右にひねる
● あお向けの状態で片足ずつ持ち、胸に近づける
● うつ伏せの状態で片足ずつ持ち、お尻に近づける
● 立った状態で片足を後に引き、アキレス腱を伸ばす
● 座った状態で片足を伸ばし、その足に向かって身体を傾ける
筋トレ
パーキンソン病によって活動量が低下すると、筋肉の衰えにつながります。継続的な筋トレによって筋肉量を維持し、身体機能の低下を防ぎましょう。具体的な筋トレ内容は、以下のとおりです。
● スクワット
● かかと上げ
● イスからの立ち上がり
● あお向けの状態からのお尻上げ
● あお向けの状態での腹筋運動
筋トレ中にふらつきがみられる場合は、手すりを使用したり、見守り下で行ったりして安全な状態で行いましょう。
有酸素運動
有酸素運動は関節の柔軟性の確保だけでなく、体力の向上にもつながります。有酸素運動としておすすめなのが、ウォーキングです。運動時は姿勢をまっすぐにした状態をキープし、歩行時は腕をしっかりと振ることを意識しましょう。
これらの運動は1回20分、週に3〜5回ほど行うのが目安です。ただし、症状は人それぞれ異なるので、自分の状態にあった負荷で無理なく行いましょう。歩行が不安定な方は、杖やノルディックウォークなどの補助具を活用してみてください。
動作練習
運動だけでなく、普段行っている動作の練習を行うことも大切です。普段の動作をスムーズに行う方法を身につけることで、症状が悪化した際の生活にも対応しやすくなります。たとえば、ベッドから起き上がる際の動作は、以下のとおりです。
2. 起き上がる方向の逆の足を立てる
3. 起き上がる方向に横向きになる
4. 両足をベッドの外に出す
5. 手で支えながら、足の重さを利用して起き上がる
このように、今後のために動作の練習も行ってみましょう。
口の体操
パーキンソン病は身体だけでなく、口の動きや飲み込みに関する機能も低下する恐れがあります。そのため、口の体操によって飲み込みや発声に必要な機能の衰えを予防しましょう。具体的な口の体操は、以下のとおりです。
● 口を大きく開け閉めする
● 口をすぼめたり、口角を上げたりする
● 頬を膨らませたり、すぼめたりする
● 舌を上下左右・前後に動かす
● 鼻から息を吸い、口から大きく吐く
● できるだけ長く「あー」と声を出す
● 「パ・タ・カ・ラ」とはっきりと声を出す
このような口の体操も習慣的に行ってみましょう。
リハビリ以外の自宅内でできる工夫

リハビリ以外にも、自宅内での工夫によって安全に過ごしやすくなります。ここでは、自宅で工夫しておきたいポイントについて解説します。
手すりや滑り止めの設置
手すりや滑り止めの設置は転倒予防だけでなく、動作の安定性を高める効果が期待できます。とくに浴室やトイレ、廊下などは、パーキンソン病の症状であるすくみ足が起こりやすい場所です。
手すりを設置することで、身体を支えながら安全に動作ができ、すくみ足による転倒リスクを軽減できます。滑り止めについては浴室の床や階段など、滑りやすい場所に設置しましょう。これによって足元が安定し、転倒予防とともに動作が行いやすくなります。
目印の設置
目印の設置も、スムーズに動作をするための重要な工夫です。具体的な目印の例としては、テープやシールなどです。たとえば、ベッドからトイレまでの床にテープを貼ることで、歩行の際の目安になります。
手すりを使用する際の立ち位置や、方向転換をする場所に目印をつけることで、動作の手がかりになるでしょう。このように、必要に応じて目印をつけることで、自宅での生活動作をより安全かつ確実に行うためのサポートとなります。
パーキンソン病のリハビリメニューを実施してみよう
パーキンソン病の治療としては、リハビリをはじめとした運動療法や薬物療法が中心であり、場合によっては手術が行われます。リハビリでは筋トレやストレッチなどを行い、柔軟性や筋力の維持を図ることが大切です。
またリハビリだけでなく、手すりや目印の設置など、自宅環境の工夫をすることで安全に生活を過ごせるようになるでしょう。ぜひ今回の記事を参考にして、リハビリの継続を心がけてみてください。

内藤 かいせい
理学療法士として回復期病院と訪問看護サービスに従事し、脳血管疾患や運動器疾患などの幅広い症例を経験する。リハビリで患者をサポートするとともに、全国規模の学会発表にも参加。 新しい業界にチャレンジしたいと決意し、2021年に独立する。現在はWebライターとして活動中。これまでの理学療法士の経験を活かして、医療や健康分野で多くの執筆・監修に携わっている。
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